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「どうせ夢なんて叶わない」と言わないで

普段はお酒を飲まない友人がくだらない話をつまみに生ビールを豪快に一気飲みする。普段は将来のことを話さなかった僕らが一度だけ将来の夢について話をすることがあった。

あの時はお酒が入っていたから友人はもう覚えていないのかもしれない。今が楽しければそれで良いと考えている友人がふとこんな言葉を零した。

「これから家と会社の往復を繰り返すだけの生活に夢なんて何もないよな」

その発言を受けた僕は「夢がないとか悲しいこと言うなよ」と友人に返した。

間髪入れずに友人は「夢なんてどうせ叶わないから追いかけるだけ時間の無駄だよ。それなりに安定した職について、家族を食わせるために自分のやりたいことを我慢したら良いんだよ」って掠れた声で話し、死んだ魚のような目をしながら僕のことをじっと見つめていた。

「確かに夢は叶わないことの方が多いから、追いかける時間がもったいないのかもしれない。でも家族を食わせるということも立派な夢なんじゃないかな」と当時の自分はそう思いながらも、そのことを友人には言えずにいた。

そこから6年の月日がたち、僕はいまだに自分の夢を追いかけ続けている。それを馬鹿だと思う人も中にはいるかもしれないけど、僕は夢を追いかけているこの瞬間が楽しいからそれでいいと思っている。

この6年間で叶った夢の数よりも叶わなかった夢の方が確かに多かった。でも学びは大きかったから、無駄なことは何一つとしてなかったなと思っている。

確かに追いかけた全ての夢が叶うわけじゃない。でも何か1つでも夢が叶っているならそれは御の字だろうと考えている自分もいる。

つい先日、当時は死んだ魚のような目をしていた友人と偶然出くわした。その友人は今は家庭を築き、子どもに恵まれ、仕事も順風満帆に進めてるそうだ。家族を養うのは大変そうだけど、友人が楽しそうに過ごしていることが話からも伝わってきた。

相変わらず間髪を入れずにマシンガントークを続ける友人だったんだけど、幸せそうに話す友人の笑顔につられて僕も笑顔になっていた。

「俺やりたいことが変わったんだよ。」

「そうなんだ。今やりたいことは何なの?」

「えっとな、それは家族と幸せに過ごすことだ。それが今の自分の夢なんだよ。だからそれが叶っていてめちゃくちゃ幸せだし、自分の幸せを守るために仕事も頑張ってる。夢を諦めたことを後悔したこともあるけど、夢を諦めたおかげで今幸せに生きてるから、こんな人生もありだよなって思っているんだよ。」

当時は死んだ魚のような目をしていた友人がまるで嘘かのように、キラキラと眩しすぎる友人が幸せに過ごしていることに目頭が熱くなっている自分がいた。

今の友人はとても生き生きしてるし、すごく素敵な出会いに恵まれてるんだなってこっちまで幸せな気分になったよ。

夢を諦めた後にまた新しい夢ができる。

それは自分の一番やりたかったことかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。でも自分が幸せだと思えるなら夢を諦めたことも正解になる。

夢を諦めたことがある人は「諦める強さ」と「前に進む力」を持っている。

一度は夢を諦め、そこから這い上がり、また新たな夢のために必死になっている友人を誇りに思う。

自分の夢の話を嬉しそうに話す友人。

「どうせ夢なんて叶わない」と死んだ魚のような目をしていた当時の友人はもうそこにはいなかった。

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