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自由律俳句 #12

【14巻が迷子になっていた】


散髪に行った時のことです。
椅子に座って順番待ちをしていました。

おそらく、あのお客さんが終わったら、次は私の番になるでしょう。
もう少しです。

ふと隣にある本棚を見ました。
順番待ちのお客さんのために用意してくれているマンガ、雑誌、絵本があります。

ぼーっと眺めていると、とあるマンガの14巻が、26巻と27巻の間にありました。

あらあら14巻さん、どうしてこんなところにいるのですか?
ここにいては26巻さんと27巻さんがビックリしているかもしれませんよ。

14巻さんは何も言いません。
きっと帰るべき場所を見失って、声も出せないぐらい動揺していたのでしょう。

13巻さんと15巻さんがあなたの行方を心配しているかもしれません。
さぁさぁ元の場所に帰りましょう。

私は14巻を本来あるべき場所に戻しました。

そうすると、14巻さんにお礼を言われたような気がしたのです。

「元の位置に戻してくれてありがとう。お礼に私を好きなだけ読んでください」

14巻さん、良いんですよ。
そんなに気にしないでください。私は当然のことをしたまでです。
それと14巻から読んでもお話がわからないので、1巻から順番に読んでいきますね。13巻まで読み終わりましたら、その時にまたお会いしましょう。

私は再会の約束を14巻さんに告げて、1巻を手に取ろうとした時、

「次のお客様、どーぞ!」

あっ…

14巻さん、私はもう行かなくてはいけません。

どうかお元気で。

再会の日はまだまだ先のようです。


#自由律俳句 #自由律 #俳句 #散文 #随筆 #14巻

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