
しゃがみ込み時の違和感に対処する/Vol.1
本記事は2024.2.23-24に香川県にありますゲストハウス型のリトリート施設"さぬきリトリート 繋安芯堂"で行われた、《心のストレッチ》本コース合宿の1セッションをまとめたものです。
《心のストレッチ》とは、成長し続けたいと願うトレーナー、セラピストたちが半永久的に成長し続けられる場として2018年に始まりました。
2024年5月現在70名が在籍しているコミュニティになります。
詳しくはこちら。
《心のストレッチ》本コースでは、参加者の課題にフルコミットして課題を解決できるように内容が毎回変わります。
今回の参加者の1人が提示してくれた、「しゃがみ込み時に右膝に違和感がある」という課題に対して行ったセッションです。
まず参加者の一人からどのように膝の痛みに対して評価し、臨床推論を進めていくかプレゼンをしてもらいました。

ここで実践してもらったプレゼンを要約します。
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現病歴や既往歴などについての問診、そして痛みの出る動作やそれに関連すると思われる動作の評価をしてから、患部の評価に入っていきます。
患部の評価としては炎症所見の有無(熱感、発赤、腫脹、疼痛、機能障害)をみたのち、圧痛部位の評価、可動域や筋出力の評価をする。
可動域を評価しながら、完全伸展時のFT関節(大腿脛骨関節)のふるまいを質的に評価する。伸展時は大腿骨と脛骨の後方への滑りが均等に起こっているかを中心に回旋のアライメントもみていく。
膝関節屈曲では屈曲最終域でのエンドフィールと下腿の内外旋のモビリティを評価。
さらにPF関節(膝蓋大腿関節)のアライメント、各方向へのモビリティを評価。
そうしてアライメント不良が見つかったら、その原因を患部周囲の軟部組織から探していきます。筋の短縮、筋間の滑走性、皮膚の可動性、膝蓋下脂肪体や上嚢の硬さ、靭帯と皮膚や筋との滑走性などをみていく。
患部外である足部、股関節、仙腸関節、脊柱、経絡などから原因の原因をさらに探していく。
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プレゼンが終わったところで、参加者同士で疑問点がないかディスカッションしてから実際に評価、施術を一連の流れで行ってもらいました。

頭では理解していても、実際にその評価が適切なのか、どのくらいの精度で感じられているのか、これはその場にいなければ伝えられないことです。
今回の参加者2名も、知ってはいてももっとクオリティを高める伸びしろが見つかりました。
エンドフィールまでしっかり動かせているか?
骨の動きと抵抗感を感じられているか?
筋の起始停止をイメージしてアプローチ場所を見定めてゆるめているか?
施術を時短で行うために複数の工夫を同時に実施できているか?
複数ある問題点をつなげて臨床推論が構築できているか?
例えば、膝外側の腸脛靭帯の硬さが強い、という場合においてはその起始の1つである大腿筋膜張筋を腸骨稜付着部からゆるめていくと筋全体の張力がゆるみ、施術時間を短くできることが多い。
(今回の問題に対して膝外側の硬さにアプローチするかどうかは別の問題ですが)
患部外として足部を評価している時、小趾外転筋の硬さがあり、それを直接的にゆるめようとしていたので1つアドバイスをしました。
小趾外転筋は足部の外側縦アーチがつぶれると伸張され、歩行によって遠心性収縮を強いられます。つまり小趾外転筋が硬くなっているのは外側縦アーチの低下によって引き起こされている、と考えると立方骨の低下が問題として考えられます。(もちろん、さらに立方骨が低下した原因は?と考える必要はありますが)
立方骨のアプローチに関してはまた別記事で紹介したいと思います。
立方骨を含めた足部へのアプローチ、そして下腿外旋を修正するように膝窩部の筋間や前十字靭帯再建術後でグラフトとして用いた薄筋周囲の滑走不良に対してアプローチを実施しました。
その後、再度しゃがみ込みを評価すると、
「違和感はほぼ0」になりました。
しかし、「ほぼ」ということはまだ取り切れていない「何か」があるということ。
それは施術の精度なのか、見落とした何かがあるのか。
完全な0を目指そうとすることがトレーナーとしての成長につながります。
本セッションでは開始時にあった違和感はほぼ0、というところまでで終了となりました。
翌日、再度評価をして今度は施術者が交代して施術をしながら残ってしまった要因を探っていきました。
そちらはまた別記事にて紹介できればと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以下告知
《心のストレッチ》では、このように参加者に合わせて具体的に課題を解決しにいきます。
そのような場が共にできるように
前提となる考え方や研ぎ澄まし方をお伝えする形で2日間の入門合宿のみ、内容はある程度固定され実施しています。
また、顕在的に課題を認識できていなくても他の参加者とともにセッションをすることで「気づいていなかった」課題にも出会えます。
ご参加希望の方は入門合宿に参加していただく必要がありますので、こちらの公式ラインにご登録の上、お名前と「入門合宿希望」とメッセージをお送りください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。