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これからやってくるハッピーエンドに胸を躍らせてやんのさ

今日は1ヶ月に1回の難病の定期検診だった。左目の調子が悪く、どんなことを言われるんだろうと内心びくびくしながら病院に向かうその足はいつもより重い。外はいまにも雨が降りそうな曇り空。不安を煽るような空をなるべく観ないようにしたんだけれど、どう足掻いても曇り空は隠れてくれなかった。

病院に着き、診察券を診察機に通して、いつもどおり受付の券を手に入れる。診察の時間が近づくにつれて、どんどん不安も大きくなっていく。そんな僕を見かねて、看護師さんが「今日はちょっとお疲れですかね」と声を掛けてくれた。看護師さんの気遣いに「いやー、最近仕事が忙しくて」と咄嗟に嘘をついた。

診察の順番が来て、視力検査に臨んだ。右目の検査はすぐに終了した。でも、左目の検査がなかなか終わらない。以前まで見えていたものがほとんど見えなくて、症状が悪化していることがすぐにわかった。抱えていた不安は、杞憂で終わらず、担当医の診察の際に、現実になった。

「佐藤さん、白内障が進んでいますので、半年、もしくは1年後に手術をした方がいいです。手術をしなかったら失明しますよ。でも、目の炎症が出ているうちは手術ができないので、まずは炎症をなくす治療を優先します」

あれ?今年の5月に右目の白内障の手術をしたよな。そのときは左目は問題ないって言ってたじゃん。あの言葉は嘘だったの?ああ、きっと右目を庇い過ぎて、左目の症状が悪化したんだ。そうにちがいない。

どうやら1度白内障にかかると、進行を防ぐことはできても、目の中の白いもやは無くならないようだ。一生視界が白く見えることは避けたい。でも、いまは左目に炎症が起きてしまっているからそちらの治療を優先する必要がある。まずは左目の炎症の治療に努めなければならない。世の中ってのはうまくいかないことの方が多いとつくづく思わされる。

以前までの僕は、手術をすぐには受け入れられなかった。でも、1度手術を乗り越え、症状の悪化を防げている事実を知っているからか、すんなり左目の手術を受け入れることができた。なんてのは嘘だ。内心はビビリまくってる。

いますぐに手術をしなくても白内障がなくなる治療をしてほしい。右目の水晶体を取ったのに、今度は左目の水晶体を取るなんて嫌だ。医学の力を信じていないわけでないけれど、人工物が体の中にあるなんて考えたくもない。それに入院生活は地獄そのものだよ。誰とも会えないし、食事だって味の薄いものばかりだし、シャンプーは1週間に1回しかしてもらえない。

そりゃ健康体にはなれるけれど、病室での時間は思ったよりも長いんだ。暇があるのは嬉しいけれど、暇すぎるのは違う。やだよ。またあの病室で1人の時間を過ごすなんて。みんなと会ったり、クライアントさんと打ち合わせをしたりする時間を過ごしていたいよ。

でもさ、病気になんて絶対に負けたくない。この手術は自分を良くするための手術なんだから、せっかくの機会を棒に振るわけにはいかない。生きてりゃいいことあるし、たとえ左目が完全に見えなくなったとしても、書くことだけはやめたくない。それにこれまでの苦難だって自分でちゃんと乗り越えてきたし、その証明がいまの自分自身なんだろうが。だったらこれから先も大丈夫だ。大丈夫に決まっている。悲しいときは一緒に悲しんでくれる人もいれば、一緒に怒ってくれる強い味方だっている。

辛いことが起きたときは、いつだって小説の2章が始まったって思うようにしてるんでしょ。だったらこれからやってくるハッピーエンドに胸を躍らせてやれよ。強い気持ちで生きてみせて、同じ悩みを抱えている人に、文章で背中を押したり、励ましてあげられるような人間になってみせろよ。

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