見出し画像

バッハも参考にした、シャルル・デュパール

ここではバロック時代の作曲家、シャルル・デュパールを紹介します。彼はフランス生まれ、後にイギリスで活躍した音楽家で、生没年は諸説ありますが、最近だと1676~1751という説が出ているようです。これが本当なら、あの大クープランである、フランソワ・クープラン(1668~1733)と同時代の人物ということになります。

フランソワ・クープラン(François Couperin)

デュパールの生涯については詳しいことはわかっていませんが、イギリスへ移住し音楽家として活動していたことは残っています。後半は教師としても活動していたようです。

そんな彼の作品の中で1701年にアムステルダムで出版された『チェンバロのための6つの組曲(Six Suittes de clavessin)』はJ.S.バッハ(1685~1750)がこの作品集を写譜して、イギリス組曲BWV806‐811を作曲する際に参考にした作品群として知られています。

ヨハン・セバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach)

このエピソードから、バッハは音楽に対して大変勤勉だったことを証明している一つだと思います。様々な音楽家の才能を吸収して、自分なりに昇華できた結果、あれほどの完成度の高い作品を遺せたのだと思います。他にもブクステフーデ(1637?~1707)の音楽を聞きに行くために400㎞の道を歩いたというエピソードも残っています。すごいですよね。

バッハはイギリス組曲第1番の前奏曲にデュパールの第1組曲のジーグ主題を、少し形を変えて引用しています。

デュパール 第1組曲 ジーグ
バッハ イギリス組曲第1番 前奏曲

さて、話を戻しますが、このデュパールの組曲は第2組曲を除いて

  • 序曲

  • アルマンド

  • クーラント

  • サラバンド

  • ガヴォット

  • メヌエット

  • ジーグ

という構成をとっています。第2組曲のみメヌエットがパスピエに取り替わっています。

最初はチェンバロソロの作品として作曲されていますが、後にトリオ・ソナタ風にもアレンジされ、ヴァイオリン、リコーダー、通奏低音という形で演奏されます。

こちらの動画は第6組曲をトリオ・ソナタの編成で演奏されたものです。中でもサラバンド、メヌエット、ジーグは3人の演者によって踊られています。ステップなども確認できるのでバロック音楽が好きな方は必見です。

この組曲には現在では用いられない装飾法が書かれているのも特徴です。

第6組曲よりメヌエット

音符の右、もしくは左に()がついていたり符幹に斜線が引かれていますね。これらに関しては演奏方法がちゃんと決められています。

また、フランス出身の作曲家なので、イネガル奏法(不等音符)が演奏に用いられるのも特徴です。これは順次進行をする8分音符を付点リズムで演奏するものです。先程挙げた動画でも順次進行の部分は均等な8分音符では演奏されておらず、付点リズムで演奏されているのがわかると思います。

デュパールの組曲はサブスクでも聞けますので、気になる方はぜひ聞いてみてください。

よければ他の記事もご覧ください。

また作曲、編成もしています。

合せてご覧いただけたら幸いです。
またスキ、コメント等非常に励みになりますので、よかったと思った方ぜひお願いいたします。

皆様の応援の力が励みになります。コンテンツの充実化に努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。