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デジタル広告の戦略戦術づくり10 (10,000字)

0.はじめに

元ネスレ、WeWork、リチカCMOの田岡です。現在は、大企業・スタートアップを中心に、マーケティング戦略・実行伴走・組織づくりのご支援をしております。

デジタルマーケティングで、切っても切り離せないのが「デジタル広告」。最近その重要性は日に日に増しています。今回は、デジタル広告で継続的に成果を出すために、どのそうな観点から戦略・戦術を考えるべきか、組織づくりをすべきか、について記事を書きたいと思います。

私は、今まで、事業会社の立場から、デジタル広告の戦略、アロケーション、クリエイティブなど様々な領域に関わらせていただきました。
また、支援の立場からも、今まで数十社の企業のデジタルマーケティング、特にデジタル広告について、伴走させていただきました。

デジタル広告に取り組む企業が一番困っていること。
シンプルに、「デジタル広告がビジネス成果に繋がらない」ということです。

ここで敢えてビジネス成果と書いたのは、広告の部分的な成果は達成しているが、ビジネス成果に繋がらないというケースが非常に多いためです。本当に欲しいのはビジネス全体の成果。だからこそ本当に難しい。

「デジタル広告に多額の投資をするものの、ビジネス成果に繋がらない。」
「デジタル広告でどうやったら成果につながるか、考え方が分からない。」
「施策はやり切ったが、成果が伸びきらない。ジリ貧になっている。」
「とはいえやめると、ネガティブ影響ありそうでやめられない。」

おそらく今この瞬間も、多くの経営者やマーケターが、頭を抱えており、良いヒントやソリューションも見つからず、途方にくれていることと思います。かつての私もそうでした。


「デジタル広告で成果出すことは、正直とても難しい」

今まで数々のご支援をして痛感しているのは、デジタル広告で成果を確実に出すことはとても難しいということです。戦略、プランニング、クリエイティブ、運用、組織。あらゆる部分を適切に設計しなければ、期待する成果に届きません。全てがハマって始めて成果に繋がります。

領域によってはマーケティングチームだけでどうにもならないことがあります。周りのチームを巻き込み、連携しながら、整備していかないといけません。

正直、私がご支援した企業さまでも、期待した成果に繋がりきらないというケースもありました。中にはデジタル広告以外の部分に、根本的な課題がある場合もあり、なかなかそこまではご支援・アプローチするのが難しいという場合もあります。

具体的には、例えば、そもそもプロダクトの競合に対する優位性がクリアになっていない。B2Bで問い合わせ以降のファネルが全く整理されていない。クリエイティブPDCAの重要性について責任者が認識できていない。こういったケースは非常に多いと感じます。

本来的にはこういった上流部分、戦略づくり、組織づくりを含めてご支援しなければ、なかなか成果に繋がらないというのが実情です。しかし、今までの私のご支援では、力不足もありそこまではご支援し切れないこともありました。こうした部分も含めて、デジタル広告で成果を上げるのは、とても難しいなと感じています。

最近は、ようやく上流戦略の部分までじっくりご一緒して、デジタル広告の成果向上について再現性が上がってきたと感じています!


「デジタル広告で悩んでいる人の助けになりたい」


デジタル広告は、戦略も運用もクリエイティブも、とても大変な仕事です。

「予算もプレッシャーも大きく、気が張り詰めている」
「成果がいきなり出なくなり、逃げ出してしまいたい」
「土日も広告が回っていて、まったく気が休まらない」
「媒体はブラックボックス化され、何を信じて良いかわからない」

そんな気持ちを抱えているマーケター、デジタル広告担当者も少なくないはずです。自分自身も少なからずデジタル広告に関わる仕事をしてきた身として、何か助けになりたいと思っています。

「デジタル広告の難易度は上がっている。だからこそフォーカスすべきは仕組みづくり」

デジタル広告は、数年前から比べると、さらに成果を上げるのが難しくなってきています。その理由はいくつかあると考えています。

・大手企業のデジタル投資が相当大きくなり、競争が厳しくなっている
・デジタル広告の媒体やメニューが複雑化、ブラックボックス化している
・動画、ショート動画など、クリエイティブの難易度が上がっている

しかし、そんな状況においても、年々成果を出し続けている企業もいくつか見てきました。そういった企業は、誰かスタープレイヤーが特別なスキルがあり、パフォーマンスを発揮しているのではなく、デジタル広告の成果を中長期で創出する、「仕組み」がうまく回っているケースが多いと感じています。メディア・プラットフォームのことはよく研究しながらも、自分たちでコントロールできない部分はリスクを予測しながら、コントロールできる「仕組み」づくりにフォーカスし、徹底しています。

元P&G、USJの森岡さんも「変数」にフォーカスする重要性を説かれています。

「多くの人は、自分の力ではどうしようもないこと、“定数”を“変数”にしようと人生の時間とエネルギーを浪費してしまうんです。それで疲れちゃって、自分のコントロールできるところに時間の集中がいかない。ここの見極めを数学で練習しているんです」と指摘し、「どこに自分の時間と労力を集中すべきなのか。これを論理的にひもといていくのが、数学的アプローチなんです」としみじみ語った。

森岡毅「勝つためにそれしかなかった」驚きのUSJ“V字回復”戦略を語る<初耳学>


今回は、デジタル広告戦略・運用で成果を上げるために具体的にどのような仕組みづくりが必要なのか?今までの経験からまとめてみたいと思います。

まだまだ、β版だと思っておりますので、ご意見やフィードバックがあれば、ぜひいただけると嬉しいです。



「デジタル広告 戦略組織づくり10」


こんな方へおすすめ

・大手事業会社でデジタル広告に関わっている方
・スタートアップでデジタル広告運用をしている方
・デジタル広告代理店で広告運用をしている方
・デジタル広告の勉強をしている方

こんな課題をお持ちの方へおすすめ

・デジタル広告の成果が下がっているが、どう対策して良いかわからない
・デジタル広告を広告代理店に任せっぱなしだが、成果が上がらない
・これから投資をしていくので効率を最大化したいが、方法がわからない


1.目的、ゴール、KPIを明確に定義・共有する

デジタル広告で成果を上げるために、最も重要なのがデジタル広告の戦略策定です。特に全体のマーケティング戦略の中で、デジタル広告がどういった役割を担うのかはしっかりと定義する必要があります。

そもそも、デジタル広告が目指すべき目的、ゴール、目標となる成果は何でしょうか?その成果は、ビジネス全体の成果に直接的に貢献するものになっているでしょうか?ここがずれていると、すべてのデジタル広告施策の方向性がずれてしまいます。

「成果が出なくて困っている」とご相談いただく企業に、「どんな成果が欲しいのですか?」と聞くと、意外と答えが返ってこない場合もかなり多いと感じます。おそらく、上記の要素を整理できていないのだと思います。

特に、最もよくあるケースとして、KPIがゴールを実現するために最適なものになっていないことがあります。KPIはゴールを実現するものになっているか、注意深く検証しするのが大切だと感じます。担当者が追っているKPIを達成しても、ゴールが達成できない。だとすれば、そもそもこの戦略設計が大きく間違っている可能性があります。ここをすり合わせないまま、デジタル広告の投資を進めていくことはとても大きな機会損失になります。

また、この戦略を、マーケティングチーム内はもちろん、経営メンバー、インサイドセールス・セールスなどの他部署メンバーにも共有し、デジタル広告をどういう目的・ゴールを目指して運用しているかを理解してもらうことも大切です。チーム間のコミュニケーションやコラボレーションもずっと効果的になるはずです。

【Meetyにて共有】戦略設計フォーマット
デジタル広告の戦略をうまくまとめるための戦略設計フォーマット&ガイドラインも用意しています。もし、戦略設計フォーマットが欲しい方がおられましたら、Meetyよりお申込みよろしくお願いいたします。(フォーマットだければ活用が難しいので、ご説明しながら活用方法をご紹介します。)


[コラム]

前職で、私がヤフーの宮村さんと対談した際に、プラットフォーム目線でもお話しいただいた内容が、まさに上記に通ずる話で印象的だったため、掲載したいと思います。

デジタル広告のKPIは最もわかりやすいので、CPAを置くことが多いですよね。でも、CPAを追求しデジタル上のCV目標は大きく達成したはずが、全社売り上げは上がっていない、というお話を広告主様より伺うこともあり、これは目を逸らしてはいけない論点だと思います。上記は少し大きな話ですが、要は目の前の数字は本当に意味がある数字か、何を意味するのかを考え抜く視点が必要だと思います。動画であれば再生数や視聴完遂率などのKPIがありますが再生数をただ増やすことに一体どんな意味があるかを考え、そして『数字の裏側でユーザーの行動がどう変化しているか』までを見極める必要が出てきているように思います。

Newspicks「どうなる?クリエイティブ「総運用」時代のマーケティング」


2.戦略的にメディア選定・アロケーションする

次に目的、ゴールに応じた、メディア選定・アロケーションができているかも重要な要素です。実際のところ、多くの企業が何となくメディア選定・アロケーションをしてしまっていると思います。メディア選定のポイントを3つ挙げます。

メディア選定の3つのポイント
1.コアターゲットに効率的にリーチできるメディアか?
2.目的(認知獲得、理解促進、CV獲得など)にフィットするメディアか?
3.狙いたいアクション(EC誘導、資料請求など)にフィットするメディアか?

メディアミックス・アロケーションで避けるべきだと考えるのは、クリエイティブのPDCAがうまく回っていない段階で、必要以上のメディアに手を広げすぎてしまうことです。後ほども言及しますが、デジタル広告で最も成果に影響する要素はクリエイティブPDCAです。ですので、特に初期はクリエイティブのPDCAがうまく回る範囲でのメディア分散にとどめることをおすすめします。

具体的には、例えば、リスティングやFacebookがうまくいっていないのに、YDAもYoutubeもと手を広げすぎるのはおすすめしません。まずは最も注力するメディア2つほどで、しっかりとクリエイティブのPDCAを回し、成果を出すことが重要です。その後、成果が出たら、そのラーニングを生かして、横展開を進めていくことをおすすめします。

メディアミックス・アロケーション 3つのポイント
・主要メディア(1-2つ)にフォーカスして、検証改善できている状態をつくる
・主要メディアでの検証改善ラーニングを、横メディアに展開する
・全体投資成果から、ポートフォリオを検証・改善する(8で紹介)

最後の「全体投資成果から、ポートフォリオを検証・改善する」については、"8"で詳しく紹介しますので、そちらでご確認いただければと思います。



3.メッセージの仮説を立てる

先述の通り、一般的に広告の成果に最も貢献する要素はクリエイティブで、貢献割合は約47%と言われています。実際、多くのマーケターが、デジタル広告ではターゲティングやリーチが重要であると考えていると感じます。しかし実際は、圧倒的にクリエイティブが重要なのです。
また、もちろんクリエイティブに反映されるブランドやコンテンツも重要で、こうしたものも含めると成果の64%がクリエイティブ関連で決まってしまうことになります。

いかがでしょうか?実はこの認識と事実のギャップこそ、デジタル広告が成果に繋がらない大きな要因の1つであると考えます。

そして、このクリエイティブの中で、最も重要なのが「メッセージ」です。顧客に伝えべき最重要メッセージは何か?クリエイティブの上流のあたる部分です。WHAT=メッセージとすれば、HOW=クリエイティブ、となります。ですので、まずこのWHATを考えることが重要です。
ちなみに、WHAT、HOWについては、以前書いたnoteもご参考いただけるかと思いますので、是非ご参照くださいませ。


ようやく本題に入りますが、メッセージは以下のような要素から仮説を立てる必要があります。

メッセージ 5つの要素
1.ターゲット:誰の
2.イシュー:どんな課題に対して、
3.ベネフィット:どんなベネフィットを提供するか?
4.RTB (Reason to Believe):ベネフィットが提供できる確からしい根拠は?
5.バリュープロポジション:どんな価値が提供できるか?

特に、デジタル広告で、まず成果に直結しやすい要素が、「ターゲット:誰の」です。デジタル広告は、多くの場合、ユーザーとのはじめての接点になります。そのため、商品・サービスがどのような価値があるかより、「ターゲット:誰の」まずどんなユーザーに向けたメッセージなのか、どんなユーザーに振り向いて欲しいのかの仮説が、特にCVRにおいて成果を分けるケースが非常に多いです。ですので、まずは「ターゲット:誰の」について仮説を洗い出し、PDCAを回していくことをおすすめします。その次に「イシュー」、「ベネフィット」と検証を進めていくのが良いと考えます。

【Meetyにて共有】メッセージフォーマット
デジタル広告のクリエイティブPDCAをうまく回すためのメッセージフォーマット&ガイドラインを用意しています。もし、メッセージフォーマットが欲しい方がおられましたら、Meetyよりお申込みよろしくお願いいたします。(フォーマットだければ活用が難しいので、ご説明しながら活用方法をご紹介します。)




4.クリエイティブをメディア最適化する

クリエイティブにおいて、最も陥りがちでもったいない課題が、「クリエイティブのメディア最適化問題」です。実際、私もFacebook、Yahooなどいくつかのプラットフォームで担当をされている方とお話をしましたが、このクリエイティブのメディア最適化ができていないために、成果が出ていない企業がいかに多いか、をよく話します。

前職で研究した際に、大手企業の92%が基本的なメディア最適化をできていないということに愕然としました。メディア最適化は、手間のかかることではありますが、成果を最大化するためには最低限必要なことなので、しっかりと対策しましょう。

“92%の動画広告は媒体最適化ができていない” と判明(RC総研)

メディア最適化で考えるべき3つの要素
1.ユーザー層へのコミュニケーションとして最適か?
2.ユーザーの視聴態度に最適か?
3.UXとして最適か?

クリエイティブ最適化 6つの要素
1.情報量
各シーンにどの程度のテキストを入れるか?最大15.5文字推奨。
2.シーン構成
全体シーン構成、各シーン構成をどうするか?重要なものを冒頭に。
キーメッセージはインパクト大きく。
3.情報構成
テキスト&ビジュアルの比率はどうか?一般論ですが、無形商材はテキスト、有形商材はビジュアル、獲得はテキスト、認知はビジュアル重視。
4.長さ
動画の場合、媒体ごとによって最適な長さがある。Facebookは15秒以内、Yahooは30秒以内が推奨。
5.サイズ
媒体ごとによって最適なサイズがある。例えばFacebookは1:1, 4:5が推奨。
6.サウンド
サウンドはマストだが、サウンドなしでも伝わるものであることが必須。

それぞれの具体的な内容については、このnoteでは割愛させていただきます。以下の記事が参考になるかと思いますので、是非ご参考ください。


5.機械学習がうまく回る環境を整える

デジタル広告の実運用で、最も差が出るのが、機械学習をどれくらい生かせているかです。今までのデジタル広告は「ターゲティング」が大きな価値でした。原理的には、戦略ターゲットとなるユーザーだけに、もしくはそれに近いユーザーだけに、広告を投下できることが、効率の観点において優れています。もちろん今でもターゲティングは重要な要素です。

しかし、今は多くのメディアプラットフォームで「ターゲティング」より、「機械学習」で最適なターゲットユーザーを見つけることの方が、重要度が高まっていると感じます。

しかし、この変化を理解せず、必要以上にターゲティングを絞って運用していまっているために、うまく機械学習が回っていないというケースがかなり見られます。

機械学習を活かす上で重要な4つのこと
1.各媒体が推奨するCV数を確保すること (各媒体資料・情報を要確認)
2.異なるメッセージ仮説を反映したクリエイティブを入れること 
3.必要最低限のクリエイティブ数を入れること 
4.学習初期に戦略ターゲットとなるユーザーのCVを獲得すること

特に4番目は盲点になることが非常に多いです。例えば、見当違いなクリエイティブを始めに回したり、誤った広告設計をすることで、本来戦略ターゲットではないユーザーに最適化されるようなこともあり得ます。機械学習は、はじめが肝心です。



6.検証改善が回る体制をつくる

冒頭でも言及した通り、クリエイティブの検証改善は成果向上においてとても重要です。しかし、大半の企業で、検証改善ができていない、検証改善しても成果につながらない壁に直面していると感じます。目的、ゴール、KPIの定義ができていないとそもそも検証ができない、検証改善するだけの組織体制が整っていない、検証改善のインパクトについての理解不足がよくある事象です。

検証改善ができない5つの理由
1.検証の指標がクリアになっていない
2.検証の判断基準がクリアになっていない
3.クリエイティブの制作・量産体制が整っていない
4.運用リソースが足りない、体制が整っていない
5.検証改善の順番を決めておらず、行き当たりばったり

検証改善で成果が上がらない4つの理由
1.そもそも伝えるべきメッセージ仮説が定義できていない
2.メッセージ仮説の検証改善を行えていない
3.動画でインパクトの大きい冒頭を検証改善できていない
4.細部(コピーや色など)の検証改善から始めている




7.広告以降のジャーニー全体をデザインする

デジタル広告から遷移するLPが最適化されているか、についてはよく議論されます。しかし、ここで論点にしているのはLPに留まりません。どんなデジタル広告施策も、リード獲得、CV獲得をして終わりでないはずです。いかにそれらを契約、売上、LTVにつなげていくかが重要です。とするならば、例えば、B2Bであれば、広告、LP、コンテンツ、インサイドセールス、セールスなど一気通貫したジャーニーを設計することが大切です。

よくあるのは、確かに低コストでCVするが、LTVに全くつながらないユーザーを獲得してしまっているケースです。デジタル広告が間違ったユーザーに、間違ったコミュニケーションをとっているために起こる事象です。

一方で、インサイドセールスやセールスも、ユーザーがどのような体験を経て、そこまで至るのかを認識している必要があります。そのためにも、各チームの密な情報共有・連携が重要になってきます。




8.全体投資評価で、重要ドライバーを特定し、改善する

デジタル広告で最も難しい部分が、正しい成果の評価です。特に、媒体ごとの広告管理画面では正しく成果が把握できないというケースが多く、またアトリビューションも、クロスアカウントなども考えると限界があると感じています。(アトリビューションについては、それほど重要でないというWACUL社のレポートもあります)


そこで、私が個人的におすすめしているのが、「デジタル広告の全体投資ポートフォリオ改善法」です。
デジタル広告における全ての投資について、成果への関連性を評価し、成果向上のための重要ドライバーを定義、週次(もしくは日次)でその成果を検証改善していく手法です。特に、認知向上、興味喚起系の施策を織り交ぜて投資している場合に有効です。
ただ、前提としては、言うまでもありませんが、Google Analytics、媒体管理画面、すべてのデータが一気通貫で計測把握できている必要があります。またデータの正確性はそれほど重視しておらず、あくまでもスピーディーかつ確度の高い検証改善のヒントとしています。

デジタル広告の全体投資ポートフォリオ改善法

1.全投資を通じての最重要指標を定義する
 (Google Analyticsなどで追えるもの)
2.各メディアの最重要指標、サブ指標を定義する
 (Google Analyticsなどで追えるもの、広告管理画面で追えるもの)
3.週次で、広告投資配分の仮説に基づき運用しながら、"1"で成果を、"2"を先行指標として評価する
4.同時に1,2の関連性を分析しながら、重要度の高い"2"を特定する
 (本来は因果関係を取りたいが、相関・偏相関をヒントとして活用)
5. 3,4を踏まえて、最適な投資配分に徐々に検証改善していく
6. 仮に投資ポートフォリオが崩れて成果が悪化した場合は、以前のポートフォリオにダウングレードで戻す。

デジタル広告の最重要指標を最大化するため、簡易で関連性を分析をし、ドライバーを特定する

注:
マーケティングSaaSで、この手法と同様の分析ができる素晴らしいものがいくつかあるかと思います。が、実はこの手法で仮説をシャープにすれば、自社でスプレッドシート にて&ブラックボックス化することなく、広告投資ポートフォリオの改善が実現できると考えております。もちろん一部、基礎的な統計知識は必要ですが、勉強できる範囲かと思います。実際、私も自社で導入してみて、ツールを活用するより相当シャープに仮説が立てやすくなった経験があります。具体的なご相談などあれば、直接Meetyにてお願いします。



9.各投資のファネル遷移率、LTV、ROASを把握する

デジタル広告運用で、意外とできていないのが、各投資のファネル遷移率、LTV、ROASなどの重要指標を把握することです。B2C企業では、CVまでの距離が近いのでROASまで計測できている企業も多いですが、B2B企業では、CVまでのファネル遷移率、LTV、ROASまで分析できている企業はそこまで多くありません。

B2Bでよくあるケースを紹介します。デジタル広告の直CV、オーガニック経由CV、それぞれのCV以降の受注率を見た時に、オーガニック経由CVがデジタル広告の直CVの5-10倍というケースによく直面します。この数値を把握せずにデジタル広告に投資をすると、いつまで経っても最適な投資配分を実現できません。また、実際、獲得したい顧客のほとんどがオーガニック経由CVであったというケースも少なくありません。

デジタル広告に関わるチームは、少なくともCV以降のチャネル遷移率、受注率、受注顧客は、明確に把握し、投資判断をすることをおすすめします。



10.社内外のステークホルダーとの連携を強める

デジタル広告の運用が一人で完結することはありません。多くの場合、クリエイティブ担当者、広告代理店、マーケティングSaaS会社など、様々なステークホルダーとともに広告運用をしていきます。デジタル広告運用は、職人気質が求められる仕事に思えますが、実はこのステークホルダーマネジメントは極めて重要です。

まず、広告運用者とクリエイティブ制作者の連携は欠かせません。クリエイティブのPDCAを回すためには必要不可欠ですが、多く場合、様々な壁が発生しているケースが多いと感じます。この壁の乗りこえ方として、以前Creatorzineで連載した際に、紹介した二つの方法について共有させてください。

一つ目のアプローチは、運用者とクリエイターが、互いの共通言語を持つことです。これにより、より効果的なコミュニケーションを実現することができるでしょう。とくに共通言語になり得るのが、ファクトやデータです。実際にあるクリエイティブを配信して結果はどうだったのか、目標に対してどうだったのか、ほかのクリエイティブと比較して数値がどうなっているのかなど、ファクトやデータをともに見ることで、より正確な対話や議論ができると思っています。
二つ目に大切なのは、「運用」の考えかたを互いに共有することです。デジタル広告では、ひとつのクリエイティブだけで成果をあげるのではなく、仮説をもとにPDCAを回すことで初めて成果を得ることができる――。こうした考えを持つことで、運用者とクリエイターそれぞれが異なる仮説を持ったとしても、そのどちらかを選択することが正解とは限らず、どちらも試し運用する中で学びを得るという選択肢も生まれるのです。

Creatorzine デジタル広告におけるクリエイティブの重要性と3つの壁とは

またチーム間では、"1"で定義した戦略を丁寧にステークホルダーに共有し、フィードバックを受けながら、ブラッシュアップしていくことが最も大切になると考えます。また、”7”で言及した通り、デジタル広告以降のジャーニーを最適なものにするためにも、特に社内のインサイドセールス、セールスチームとの連携には、まだまだ可能性が残されていることが多いと思います。

今の時代、一人で顧客に価値を届けることは不可能です。デジタル広告にも、常に周囲のメンバーを巻き込むリーダーシップとマネジメントが求められます。



さいごに

デジタル広告の戦略、クリエイティブ、運用、組織づくりでお困りの方がおられましたら、是非、何でも気軽に無料相談くださいませ。できる限りサポートさせていただきます!
お気軽にご活用ください!!



ここまでお読みいただき、ありがとうございました。今回、ご興味を持っていただいた方は、是非、以下もご一読いただけるととても嬉しいです。


田岡凌

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