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映画『ロスバンド』をみる


☆☆☆☆☆爽やか最高!
ネタバレ注意

最高でしたよ。

ノルウェーのロックバンドの大会を目指す少年少女のおはなし。

過剰な暴力も刺激的な映像もなく、ゆったりと10代の頃の感覚が描かれてます。

ジャックブラック主演『スクールオブロック』が好きな人、音楽好きにはたまらないはず。


10代の頃誰もが感じたものが詰まってます。

両親の不和がどれほど子どもに影響を与えるかとか。

夢と挫折。

無知とコンプレックス。

親からの愛の不足感。

親からの期待のプレッシャー。

片思いの苦さ。でも求めているものは意外と近くにあること。

などなど。


スリーピースのバンド&青年の交流とバンド大会への旅の中で

まるで『スタンドバイミー』のように

それぞれ登場人物たちが交流しあって笑い泣き

友達として繋がっていく。


自分の子どもの頃、とくにギターを練習したりバンド活動していた時期の甘酸っぱい思い出や、

親目線での若いっていいもんよね…なんて目尻が下がったりして、

銀杏BOYZばりの青臭さがたまらんのですよ。


とにかく旅の背景のノルウェーの景色がきれいで、青臭さもオシャレにみえる北欧マジック。


10代前後の子どもが抱えるものって、万国共通でどの時代もそんなに変わらんものですね。


ギター&ドラムの少年は『にんじん』の主人公みたいなクリクリ頭なんだけど、

ドライバー兼ボーカルとなる青年はなんとなくアジアっぽい顔立ちで笑うと江口洋介氏っぽいハンサムで、

この既視感はなんだと思ったら

『ダンサーインザダーク』のビョークに似てるんだ。

北欧系の顔立ちなんでしょうね。


孤独を抱えたチェロ少女、学校の出し物でバッハを弾き始めて

今時のダンスをしていた同級生たちに笑われるんだけど、

そのチェロの音色が激渋でバッハ好きにはたまらん。

昔『2CELLOS』ってYouTube経由で流行ったなと思って調べたら2011年バズってましたよ。13年前!


子どもも大人も楽しめるこういう作品って、超高齢社会の日本で大々的に映画館でやりづらいでしょう。

昔は『E.T.』とか『グーニーズ』とか『レックス』とかたくさんありましたけどね。

公式ページで調べると東京でも5箇所のみの上映だったみたい。

どうしても映画館でみたい!と思い立って

小さめの映画館で観に行ったのって

『イントゥザワイルド』が最後。かなり随分前。

ちなみに直近では『マーヴェリック』が最後。4DXで観ました。


映画は映画館で観た方がいい派の人も多いでしょう。

でも出不精の僕からするとプライムビデオで小さめ上映の作品まで網羅されて観れるって本当にありがたい。

感謝しながらみました。


『tokyo vice』を皮切りに橘玲氏の作品、空き巣なう、そして西村賢太氏の作品と、毒つよめな作品ばかり見ていたから、クリーンな今回の作品は物足りなさを若干ありつつ。

久しぶりにいい映画みたなって余韻にひたれる作品でした。







ロック映画として傑作でしょう。
落ちぶれたギタリストがなりすましで名門私立校の先生となる話。
頭が□い子どもたちよりもエセ先生の主人公本人がガラッと変わるのがたまらない。先生ー生徒のタテの関係から音楽を通じて、同じロック仲間になる。まるで吉田松陰と塾生のように。


思春期前の少年たち特有の青春ストーリーの王道、扱いなんだけど、旅の目的が死体探しってところがスティーブンキングっぽいし、キラキラ系ノスタルジー作品にしてないところがリアルでいい。


思春期の青臭さともどかしさをロックに昇華させた銀杏BOYZ。
場所が北欧だったら作品から漂ってくるにおいとか雰囲気も違ったのか。


主人公の男の子の風貌から連想された作品。
ちゃんと読んでないけど冒頭からかなりひどい話だった気がする。


チェロかっこいいですよね。
2CELLOSまで洗練された感じじゃなくていいから、ギンギンに弾いてみたい。がギターやベースよりもチェロは嵩張るんでなかなか挑戦できない。


当時ちいさめの映画館で上映されていて、観に行ってよかったし、その後ディスクユニオンでDVDを買っておいてよかった。一部でカルト級に人気があるのになぜかサブスクでみれない。この作品も生育歴の過程でこじらせてしまったインテリ学生がすべてを捨ててアラスカに向かい旅に出る話。青年期特有の青臭さあり、彼の夢もひょんなことで頓挫してしまい、中途半端。なんだけどその過程の北アメリカの大自然がとても綺麗で、そして彼の半生になぜか惹きつけられる。なぜなのかは未だよくわからない。


4DXでみたときはコパトーンみたいな匂いがシュッとでたり、椅子がガタガタしたりと、臨場感っぽいのは感じるけど作品自体に集中できませんでした。ディズニーランドのスターツアーズみたいな感じ。
知人で元パイロットの方にマーヴェリックの話題を振ったところ、「あんなGかけられるわけない」とオコな感じで一蹴されました。



ここからは最近みた読んだ毒強めの作品。
まずはこちら。原作が世界的に大ヒット→米HBO Max(日本ではWOWOW共同制作)でドラマ化(現在シーズン2)、なのに下の翻訳版はどの出版社からも断られたらしく、著者個人でKindle版のみ出している状態。ここまででお察しの作品です。
前半は1990年代の浦和や歌舞伎町をメインとした警察周りの話なんだけど中盤からモーレツに話は展開していって、これまで聞いたことのない裏側の話がバシバシ飛び出してきます。序盤が長いので中盤から読みはじめてもいいかも。

ドラマ版はあくまでフィクションというかたちで。歌舞伎町を中心とする闇社会の抗争をアメリカのドラマの感覚でスタイリッシュに描かれています。何より俳優陣が豪華すぎ。なのに国内だと知名度が低すぎるのもお察しな感じ。


元空き巣プロが書いた当時のエピソードの数々。書いちゃいけないことしか書いてない。悪用厳禁で防犯対策に読むといい。とにかく犯行中の空き巣プロたちの精神状態が尋常じゃない。極度の緊張とスリルで脳汁でまくっていて、もし今後彼らに遭遇することがあったら絶対に、絶対に抵抗しちゃいけないって思いました。

故西村賢太氏の私小説。大正時代の作家藤澤清造氏に狂信レベルで慕い文学全集を自費出版しようとする主人公の動向。そして一緒に暮らす「女」との日々。とにかく主人公からほとばしる熱量に圧倒される。そしてその熱量が屈折した形で「女」に向かっていく。DVの場で加害者に何が起こっているのかが克明に描かれている。西村作品はどれも決していい形では終わらないだろうと予想つくんだけれど、だからこそ主人公と「女」とのあったかいシーンが尊い。


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