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経営企画は「何でも屋」か。

年末年始に実家に帰ると
「あなたは…そもそも何をされてる方なの??」
と某ものまね芸人のネタのような質問をされ
「何でも屋かな」と説明から逃避し続けて幾星霜。

今年末の帰省こそは「経営企画」と胸を張って答えてみたいところですが
「ナニソレオイシイノ?」となる未来が不可避なので自分の仕事の振り返りも兼ねて、この場を借りて認めてたいと思います。

(アドベントカレンダーなるものを初めて知ったのですが、毎日一つずつ開けると小さなお菓子やプレゼントが入っているものらしい…みなさまの師走の忙しい日々のささやかなヒマつぶしになれれば幸いです。)


はじめに

私は新卒で入社し、製品開発、製品評価、導入コンサルタント、業務推進、品質管理、プロダクトマネジメントを経て経営戦略室(兼 経営企画)に。
(新卒から各部門を経て経営企画になるという経歴の方は少ないのでは…)

さまざまな部門との「円滑なコミュニケーション」と、より「スピード感をもった推進」のために、虎の威を借る形で現在は CEO Office(経営企画 兼 社長室)として業務に従事しています。

いま思えば、当社創業者の強い意志(口癖)に共感し、入社からずっと「問題解決」を追いかけてきたいま、経営企画という問題解決に従事する機会を提供してくれた現CEO と異動のきっかけとなったトガりに尖ってた元同僚には感謝しています。事業成長という形でお返ししようとこの場で密やかに宣誓しておきます。

さて、当社は「問題解決型インターンシップ」「年間1000名超の大量採用」、「六本木ヒルズジャックしての次世代ERPの発表」など華々しい拡大からの「技術開発の遅延」をきっかけに業績が悪化、一時は債務超過に陥ったものの「主力事業の売却」「創業者の退任」、「事業再編」「体制変更・体質改善」を経て黒字経営まで再建したという前のめりで “ほんの少ーしだけ“ 波乱が多い企業です。

そんな当社でいま「経営企画」をしていて一番強く感じていることは、
戦略立案、リスク管理、事業計画策定、予実管理、会議体の設計と運営、事業部門間調整、組織改革の提案、事業拡大の加速のための支援、ステークホルダーとのコミュニケーション…

経営(経営企画)ってめちゃくちゃ大変じゃねぇか

会社の未来をつくる

まず年次で事業戦略を策定していくにあたり、まずはビジョンの明確化…
もちろん当社のミッション・ビジョンはしっかりありますので、それを再確認しながら最新の経営状況と市場変化に則して、よりピントを合わせた近未来ビジョン、それを実現するための戦略の質を高めていくべく、年度末に経営陣を集めて経営合宿を企画したりしています。

 われわれが未来でつくりあげたいものは何なのか。
 我々のいまの仕事はそれに最速で向かっているか。

そこであがった経営陣の想いや勢いみたいなものをそのまま形(事業計画)にしたいところですが、もちろん現実はそんなに甘くないわけで。
「さて事業計画に落とすか」というタイミングになれば、忘れちゃいけない目先の課題に視野狭窄の罠があり、またはフィージビリティを意識しすぎて低い目標設定にしてしまいたくなる誘惑もあれば、想いが強くて事業部門間の温度感というかバランスだったりがとれておらず隣の部門に睨まれそうな火種もあったり、さまざまです。
そういう現実的な側面も意識しながら会社の事業全体を横断してどうしていくのか経営メンバーみんなで侃侃諤諤の議論を(合宿後も)継続していって戦略および事業計画を立てていきます。

事業計画に向けた戦略合宿の企画運営はあくまで一例で

1. 戦略立案 - 企業の長期的な目標や方針を設定し、戦略的な計画を策定します。
2. 市場分析 - 市場の動向、競合他社の動き、顧客の需要などを分析し、市場における企業の位置づけを評価します。
3. 財務計画 - 予算の策定、財務分析、投資計画など、企業の財務状況を管理・計画します。
4. リスク管理 - ビジネスリスクを特定し、それらを管理・軽減するための戦略を立てます。
5. 業務改善 - 組織の効率化、プロセスの改善、コスト削減などを通じて、企業運営の効率を高めます。
6. プロジェクト管理 - 企業の主要プロジェクトを管理し、計画通りに進行させます。
7. 組織開発 - 企業文化の構築、人材開発、組織構造の最適化などを行います。
8. 意思決定のサポート - 経営陣に対して、データに基づく分析や提案を行い、意思決定をサポートします。

ChatGPT4による「経営企画の業務」

経営企画といっても企業の業種業態やステージ、目指す方向性によって様々だと思います。

このたび経営企画カンファレンスや懇親会に参加させていただき、多くの経営企画の方々から濃くてリアルなお話の数々を伺うことができたのですが、IPOを中心に活躍をされている方から内部統制や財務中心の管理をされている方や、ほぼ経営者な方まで様々でした。

そしてどの企業の経営企画の方のいずれの業務においても、経営企画の活動を通じて、経営の方向性を定め、会社の持続的な成長を支える基盤を築く、つまりは「会社の未来を形作る」役割を果たすものばかりで、勝手に心強かったのを覚えています。

経営企画に求められる価値

今回アドベントカレンダーに投稿されている経営企画の先輩方が経営企画の芯となる部分の「何たるか」を説いてくださっているなか恐縮ですが、私からもマイポリシー的なことを少しだけ。

  トップの意思決定の精度 は
  的確な情報 によってしかなりえない。
  当社の今を作ったのは他の誰でもなく我々である。

意思決定のために必要となる情報は、定型で集まるようになっている定量情報もあれば、機微な変化を察知するための定性情報だったり、行動力学的にも自然と報告されるものもあれば、指示して取得しないと見えてこないもの 指示していくら待っても出てこないもの など様々です。

当社のように無限に新卒を採用したり、コロナが話題になって即判断で完全テレワークに移行してオフィスを手放してみたり、事業を分割して売却したりと目まぐるしい変化の中で(もちろんメインの事業が滞りなく進むようにはするものの)端々で気づかないうちに「情報精度が落ちている」というのはよくある話です。

  • テレワーク環境におけるコミュニケーションミス

  • 部門間のべき論や正義の置き場所の違いによる相互理解の不足

  • 変革のなかで優先度が下がって情報システムへの投資が後回し

  • 運用違いによる現行システムで情報収集に手間がかかる

  • 体制変更による情報の欠落

ひとつひとつは部門という断面のなかでは些末なことだったりもしますが
現場で正しく機能していない部分(機能不全)があると
そこから上がる経営情報は、結果として「理」にかなわない判断を誘発してしまう可能性があります。(※具体的な話を語りだすとカレンダーの12月13日のポケットだけミッチミチになってしまうのでここでは割愛します)

「因果」でなく「相関」にあるものがあたかも「因果」であるかのように扱われてしまっていないかどうか、日々気をつけること。
そしてそのひとつひとつの情報が明日の経営判断につながると意識することを意識しながら業務に向き合うように意識しています。

悩み多き仕事

ここまで立派な言葉ばかり並べてしまったのですが
恥を忍んで申し上げると
世に言われる「経営企画の苦悩」は当社にも存在します。

 ・守破離的な事業計画策定の難しさ
 ・責任所在があいまいになりがちな企画推進
 ・事業部門間で円滑に進んでいない業務における体制改善
 ・現場と経営の見えない意識の溝 / 経営と現場の板挟み
 ・経営情報の統合活用とリスクマネジメントなど不確実性への備え など

当社のCEOは財務のプロフェッショナルであることもあり、我々経営企画に求めることは、意思決定に必要となる横断した情報整理、円滑な運用のための内部統制、特務っぽい対応がメインです。

経営企画は、経営を企画することを通じて事業成長、「会社の未来を形作る」という成果にコミットしなくてはなりませんが、
しかしながら、経営企画である私自身は
製品を開発するわけでもなければ、販売するわけでもなく
お客様とプロジェクトを進めるわけでもないので
当社の機能(各部門・事業所)を「全体視野」で見つつ
共通言語である「数字」を用いるのですが…
その数字も、数字を出せば同じ方を向いてみんなGOとなるわけじゃない、
数字を出せばうまくいくってわけじゃないのが、また興奮しますね。

経営メッセージの行間を埋める

経営企画として大事なスキルは丁寧な言語化だと思っています。
「現場が自律的に機能する戦略をわかりやすく(なぜ)を浸透させる」
なのではないかなと。

経営会議に出席している経営メンバーであればわかることも
現場に近い管理メンバーが経営からのメッセージや「数字」を誤解なく受け取るというのは意外と簡単ではなかったのです。
(どんなに優秀な経営者からのメッセージであっても)

我々経営企画に必要だったのが
経営の意思やメッセージを現場に対して言語化することでもありますし
経営からのメッセージの行間補足できる立ち振る舞いだったりします。
そして、それが「ビジョン」であれ「数字」であれ「さらなる丁寧な言語化」であれ、共通語を作るということが経営企画の推進を円滑にする最大の土台なのだと。

戦略の策定(ビジョンの明確化)、財務情報、事業計画に基づく予実
リスク管理(不確実性の環境理解)など、経営企画は常に大局を見据え、
経営が正しく判断できる状況を作る。
それが経営企画の最大の仕事であり最高の醍醐味なのかもしれません。

「何でも屋」

つらつらと書き連ねてきて思ったのですが、経営企画におけるチャレンジはほんとうに多岐にわたります。経営という視点においては自分の仕事の幅を制限されないことが多いのではないでしょうか。
それゆえに経営企画という仕事は当社内でも「何でも屋」と揶揄されることも少なくありません。おそらく当社でも私を何でも屋と認識している社員もいることでしょう。
ただ、これは経営に必要なこと、経営情報を正しく用いるために必要なことは「何でも」やっていいということなのだと。

経営企画のみなさんの話を伺ってより確信しました。
経営企画の職は、組織の幅広い領域にわたる課題に対応し、戦略的な視点から会社を導く重要な役割を担います。「何でも屋」という表現は、経営企画の幅広い職務と重要性を称賛するものである!と。

DALL-E による「何でも屋と揶揄される経営企画」の図

さいごに

7月期首の当社においては、年末は上半期末の締めでもあります。
考えるだけでため息が出そうになりますが、年末年始に実家で「私の仕事は経営企画で企業の未来をつくる仕事だ」と胸を張って言えるように、
一般的に揶揄されるような
なんでもやらされる「何でも屋」ではなく
企業の未来をつくるために
なんでもできる「何でも屋」になりたいものです。

経営企画のみなさまに、穏やかで楽しく前向きな年末が訪れることをサンタさんに祈って締めとさせていただきたいと思います。

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