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相手が話を聞いてない理由

あなたが話してることが、相手に全然響いてない、それどころかまったく聞いてないなんていうことはありませんか? 同僚や家族との日常で、なにかとこういう場面はないでしょうか。

コーチングやメンタリングを目的とした1on1ミーティングを実施していると、同僚や家族との会話に比べて、相手が話を聞いてない状態がありません。なので結果的に、そのような環境下での会話は、相手の成長や変化を促すことができるのだと思います。ではなぜ、同僚や家族だとそれが難しくなってしまうのか。疑問に思うことがあったので考えてみました。

今日は、話し相手である同僚や部下、あなたの子どもや生徒に対して、どうも相手に届いてないなと感じている方に向けて書きます。


話を聞かない理由

お互いに響き合ってる会話もあれば、そうじゃない会話がありますよね。何がちがうのか、きっとこういうことなのではないかと、お互いの興味の有無で、場合分けしてみました。

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円滑で気持ちいい会話は、基本的には右上の「最高の会話」、つまり双方の興味がある会話だと思います。共通の目的・目標、趣味の一致など、もちろん誰しも経験あることだと思います。コーチングなどの会話がうまくいく理由は、前提として、目的や目標を共通認識にしているからだと思います。話しやすいです。

一方で、同僚に届かない、子どもに響かない、生徒が聞いてないといった類は、基本的に右下の「あなただけ楽しい会話」だと思います。昨日のnoteでも触れましたが、相手の興味の所在と自分(あなた)のそれとがずれてしまうと、相手には意思も原動力もない状態です。相手の話したいことに乗せない限り、こちらが話したいことはほとんど意味がない。耳が痛いです。

尚、「怒ってるけど響いてない」ような状態も、右下に該当します。楽しいわけではないかもしれませんが、あなただけが興味を持って話している状態です。

もちろん、逆の立場があることも忘れてはいけません。左上の「相手だけ楽しい会話」、言い換えれば、自分にとって退屈な会話もあることでしょう。


傾聴のすゝめ

では、一体どうすれば「相手に興味がないこと」あるいは「自分に興味がないこと」を「最高の会話」へ変換できるのでしょうか。その解決策は、右下・左上どちらのシチュエーションでも、「傾聴」なのではないかと思っています。

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まず「右下→右上」について。始まりは自分だけの興味です。つまり、相手に新しく興味を持ってもらわねばなりません。新規の営業のようです。たまに誤解されますが、良い営業は話すプロではなく、聞くプロです。つまり、新しく興味を持ってもらうためには、相手の興味をまず聞き出し(傾聴)、その上でこちらの興味(話したいこと)を結びつけていく作業だからです。この結びつけがあって初めて、相手が自分の話に興味を持ってくれるようになります。

ちなみに、相手の興味関係なく、強引にことを進められる場合があります。それは「命令」や「お願い」が効く関係の場合です。これらは傾聴より手っ取り早いので、頻発させてしまってる方も多いのではないでしょうか。

次に「左上→右上」について。始まりは相手だけの興味です。つまり、自分が新しく興味を持たねばなりません。こちらも同様に、相手の興味をまず聞き出し(傾聴)、その上でこちらの興味(話したいこと)と結びつけることで、双方にとって魅力的な「最高の会話」にスライドするものと思われます。

どちらの場合もまず相手を理解すること、即ち「傾聴」から始めるといいのでは、と書きましたが、このときに重要なのは、相手が何でも話していいと思えているかどうか、「心理的安全性」を感じているかどうかです。同僚や家族の会話の難しさがここです。
何か聞かれたときに、相手が自分を「評価する」と感じてしまったら、本当の興味は出てきません。おそらく、あなたが喜びそうなことを言うでしょう。えてして、上司や保護者の立場だと、評価する機会もあるので、相手にそのように忖度させてしまうこともあると思います。採用面接でもよく同じことが起きますね。

無意味で不要な忖度を回避するには、言葉を尽くすしかない気がしています。学生との1on1ですら、僕は何も評価するわけではないにも関わらず、言いづらそうなときがあります。そういうときは、もちろん無理には言わなくていいと伝えた上で、改めて目的を共有する(=相手に利益があることを伝える)ことで、理解を得られるよう努めています。相手が部下でも子どもでも同じではないでしょうか。

もちろん然るべきけじめは必要です。なんでもかんでも、相手の思うままになるような、いわば逆忖度はしてはいけません。10,000人近くの非行少年の育てられ方を調査した相部和男さんによると、「放任」21.8%、「厳しい」4.4%などをおさえて、ぶっちぎりの1位は「溺愛」61.9%です。気をつけてください。


最高の会話

最後に、双方の興味がある「最高の会話」の効果について触れます。端的に言えば、相手の成長や変化を強く促せる状態です。相手にとって、興味あることを言語化したり、質問されたりして、深く追求したり、新たな気づきを得られる時間になるでしょう。

僕が主催する高校生・大学生との対話型プログラム「1on1 college」での、昨日公開したばかりの参加者インタビューがあります。彼女にとって、きっとそのような「最高の会話」にできたのではないかと感じています。ぜひご覧ください。会話を通じた自身の変化の過程を、本人の言葉で語ってもらっています。


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今日は、最高の会話への発展方法や、その効果についてでした。
ちなみに、双方の興味の有無を超越するシチュエーションがあります。それは「ただあなたと話すことが楽しい」という状況です。話題とかじゃないんです。親しい友人同士や、もちろん同僚・家族間でもあると思います。損得のない、安心する瞬間です。こういうのはこういうので、誰しもにとってあるといいですよね。

今日もありがとうございました。日付が過ぎてしまいました。精進します。

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