コード進行の分析をしよう! Part2
今回は楽曲のコード進行の分析を行います。
セカンダリードミナント、サブドミナントマイナーを学んできたのでそれが使用されている楽曲をチョイスしました。
まだセカンダリードミナント、サブドミナントマイナーについての記事をご覧いただいていない方はこちらと合わせてご覧ください。
ではまいりましょう。
セカンダリードミナントを使った楽曲
今回は『まちぶせ』という曲を使ってコードの分析を行います。
こちらの作詞作曲は荒井(松任谷)由実さん。
歌は三木聖子さんがオリジナルで、一般的には石川ひとみさんのカヴァーが知られています。
まずはキーの判別からです。この曲のキーは何でしょうか?
答えはAマイナーです。
しかし、この曲はAmのコードから始まらず、Dmのコードからスタートしています。
以前キーというのは「曲が特定の音階に基づいて構成される音の組織」と説明しました。
簡単言えば「ドの音で始まる曲はドの音で終わる」というようなシステムのことをいいます。
しかし今回のようにドの音以外で始まる曲もたくさんあるわけです。
そこでそのような曲の場合はどうすればよいのでしょうか?
ひとつの判断基準としては、セクションごとの終止形に注目することです。
ここでいうセクションというのはイントロ、Aメロ、Bメロ、サビなどのことをいいます。
例えばイントロは何のコードで終わっているのか、Aメロは何のコードで終わっているのかを調べていけばよいのです。
この曲の構成は以下の通りです。
このセクションごとに終わりのコードを調べてしまえばキーを選出できます。
アウトロはフェードアウトしてしまうので調べられませんがその他の部分で判別していきます。この曲はすべてのセクションで最後のコードがAmで終わっていることから、キーがAmと認識できます。
細かく言うと、アウトロ以外のセクションはE→Amというコード進行をしています。
これはAマイナーにおける全終止の形ですね。全終止はドミナントコードからトニックコードに向かうものでしたね。
以上の理由によりキーはAマイナーであるということがわかります。
さて、少し話が長くなってしまいましたが、肝心のセカンダリードミナントがどこで使われているかです。
Bの部分を聞いてみましょう。(0:51~からです)
コード進行は以下の通りです。
|Dm G |CM7 |Dm B |E |
|Dm G |CM7 |Dm E |Am |
(|は小節線です)
キーがAマイナーなのでダイアトニックコードは以下の通りです。
ひとつだけノンダイアトニックコードがあるのがお分かりでしょう。
このB→Eというコード進行がセカンダリードミナントです。
セカンダリードミナントは「ダイアトニックコードの5番目のコード、つまりドミナントコードをトニックとする調(キー)から、そのドミナントコードを一時的に借用する」というものでした。
なので、今回のドミナントコードにあたる「E」をトニックにもつキーからそのドミナントコードを借りてきます。
「E」をトニックにもつキーは一つしかありません。Eメジャーですね。
そして、Eメジャーのダイアトニックコードからそのドミナントコードにあたる「B」を一時的に借ります。
といったような形です。
では全体を見てみましょう。
最初のDm→G→CM7という進行は、平行調に当たるCメジャーにおけるS→D→Tの形です。
つまり前半でCメジャーに一時的に転調しているわけです。
平行調というのは近親調の一種なので、転調している感じが薄いです。
カデンツでいうと
T→S→D→Tの最初のTがない形ですね。
続いてDm→B→Eという進行は主調であるAマイナーにおけるS→Dの形です。
ドミナントコードで終わっているということは半終止に該当します。
ドミナントコードの次は、必ずトニックコードおよびその代理コードに進まなければいけないので、後続するDmのコードは4番目のコード、すなわちサブドミナントにあたりますのでコード進行としては間違いになってしまいます。
以上の理由から半終止とするのが妥当だと思います。
そして下段の進行は
Dm→G→CM7は先程述べた通りです。
最後のDm→E→Amという進行は、AmにおけるS→D→Tの形です。
E→Amという進行は先程述べた通り全終止でしたね。
というような分析です。
いかがでしたでしょうか?
今回の分析は私独自の考えになります。当然ですが他の方の分析とは異なる部分も出てくると思います。
あくまでこの人はこのように分析したと参考程度に見ていただければ幸いです。
長くなってしまったので今回はここで終わりにします。
次回はサブドミナントマイナーを使った曲を分析していきたいと思います。
次回↓
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