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初の上海で、台湾を想う。

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初の上海、そして初の中国私的訪問。電通入社してから営業配属になって一番最初の出張が香港・深セン・東莞だったから、あれ以来10年ぶりの訪中。10年前、携帯電話がどうだったかなんて記憶にも残っていない。もちろん、スマホはなかった時代だから、電話なんかもったいなくて、ほとんど使っていなかったのかもしれない。今回の上海訪問で、まるでヨーロッパのような街の美しさと、得体の知れないビッグマネーと、そして、ここのところ毎月通っている台湾のことを想った。

英語が通じない。

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初の上海は、思った以上に英語が通じなかった。街なかの屋台が通じないとかいうレベルじゃない。こんなにも「欧米かよ」感出しまくってる街の風景背負ってるくせに(や、くせにとか言うのもあれなんですけど、それはわかってるんですけど)空港の警備だろうが、ホテルのフロントだろうが、英語は感覚値80%くらいの確率で話せない。実際に上陸するまで香港と上海の区別がわからない程度の僕は、言語と言うグレートウォールに当時訪れた香港と上海の違いを味わった。

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でも大丈夫。テクノロジーが彼らの英語力を十分すぎるくらいに補ってくれていた。すぐにスマホが出てきて、ホテルのフロントではスマホが彼らの代わりに案内してくれる。wechatも、中国語以外の言葉を認識して「翻訳する」と言うボタンが追加され、そのチャット画面ですぐに翻訳してくれる。相手が中国語で返信し、こちらは日本語で返すことができる。となれば、今後、ホテルマンが英語を使えなかろうが、クレームをするのはやめたほうがいい。むしろ翻訳アプリも使えないあなたの方が、かっこ悪いと言われる時代が来ているんだろう、と。

しかし、アプリが僕の日本語を正しく翻訳くれるかちょっと不安だからって、難しい日本語は使わず、あえて片言の日本語で「ワタシハ、パスポートヲミセルヒツヨウガアリマスカ」的にアプリに話しかけたりなんかしちゃってる機械への忖度魂に我ながら頭が下がる。

ネットが通じない。

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ご存知、本物のグレートウォールは彼らのインターネット回線にある。GAFAは一斉にブロックされ、UBERも、Netflixも、あらゆるサービスが中国人向けに内製されていて、VPN付きのワイファイさえ持っていけばいいと甘く見ていたけれど、レンタルしたワイファイ、マックの設定ができないっぽい(できるのかもしれないけど、やり方書いてない)。だから初日から、パソコンで一切仕事ができない状態になってしまった。謎に、中国でslackは使えるのが不幸中の幸いだったんだけど、とにかく困った。VPNもどれに接続すればいいかわからず、そもそも、GoogleもSafariも使えないのに、パソコンで何かをダウンロードすることも許されないじゃん、と手詰まりになった。

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でも大丈夫。3日目くらいにふと「baidu.cn」とgoogleに直打ちしたところ、ひらけた!そこから中国の知人に聞きまくり、携帯はVPN.ac(実際は使わなかったけど)、パソコンはlanternですぐに解決した。当初、オンラインチャットでカスタマーサポートを丁寧にしてくれたexpressVPNが日本語対応もしていて綺麗なUIだったので、ダウンロードしちゃったんだけど、中国ではほぼ使えなかった。最近規制が強まっているらしく、彼らも困っている様子だった。中国の検閲と、VPNとの戦いは今も続いている。

【参考記事】中国のVPN規制ますます厳しく!【2019年11月最新】今使えるおすすめは?  >>> 「セカイVPN」 → 使える! (更新日:2019年11月18日)

クレジットカードが使えない。

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今回の旅、何より悔しいのは、Alipayやwechatpayを使って支払いができなかったこと。中国で現金を持つほど、意味がないような時代にますますなっていく中で、結局僕は30元(いうても500円くらい?)ほど無駄に日本に持ち帰ることになった。本当にどこもかしこも、どんなお店でも、老若男女、みんなキャッシュレス決済。中国発Luckin Coffeeはスタバのようにおしゃれで、かつ現金の決済を一切受け付けないユニコーン企業として急成長したが、僕はこのコーヒーを飲むために、誰かの世話にならないといけなかった。なんどもwechatpayや、alipay、Didiなんかで日本のクレジットカードを登録しようとしたけど、ダメだった。恐る恐る使えたのはVISA。時々、レジで一回目通らず、何回か試してもらう必要はあることもあったけど、VISAなら使えた。早くここも「でも大丈夫。」と言いたい。

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【参考記事】日本人が使える中国キャッシュレス決済“アリペイ”。現地で使って分かった「便利だけど不便」  (2019年12月2日)
【参考記事】2019年にスタバ抜くと豪語した中国luckin coffee。「コーヒー業界のofo」説も浮上

台湾は、中国です。

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上海では、いくつかの宿泊先とHafHについて紹介をした。全体的にはとても好評で興味を持ってくれた。新しいビジネスモデルである。と。ただなかなか英語が通じないから、パンフレットも台湾向けに作った繁体字の資料を配布して説明。その際、Mr.忖度の僕はことさらに、彼らに声をかけた。

「繁体字だから、読めないかも知れないけど。汗」「台湾向けだから、中国むけにはまた作らないといけないと想ってるけど。汗」

台湾と中国の「ちがい」を強調して、中国は中国で簡体字向けの準備を進めることを表現した。

その時、我慢ならない様子で、彼らは「(何か勘違いをされているようですが)台湾も、中国ですよ。」と返信が来た時の、僕の衝撃。

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北京から来た、とある新しい宿泊ビジネスを進める企業のブランディングマネージャーの若い女性2人から「Taiwan is a part of China」と。

いつの間にか台湾側につきまくっていた。気付かされた。多様性を失っていた。中国にとっての一国二制度ではなく、台湾にとっての台湾は独立国家という考え方一択になっていた。こんなにも現代風の、若い女の子が、北京からわざわざ日本人の僕に上海まで会いに来てくれて教えてくれたのは、台湾という国の難しい立ち位置についてだった。

中国人にとって台湾は、中国の領土だし、ロシア人にとって北方領土は、ロシアの領土以外の何ものでもないし、日本人にとっての竹島は、当然日本の領土なのだよね。真実と事実がかけ離れることは世界のたくさんあって、でも現実問題、真実ではなく事実がここ目の前に立ちはだかる。中国に上陸して初めて、中国側から見た台湾を、リアルに感じ取ることができたのは、僕にとって大きな収穫だった。

HafHは、17の国と「地域」で、定額制、住み放題。

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この地域とは、「台湾」を指しています。今のHafHにとって、もっとも多い海外拠点が台湾で、すでに10拠点以上の提携先があります。台湾は、僕たちHafHにとって、とても大切な場所になると想っていて、今後もっともっと日台、そして九州ー台湾の絆を深めて行きたいと想っています。

中国と日本のそれぞれの文化を上手にミックスしながら自分たち独自の新しい文化を常に産み続ける台湾。国連から脱退しながらも、どこの国よりもSDGsという概念の達成に真剣です。英語があまり話せない国だと想っていたけれど、むしろ日本語で話せたり、日本語で話しかけてくれたりします。英語で話すと怪訝な顔をされる中国とは、その辺りは大違いだなぁという印象を受けました。彼らは今、中国からのインバウンド観光客激減により、経済は大きなダメージを受けています。民主独立方針維持か。中国に目を向けなおす台湾に、大きく舵を切るのか。間も無くの総統選挙で、台湾の民意が問われます。

【参考記事】台湾総統選、蔡氏が優勢 対中警戒感追い風に
3陣営が届け出 国民・韓氏は支持伸び悩み(日本経済新聞)

このタイミングで上海に行けたことは、僕の多様な価値観を広げる上でもとても役に立ちました。世界を旅して働く魅力、そして恩恵を受けました。僕は同じ地域に3つの理由ができればチケットを取ろうと想っています。1つだけだと、世界中に候補地が生まれてしまうんだけど「ハワイでAさんに会いたい」「Bさんにも会わないと」「Cは今しか見れない」という3つが揃うとハワイ行きのチケットをとるんです。仕事はリモートワークどこでもできますから、そうすると、人生が何倍も勉強に繋がります。

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最後に、今回の上海行きに声をかけてくれた紺野さん、そして温かくかまっていただいた皆さんに、心から感謝します。引き続き、どうぞよろしくおねがいいたします。

(写真提供:naoya , instagram@naoya.akamine




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