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V7の和音 一歩進んだ和声学 Part 10

今回はV7の和音を学んでいきます。
いわゆるセブンスコードですが、3和音に7度の音を付け加えることで出来上がります。ここではドミナント和音であるV7を扱いながら、この和音のルールなどを見ていきましょう。

1 7の和音

7の和音のことをいわゆるセブンスコードといいますが、この和音群は先程述べた通り3和音に7度の音を加えたものをいいます。

7の和音を表すときはローマ数字の右下に小さく7と表記します。
このように3和音に付加された構成音を付加(構成)音といいます。付加(構成)音を含む和音を付加和音(形体)といいます。

I7の和音だったらB(シ)の音付加(構成)音になり、III7の和音だったらD(レ)の音付加(構成)音になります。

今回ではもっぱらV7の和音のみを扱います。

2 V7の和音

Vの3和音に7度の音(第7音)を付加するとV7の和音になります。
この和音は属7の和音とも呼ばれます。

V7の和音はすでに学習した基本形、第1転回形、第2転回形に加えて、第7音がバスに配置される和音の形を第3転回形といいます。
上3声はバスに配置されている音以外の音を配置します。
基本形なら上3声には根音以外の音を配置、第1転回形なら上3声には第3音以外の音を配置します。

第3転回形を表すには右上に小さく3を付けます。

また基本形においては第5音を省き、根音を加える形も使われます。

右が第5音を省いた形

上3声は密集配分、開離配分どちらも使用でき高音位も自由です。ソプラノに第7音が置かれた場合は第7音高位といい、(7)で表します。

3 限定進行音

V7の和音には限定進行音というものが含まれています。特定の進行をする構成音を限定進行音と呼びます。V7の和音にはすでに紹介した導音(第3音)第7音が限定進行音になります。

導音(第3音)は2度上行してI(主音)の音に進行します。
第7音は2度下降してIIIの音に進行します。

V7の和音がT和音(I・VIの和音)に進むことをV7の和音の解決と言います。

4 T和音への連結

(1) V7(基本形)→Iの和音

V7の基本形からT和音への連結はIの和音に進むか、VIの和音に進むかのどちらかを選ぶことができます。

3和音であるVの和音ではIの和音に進む際にIの和音基本形か、Iの和音第1転回形のどちらかを選べましたが、V7の和音では第7音が必ずIIIの音に進むため、Iの和音第1転回形に進んでしまうと第3音が上3声にも配置されてしまうので、V7の和音ではIの和音第1転回形に進むことができません。

第7音の2度下行と、根音の3度下行による並達8度はいかなる声部においても禁止されます。上の例の場合はアルトが第7音の2度下行、バスが根音の3度下行による並達8度を起こしており禁ぜられる進行です。

以下V7の和音基本形→Iの和音の連結の例を挙げます。

第5音を含む形の場合は第5音が2度下行して主音に進行する(右の例)

この連結におけるV7の和音は第5音が省略された形が使われることが多いです。もちろん第5音を含む形でも使われますが、この場合は第5音が2度下行してI(主音)の音に進行します。なので、その際にできたIの和音は第5音が省略された形で現れます。


(2) V7(基本形)→VIの和音

V7の和音基本形からVIの和音への連結に関しては、V7の和音は第5音を含む形で使用されます。限定進行音はそのまま進行され、第5音は2度下行します。

(3) V7(第1転回形)→Iの和音

この場合は第3音(導音)がバスに配置されているので、必然的に後続和音はIの和音基本形になります。

(4) V7(第2転回形)→Iの和音

V7の和音第2転回形の場合は基本的にはIの和音基本形に進みます。Iの和音第1転回形に進んでしまうと第3音が重複してしまうからです。

しかし、特定の条件を満たすことによってIの和音第1転回形へ進むことができます。まずは以下の例をご覧ください。

進行に関しては
①V7の和音第2転回形→Iの和音第1転回形→IIの和音第1転回形
②V7の和音第2転回形→Iの和音第1転回形→V7の和音第3転回形

のどちらかに限ります。
これは下行限定進行した声部とバスとが反行かつ順次進行を継続する限り許されます。

左の例ではテノールが下行限定進行を担当している声部であり、バスと反行してなおかつ順次進行を両声部ともに継続しています。この際IIの和音第1転回形は最適な形(密集配分で根音高位)ではありませんが、この場合は致し方ないというところでしょう。

右の例ではソプラノが下行限定進行を担当している声部で、こちらもバスと反行しなおかつ順次進行を継続しています。

(5) V7(第3転回形)→Iの和音

この場合はバスに下行限定進行音(第7音)を含んでいるので必然的に後続和音はIの和音第1転回形となります。

5 先行和音→V7の和音の連結

後続和音がV7の和音の時でも保留できる音があれば可能な限り保留します。

V7の和音基本形において第5音を含む形の場合は保留せずに上3声なるべく下行させます。ただし先行和音がVIの和音だった場合はこの限りではありません。

6 まとめ

V7の和音には限定進行音が二つ含まれています。
導音(第3音)は2度上行してI(主音)の音に進行します。
第7音は2度下降してIIIの音に進行します。

T和音への連結は
V7の和音基本形→Iの和音orVIの和音
V7の和音第1転回形→Iの和音
V7の和音第2転回形→Iの和音orIの和音第1転回形(条件付き)
V7の和音第3転回形→Iの和音第1転回形
に分類されます。

先行和音→V7の和音の連結においては
保留できる音はなるべく保留する。
後続和音がV7の和音の第5音を含む形なら保留せず上3声をなるべく下行させる。しかし先行和音がVIの和音の場合はこの限りではない。

以上となります。
次回は特殊な形である、V7の和音の根音省略形というものを学んでいきます。

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