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後ろ指さす奴に中指立てる

後ろ指をさす奴にはいつだって中指を立てていたいとは思いはするものの、そこまでの勇気が出ない。世間の声なんてどうでもいいし、中指を立てた途端に、仲間になるどころか敵になり得る可能性が高くなる。

全員と仲良くなれるとは思っていないけれど、できる限り対立構造は避けたい。対立は無駄に体力を消耗するし、無駄な争いで勝った負けたでどちらかが傷つくのも嫌だ。対立に時間を割くぐらいならば、自分のやるべきことに時間を割いたほうが圧倒雨的に効率的だし、ノイズに悩まされる時間もない。

かつて仲が良かった友人は、俗に言う意識高い系と呼ばれる人間だった。インターンは当たり前。自分の力を試したいと大手ではなく、ベンチャーを志望し、いつか起業するぞと息巻いていた。会社説明会では必ず手を挙げていくつか質問をする。受け答えもはっきりしていて、こういう人が成功するんだろうとずっと思っていた。

彼はいつだって自己啓発本を、鞄に忍び込ませている。『7つの習慣』『人を動かす』など、いまもなお語り継がれている名書を読むたびに、丁寧に解説してくれた。真面目で将来有望な彼が狂い出したのは『嫌われる勇気』を読んだあたりだ。自分を理解しない奴には、いくら嫌われてもいい。そう、彼は嫌われる勇気を使いかたを履き違えていたのだ。

意識高い系と呼ばれる人は、後ろ指をさされやすい傾向にある。自分をそうだと認めるのは癪だけれど、僕も意識高い系の人間に分類されても仕方がない。

夢を持ったときに「そんな夢は叶わない」と言われた人はかなり多いはずだ。僕も文章で生きていくといったときには、たくさんの人から「どうせ無理」と声をかけられた。

後ろ指を指すやつには中指を立てるのではなく、結果で見返すしかない。しかし、友人は後ろ指を立ててしまった。自分を理解しない人は悪だと決めつけて、大切だった人すらもたくさん傷つける始末。次第に彼の元から1人、また1人と人は減り、やがて孤独になった。そして、いま何をしているかはわからない。嫌われる勇気の使いかたを間違えると、周りから人が誰もいなくなると知った瞬間だった。

誰かに後ろ指をさされたときに、向き合うべきはいつだって己である。少なくとも、誰かを敵とみなしてはならない。「どうせ無理」の一言の裏には、きっと心配も含まれている。挑戦にはリスクがつきもののため、大切なひとに失敗してほしくないというやさしさでもあるのだ。そのほかにも、彼らの言葉は「いまのあなたじゃその夢は叶わないからもっと努力しなさい」というメッセージも含まれているのかもしれない。

相手の言葉への受け取りかたは自分次第。ひとつだけ確かなことは、他人の声の中にヒントはあるのかもしれないけれど、答えは自分の中にしかないってことだ。後ろ指を指されたときは、中指を立てるのではなく、グッと堪えて結果で見返せばいい。そして、手のひらがひっくり返ったときに、謙虚な対応をすればいい。

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