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人の夢を笑うな

「あなたの将来の夢はなんですか?」

小学生の頃に自分の夢を尋ねられた時に、なかなか言い出せない自分がいた。

一般的な男の子の夢は「消防官」「警察官」「サッカー選手」など誰もが一度は憧れるそんな職業ばかりがずらりと並ぶ。

小さいながらに必死に夢を考えた結果、自分の将来の夢は「お花屋さん」だった。好きなお花に囲まれて毎日を過ごす。もしも夢が叶ったら幸せになれるのは間違いない。

今なら小さい頃の自分の夢を声を大にして言える。でも、男の子たちからすれば、「お花屋さん」は女の子の夢という思考が刷り込まれていたため、なかなか人には言い出せないでいた。

「自分の将来の夢を否定されるのが怖い。どうせ笑われるぐらいなら自分の胸のうちにそっと秘めておけばそれでいい」と自分を無理矢理納得させる。

「小さい男たちなら誰もが憧れるそんな夢だった良かったのに」と何度思ったことだろうか。

だから男友達の間で自分の将来の夢になった時は、いつも男友達に合わせて自分の夢を「学校の先生」だと嘘をついていた。

そんなある日、クラスで「自分の将来の夢」を話す機会があった。自分の本当の将来の夢を話せば嫌われるかもしれない。じゃあいつも通り「学校の先生」と言えば乗り切れるであろうと僕は考えていた。

「お花屋さんは男の職業じゃない」

一体だれが決めたんだろう?

「お花屋さん」は男の子の夢にはふさわしくないという当たり前。

世間のイメージが僕たち子どもに刷り込まれて、お花屋さんは「女性の仕事」ってイメージが勝手についてしまっていた。どうせ否定されてしまうから自分の夢を他人に話さなかった。いや、話せなかったに近いのであろう。

そんな中自分を隠す行為に嫌気が差した僕は、とうとう発表会で将来の夢を「お花屋さん」と告白した。

するとどうだろう。

「だっせーな。お花屋さんは男じゃなくて女がやるもんなんだよ」という大きな声がいろんなところから飛んできた。

批判と嘲笑の渦に呑み込まれる。戸惑いを隠せず、大勢の前で大粒の涙と嗚咽を漏らす。悔しさと怒り。悔しくて何も言い返せない自分がたまらなく嫌になった。

「ああ、やっぱり話さなかったら良かった」

あの日から何度後悔したことだろうか。悔しくて悔しくてたまらない。

そして、僕は自分の夢を誰にも話さなくなった。年齢を重ね、少しずつ大人になり、お花屋さんで働いている人が女の人だけではないと知った。

なんだ。女の子以外にも働いている人がいるじゃないか。

思い切ってお花屋さんで働く男性に声を掛けてみた。

「なんで男の人なのに、お花屋さんで働こうと思ったんですか?」

「好きだからだよ。それに男の子だからってお花屋さんで働いてはいけないなんてルールはないしね。なんでそんなことを聞いてきたんだい?」

僕は男性に小さい頃にお花屋さんになると宣言し、笑われた過去を伝えた。

「小さい頃はみんな物事を知らないから先入観だけで判断してしまったんだろうね。でも僕はお花屋さんになったことを後悔していないよ。男の人でもお花屋さんになっても良いって知っていたら、何かが変わったのかもね」

なぜか胸が軽くなった。

どんな職業に就こうがそれは本人の自由だ。本人が納得してその職業を選んでいるなら幸せに違いないと僕はお花屋さんで働く男性から学んだ。

「もっと早くお花屋さんで働く男性と出会っていたら何かが変わったのかもしれない」

お花屋さんになる夢を諦めた自分を少しだけ可哀相に思えた。

自分のの誹謗中傷で夢を諦める人はごまんといる。

人の夢は自由だ。夢を笑う権利も批判する権利も誰にもない。

大言壮語を吐こうが、小さな夢だろうが、なんだって良い。

人の夢を笑うな。

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