氷河期世代を見捨てたことは、何を意味していたのか、何をもたらすことになるのか②

前回の氷河期世代についての記事第二弾です。

前回の記事では、
・氷河期世代は本当に就職がなかなかできなかったこと。
・就職できず社会に出た人たちが、約7年で100万人を超えたこと。
・その人たちの雇用、安定などを、団塊世代の安定のため切り捨てたこと。

その結果が、現状の少子高齢化、人手不足に繋がっていることを説明しました。

さて、これらは歯がゆいですが、過去の事実です。
だからこそ、これから挽回する手立てはあるのかを検証していきます。

氷河期世代に関わる課題

氷河期世代に関して、課題は以下の通りです。

  1. 経済的な自立、見通しが立たない人が多い

  2. それゆえに未婚者が多い(結果少子化になった)

まず①から考えましょう。

氷河期世代は新卒の時に就職が上手くいかず、そのまま非正規、もしくは引きこもりになっている例が他の世代より多いと言われています。

数字の統計を見る限り、引きこもりに関しては39歳までの人数と、40歳~64歳までの人数はほぼ同数です。なので、氷河期世代だから特別引きこもりが多いというわけではありません。(むしろ人口の母数を考えると、39歳までの引きこもりのほうが人数が多く深刻ですが、それはまた別の機会に触れます)

しかしながら、実数では引きこもり人数は40歳から64歳の人たちで70万人程度おり、決して看過できる数字ではありません。

この人たちの多くは親の年金で生活しており、親の高齢化、死去に伴い、様々な問題が発生しています。すべての方々の解決は難しいにしても、まだ働ける年数が長い、40代の引きこもりの就労支援は意義があります。

将来、生活保護や犯罪リスク(生活力を持たない高齢者があえて犯罪を犯し、刑務所に入ることを望む方がいる事実)を回避することができます。また、就職してもらうことで人手不足の解消、経済成長の一助にもなります。

また45歳~54歳の人たちは、若年層と比べると、非正規雇用者の割合が多いのも事実です。主婦の方など、望んで非正規雇用になっている人もいますが、正社員になりたい方もおられると思われます。
高度スキル人材の不足や経済成長を考えれば、非正規雇用から正規雇用へ人を流動させることが望まれます。

どちらにしても、中高年層の就労支援やスキル習得支援を行うことが必要です。特にIT人材がこれから数十万人から100万人弱も不足すると言われ、バスやタクシーの運転手、製造業の人手不足などが叫ばれている中、数万人、数十万人の有用な労働者を育てることができれば、大きな成果になります。

また労働者側も、高度スキルの習得により、賃金の向上、生活の安定、将来の安心などを獲得できます。

②の課題について

さて、有識者たちがもう少子高齢化の対策は手遅れと言うのは、氷河期世代が全員40代に突入してしまったことからの発言です。

現実問題、人間の出産可能年齢はおおむね40歳程度です。それよりも高齢での出産例はありますが、医療ケアが必須であり、それでも母子ともに負担は大きくリスクが大きいことには変わりありません。
やはり医学面から指摘されている通り、40歳という基準は否定しがたい数字になります。

しかし、だからといって支援の必要がないわけではありません。仮に子供を儲けることができないにしても、結婚の支援はすべきと思います。

結婚することで心身の傷病発生率が下がることは統計的にも指摘されています。これから長く働くことにならざるを得ない世の中で、パートナーがいることは、本人にとっても、社会にとっても、政府にとっても有益になります。

また日本の医療、介護現場では、手術や入院、介護施設への入所をする際には身元保証人や引受人が必要になります。これは家族や後見人でないと対応できないことも多く、独身のまま高齢者になると、こういったところでも問題が発生します。日本の制度の多くは、家族を持っていることを前提に作られていることが多いことも踏まえないといけません。

だからこそ、結婚促進の支援が必要です。
現実問題、結婚するにはお金がかかります。ある程度、身支度を整えないといけませんし、婚活を行う時間的、経済的余裕も必要です。

また、40代ともなると自然に職場や友人の繋がりで結婚することは難しいです。しかし、結婚相談所の利用は、男女ともに少なくない費用がかかります。

つまり、現状はお金のない中高年は結婚がかなりしにくい状況にあるのです。社会学では、結婚などにより家族というコミュニティを作るのは、一生食べていける資産がないからこそです。資産が無い者同士が寄り集まり、何かあった時に支えあうことで、人間は生きてきました。しかし、現状は資産が無い人ほど結婚できない状態にあるのです。

個人的にはハローワークのような、公的結婚相談所を作るべきです。仕事もハローワークと、民間の人材紹介業者があるように棲み分けは可能です。未婚率が上昇している中、将来の大量孤独死を避ける意味でも、公的な結婚支援が必要でしょう。

ただ、そのための人手もまた不足しているのが実態ではあります…。

以上になります。
有識者たちが手遅れと言うのは、結局のところ、何をするにも、どんな施策を打つにしてもそのための人材、人手が足りないことを指摘しているのだと思います。

ただ、それでも何かしないと衰退するだけです。政府、公的機関は、中長期的な視野に立って、民間から人を奪うくらいの勢いで手を打ち、対策を打たないといけないと思うのです。(結果、周り回って、民間企業に育てた人材が供給されていくので)

今、有識者たちは、「20年前に動くべきだった」と指摘し、嘆いています。
20年後、氷河期世代が全員高齢者になったときに、「20年前に動いていれば」という指摘がなされないことを無いことを祈るばかりです。

今後もこういった記事をあげていきます。
仕事のご依頼などありましたら、以下のメールアドレスまでご連絡ください。

umezawa.hr@gmail.com

引き続き、よろしくお願いします

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