経営戦略におけるM&Aの役割
気が付いたらもう12月も半ば。時が経つのはとても速いですね。今年は秋はあったのでしょうか?暑いと思ったら急激に寒くなった思い出しかありません。
はじめまして。エイチームでM&Aやマイノリティ出資をしている小林と申します。
今回、Scale Cloudの広瀬さんに『経営企画アドベントカレンダー』という企画にお声がけいただき、筆を執ってみることにしました。なにかしらの参考になれば幸いです。
経営戦略とM&A戦略
そもそも、なぜ戦略が必要なのでしょうか。
法人だけでなく、あらゆる組織にはなにかしらの意志、目的があり、その元に人が集まり、存在しているものだと考えています。
その中で法人、特に株式会社においては、ゴーイングコンサーンを前提に、成し遂げたいこと(いわゆるミッション)のために人や資金を集め、活動しています。
ただ、リソースには限りがあるため、適切に配分しないと、そもそも成し遂げたいことが実現できなかったり、実現に大きく時間がかかってしまったりしてしまいます。
その配分のために(経営)戦略が存在し、それを意思決定していくのが株主総会や取締役会などといった会議体だと考えています。それが伝播して、日々の大小問わずの意思決定に反映されていくものなのかなと思います。
では、なぜそうした経営戦略の中にM&A戦略が必要なのでしょうか?それは、「確実性が高くなってきている現状に対し、自社にないリソースを加えることにより、非連続的な成長を実現するため」と私は考えます。
一般的に事業というものは、意思決定を繰り返し時間が経てば経つほど不確実性が低減していき、予測しやすくなるものだと考えられます。
シード期の事業は、アップサイドは無限大に思えますが、一方でそれが実現するかは不透明なところが多いです。
レイターステージになればなるほど、実現する未来は見えやすくなっていきます。なぜなら意思決定を繰り返すことで目指している姿や、具体的な価値が明確になり、それに共感するユーザー(法人、個人問わず)も明確になってくるからです。売上、営業利益を高い角度で見込めるのは成熟事業を持っている大きな利点です。
その中でM&Aを実行することで、自社にないリソースをスピーディーに加えることができます。これは非連続的な成長を遂げられる手段として非常に大きいと考えます。
似たような手段として、自社での新規事業の立ち上げもありますが、不確実性が高く、実現するのに時間がかかってしまいます。(一方で成功時のアップサイドも大きいです)
M&Aを適切に取り入れることで、社内になかったリソースを取り入れることができ、より一層の成長を見込むことができます。(遊戯王でいう「融合」のイメージ)
頭で考えるのは簡単ですが、実現するのは難しいのが実情です。うまくM&Aを進めて拡大しているGENDAさん、SHIFTさん、マネーフォワードさん、ユーグレナさんといったような会社は素晴らしいなと思います。
M&Aをうまく推進されている会社の事例
GENDAさん
M&Aを戦略の中心に据え、創業から驚異的なペースでシナジーが見込まれる領域の会社の株式を取得されています。
「一株当たり株式価値の極大化」を明確な指標としてM&Aを遂行されています。
SHIFTさん
背景や目的を明確において、領域を定めてM&Aをされています。
ジョインすることのメリットについても明確に書かれており、売却側としても非常にジョイン後のイメージがしやすくなっています。
マネーフォワードさん
B2BのSaaSのドメインを中心に、高い成長率を維持する会社を中心にM&Aされております。経営者同士の個人的な繋がりやご紹介は6件中4件と、経営者繋がりでのソーシングが特徴のようです。また、吸収合併などせず、独立した法人として残していることも特徴のようです。
また、売り手の経営陣の方々がマネーフォワード社内の役員になるのはとても珍しい事例だとは思いますが、面白い取り組みだと感じました。
ユーグレナさん
キューサイの買収において、買収時には12.84%という割合でSPCの株式を取得するというとても珍しいケースでM&Aを実行しています。コールオプション行使後はファンドから買い取りをするなど、49%を取得し、筆頭株主になっています。
M&A戦略実現のために
ではそのようなM&A戦略を実現するためになにが必要なのでしょうか?
大きく下記が重要かなと思います。
方針の明確化
自社に合った会社を見つけるための適切な手段の利用
適切なリソース(主に資金)の調達
DDの実施、バリュエーション、事業計画策定
交渉
PMI
少しだけかいつまんで書きます。
自社に合った会社を見つけるための適切な手段の利用
1.「方針の明確化」で明確化した方針を元に、自社でのリストアップを進めたり、提携先(証券会社、銀行、VC、M&A仲介など)に方針を伝えていきます。
提携先からより良い案件を紹介してもらうには、当然ですが「買ってもらえる可能性がある会社」と認識されることが大切です。そのためには対外的な開示を増やし、事例を増やしていくのが一番重要ではありますが、提携先との日々のコミュニケーションもとても大切だと考えています。
DDの実施、バリュエーション、事業計画策定
M&Aを成功に導くためには適切な事業計画の策定やバリューションが不可欠です。
これなら実現できそうという、わくわくできる事業計画を描くことが大切かと思います。
また、買収後の未来を一緒に描いたり、未来を実現するためのリソースについてアピールするなど、金額以外の魅力をいかに対象会社に伝えられるかが大事かなと思います。
終わりに
今回は経営戦略の中のM&A(買収)戦略が占める役割について書きました。
日本でもM&Aの件数、金額が年々増えてきており、ますますM&Aが身近なものになっているかと思います。M&Aにより事業の流動性が高まり、似たような強みを持つ企業が合わさって成長が加速することは日本経済としてもプラスなのかなと思います。売却についても書く機会があれば書きたいです。
最後にエイチームでの事例と他の経営企画の皆様の記事を貼って終わりといたします。
エイチームでの事例
経営企画アドベントカレンダー他皆様の投稿(適宜追加します)
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