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そうだ 会議体、設計しよう。経営企画が陥りがちなワナ / 2023年 経営企画アドベントカレンダー

2023年もあと少しですね。お坊さんが走ってますね。

年末だからと、特に何かを頑張る性分ではないのですが、日本初!?の経営企画アドベントカレンダーが実施されると聞きつけ、参加させていただくことにしました!

はじめましての方へ

私は、現在フリーランスの財務 / 経営コンサルタントとして、ベンチャー企業や中小企業を支援させていただいてます。

独立したのは今年の8月でして、それまではグッドパッチというベンチャー企業でIPO前後の6年間を駆け抜けました。

これまで、一部上場企業 → 外資 → ベンチャー → フリーランスと様々な立場で経営期企画やFP&Aに従事してきた経験を振り返りながら、経営企画が陥りがちなワナについてお話できればと思います。

個人事業主として独立した経緯はこちらに綴ってますので、はじめましての方はご一読いただけましたら幸いです!

(筆が中々進まず、Underworld の Two Months Off を爆音で鳴らしてテンション上げてます。青春の一曲です。)


完璧なKPIと美しいスプレッドシート

このnoteをお読みの皆さんは、日ごろ多くのレポートや分析資料を作成されていることと思います。

毎月、株主もオブザーブ参加する取締役会のために、KPIとPLをまとめたスライドを用意するでしょう。

精緻な予実差異分析をするために、スプレッドシートの行と列とタブをどんどん増やしていったりもするでしょう。

それはそれでとても大切なことです(私もExcelゴリゴリ大好きです)。
では、その涙ぐましい努力は何のためにしているのでしょう?

完璧なKPI設計と美しいスプレッドシートがあれば十分なのでしょうか?

成長曲線が見えるロジックツリーと、それを集計できるテーブルがあれば良いのでしょうか?

いらすとや久しぶりにアクセスしました

経営企画が陥りがちなワナ

ここでタイトルと同じ見出しを入れてみます。
すると、なんとなく本記事の重要ポイントな気がしてきますが、果たしてそうなるのか。筆を進めます。

皆さんが魂を込めて作ったスライドやスプレッドシートは、誰に、どの場面で、どんな形式で見せるのでしょうか?

資料の出番は、対面の1on1なのか、Zoomを使った全社定例なのか、マネジャー以上が集まるオンラインとオフラインのハイブリッドミーティングなのか。

頻度は毎週なのか、所要時間は30分でサッと終わらせるのか、60分でも消化不良で終わってしまう濃いものなのか。

ミーティングのゴールは、進捗の「報告」なのか、会社の財務状況を「理解」してもらうのか、はたまた次年度の計画について「議論」を促すためのたたき台なのか。

この分岐を考えただけでも、資料の使途は多岐にわたります。

さらに、会社や参加者が置かれている状況によっても、資料の目的は変わると思います。

本アドベントカレンダーで先陣を切ってくださった伊藤さんのnoteにも生々しいやり取りが書かれていました。
実際みなさんもこういう丁々発止のやり取りの中で、報告資料を作成されていることかと思います。
私自身も、夜討ち朝駆けで事業責任者を捕まえて、数字をまとめたりもしてきました。

“期末から2ヶ月前となると、決議日まで2ヶ月を切る状態ですので、経営企画部門はちょっと焦り始め、部門長たちにうるさいぐらい予算を催促しはじめます。 この段階で大人しく協力してくれる人、忙しいと切れる人、前任者から引き継いだばかりでよくわからないという人、無視する人。。こういう時にその人の本当の人間性が見えてきます(笑)”

1番センター伊藤さんの経営企画アドベントカレンダーより

時間に追われて、捕まらない責任者を追いかけながら、精緻な資料を作っていると余裕がなくなっていきます。当時のことを思い出して胃がキリキリしてきました笑。

忙しいとは、心を亡くすと書きますが、余裕を失うと目的も見失ってしまいます。

気が付くと会議は明日。本来であれば、資料のメッセージングや構成にこだわりたいとことろですが、ついスプレッドシートの精度を上げるという手元の業務に時間を割いてしまいます。

結果は推して知るべしでしょう。これが経営企画が陥りがちなワナだと私は考えています。

そんなワナにはまらないよう、着手する前のそもそもの目的に立ち返ってみたいと思います。

そうだ 会議体、設計しよう。

本家のフレーズに合わせるとこうなります(最後に京都へ行ったのは、妻の京都検定受験の付き添いでした)。

皆さんは、経営企画(機能)担当として、経営中枢の近くで頑張っていらっしゃると思いますので、報告書式の改善だけではなく、ぜひ会議体の設計にまで踏み込んでもらえたらと思い、この章を書いていきます。

えぇぇぇぇ!会議体の設計権限なんて自分にはありませんよー!という方も、周囲の経営陣と議論のタネにしていただけたら嬉しいです。

また、資料の目的の話をしていたのに、なんで会議体の設計をするの?とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、会議の具体的なイメージを膨らませていけば、おのずと必要な資料の様式や内容も決まってくると私は考えています。

どの階層に、どの場面で、何を報告するのか

先ほどもお話したように、誰に、どの場面で、どんな形式で資料を見せるのか?を想像してみてください。

頭の中で実際の場面を想像する

頭の中では、きっとこんなことを考えているのではないでしょうか?

取締役会では、これまでPL実績のサマリだけ報告してきたが、外部株主も増えたので、KPIのサマリも加えて、見込みも含めて報告した方が良さそうだ。

執行役員の〇〇さんは、いきなり社長もいる平場で数字を出すと怒るから、事前に1on1でぶっちゃけベースで色々話しておいた方が良さそうだな。

マネジャーにはどこまで意識してもらおうか?今は営業利益まで追いかけてるマネジャーはいないけど、将来的にはそこまで責任を持てるよう成長してほしいって社長も言ってたし…

全社会議では、メンバーに対して、売上実績だけ伝えるか?利益まで見せる?でもインサイダーとの兼ね合いもあるし、若手は聞いてて分かるかな…

このような脳内もやもやを先ほどの図に加えると、こんな感じでしょうか。

これらを実現する会議体を設計する

大枠の方向性が定まったら、詳細を詰めていきましょう。

開催頻度、所要時間、出席者(必須+オブザーバー)、目的、経営企画からの報告内容など、5W1Hに近い形で検討されていくと、解像度が上がってきます。

言わずもがなですが、目的と経営企画からの報告内容がとても重要となります。

経営企画からの報告内容次第で、会議の場が、「共有」の場なのか、「議論」の場なのか、「意思決定」の場なのか、決まってきます。

一覧表にすると↓のようなイメージです。

会議体は一朝一夕に整理できるものではありません。

既存の会議体も各社おありでしょうし、経営幹部の方は多忙を極めており、調整も難しいと思います。

ただ、会議体をしっかり設計すれば、そこに持ってくる資料の方向性も明瞭になるので、結果的に会社の生産性が上がってくると考えています。

私も前職、前々職で会議体の設計に携わりましたが、半年や1年かかって、会議体が設計され、もともと意図していた目的に近いものになってきたという実感があります。

また、会社のフェーズや規模が進むのに応じて、順次設計を変えていく柔軟さも必要かと思います。

おわりに

年末の、さらに月初の、お忙しい時にここまでお付き合いいただき有難うございます!

皆さんが普段参加されている会議体は、意図的に設計されているものでしょうか?

フリーランスになってから、会議体の設計のお話になるクライアントさんが複数いらっしゃったので、今回のnoteのテーマとして扱ってみました。

おわりのおわりに

経営企画の役割は、文字通り、「経営」を「企画」することです。

生き物である組織を動かしていくという、責任のある職種です。

会議体を変更しようとすると、色々な人と調整が必要ですし、鬱陶しいと言われることもあるかと思います。

でも、会議体の設計1つで、会社の風通しがよくなったり、情報がスムーズに流れていくのもまた事実です。

本記事が皆さんの何かしらのヒントになれば幸いです。

おわりのおわりのおわりに

Xでは未明にアーセナルの動向ばかりつぶやいてますが、つながっていただけたら嬉しいです。
(Jリーグは地元のフロンタ推しですが、来年はヴェルディも追いかけようと思います)

それでは、皆さん良いお年をお迎えください。


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