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少女A

この世界でのわたしの役回りは「少女A」。

華やいだこの世界に憧れ、いつか自分もキラキラした理想の自分になると決めて、飛び込んだ。テレビやドラマ、雑誌などにたくさん出て、一大スターになることを夢見た少女時代。みんなからちやほやされ、どこに言っても「かわいいね」って言葉が私の耳に入ることを夢見ていた。

でも、現実はどうだろう。この世界に飛び込んではや5年、思い描いた理想とは程遠い現状を、彷徨い続けている。わたしは今も少女Aなどの脇役を演じては、理想との乖離性に苦しむ毎日だ。

与えられる役は、いつもわたしが望んでもいない役だ。与えられた立ち場所は常にステージの端っこ。主役から漏れたかすかなスポットライトのおこぼれでしか輝けない。いてもいなくても一緒なわたしは、誰からも見られていないし、望まれていない。それでもいつも通り主役を引き立てるために、舞台へと足を運ぶ。

そして、ステージは幕を開ける。

今回のお遊戯会のセリフでわたしに用意されたセリフは、「それではお遊戯会を開始します」だ。この言葉以外を発する以外に、わたしの存在意義は、この舞台には用意されていない。

わたしはいつも主役の引き立て役。一言セリフを話せば、私の役はもうおしまい。お遊戯会で輝くステージさえも用意されていないのだ。世の中は実力社会だからわたしみたいな力のない者には、戦う権利さえも与えられない。

ステージに立てば、光が見出せる可能性だってある。でも、その土俵に立つことさえ許されない。

どこで道を間違えたんだろう?それともこの道が正解なのか?

答えはわからない。自分で決めるしかない。

そんなことはわかっている。耳にタコができるぐらい聞いたし、本でも読んだ。自己啓発本は擦り切れるぐらい読んだし、舞台も用意されていたにちがいない。でも、その切符を掴み取る実力がわたしにはないから、わたしは今でもこうして、「少女A」を演じ続けているのだ。

未来の自分が憧れたステージに立てているのであれば、どんなに辛くても頑張れるんだけど、暗闇のトンネルから抜け出せる気配は一向にない。冬のホワイトアウトしたあの景色みたいに、あたりは白一面で、わたしの頭の中も真っ白だ。

主役になんてなれない。私の人生の主役は私のはずなのに、現実世界では私は脇役にしかなれない。これが私の人生なら神様は意地悪だと思う。でも、いいの。現実世界で主役になれなくても、私は私の人生を生きるんだ。

なんて綺麗すっぱり諦めてしまえるのならどれだけ幸せだったんだろうか。「少女A」を演じながらも、わたしはいつしか憧れのステージに立って、私もみんなからちやほやされたいと思ってしまう。

「大器晩成」とは私のために作られた言葉だ。高齢になってから花を咲かせた役者さんもたくさんいる。そして、じぶんの夢を諦めきれないじぶんがいる。

お遊戯会では私は主役ではなく、ただの「少女A」にしかすぎないけど、、私の世界は私がいないと始まんない。大器晩成するために、私はお遊戯会で今日も少女Aを全力で演じるの。

舞台は、9回裏2死満塁をまもなく迎える。この窮地で、どれだけもがくことができるか。そして、諦めず腐らずに、愚直にじぶんのやるべきことができるか。

わたしはわたしの夢を諦めない。やがて咲く大輪の花を夢見て。

さぁ、ここから私の逆転劇をはじめてみせようか。

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