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自由律俳句 #238

【甘い風抜けて喧騒へ】


一方的な陽だまりの中で
聞こえてきた音は思い出
誰にも聞かれないように口ずさんで
離れて流れてどこか遠くへ

一方的に葉の色が濃くなって
見えないふりをして伏せた目
誰にも気付かれないようにずらして
隠れて逆らってどうか遠くへ

一方的な強風を面と向かって
このままどうせなら向かい風
誰にも知られない場所へ吹き飛ばして
忘れて思い出せなくてどうせ遠くへ

足元の向きを変えた影
今日も昨日をものまね
振り返れば背中合わせ
曖昧な記憶を後片付け
再確認したあの結び目

甘い風
抜けて
喧騒へ


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