見出し画像

V9の和音 一歩進んだ和声学 Part 12

今回はV9の和音について学んでいきます。
V9の和音はV7の和音に9度上の音が付加された和音です。ポピュラー音楽ではテンションコードと呼ばれるものの1つです。このV9の和音にも色々な制約があるみたいです。さっそく見ていきましょう。

1 V9の和音

先程述べた通り、V9の和音はV7の和音に根音から9度上の音を付加したものです。これを9の和音といい、V9で表します。またV9の和音は「属9の和音」と呼ばれます。

和声学においては9の和音はV音の上だけに形成されるという見解をとっています。

V9の和音において第9音は第3音、第7音と同じく下行限定進行音です。

そしてこの4声体和声においては、常に第5音が省略された形で用いられます。

まずは最も使用頻度の高いV9の和音基本形を見てみましょう。

2 V9の和音基本形

先程述べた通り、V9の和音は4声体和声においては第5音が省略されます。V9の和音基本形において次の配置の制限があります。

(i) V9の和音の第9音は、根音より9度以上上に置く

(ii) 長調におけるV9の和音の第9音は、第3音より7度以上上に置く

※ただし、予備(先行和音から保留)された場合は、第3音の下に置くことが許される。

(iii) 最適の配置は第9音高位の密集または開離配分である

V9の和音は常にIの和音に進み、VIの和音には進行しません。

限定進行音が3つあるので、必然的に上3声は進むべき音が決まっています。

第9音は2度下行します。(これを第9音の解決といいます)
・第3音、第7音は今まで通りです。

先行和音→V9の和音の連結において、外声間で発生する並達9度は上方の第9音が2度上行によって導かれた場合のみ良しとし、他は避けるべきです。

3 V9の和音第1転回形、第3転回形

V9の和音基本形よりは使用頻度は落ちますが、V9の和音第1転回形、第3転回形の配置、それらを用いた連結を見てみましょう。

(i) 配置
第9音の制約により、以下のような配置に限られます。

(ii) 後続和音
限定進行音はここでも有効なので、V9の和音第1転回形はIの和音へ、V9の和音第3転回形はIの和音第1転回形へ進みます

(iii) 先行和音→V9の和音第1転回形、第3転回形の連結
先行和音→V9の和音第1転回形、第3転回形の連結に関して、V9の和音第1転回形、第3転回形の根音(V音)はほとんど場合先行和音から保留されます。すなわち現段階では先行和音はIの和音に限られます。

4 まとめ

以上がV9の和音の紹介でした。
まとめると

・第5音は省略される
・第9音は下行限定進行音
・第9音は根音より9度以上上に置かれる
・長調における第9音は第3音より7度以上上に置かれる(予備されている場合はこの限りではない)
・外声間における並達9度は上方の第9音が2度上行によって導かれた場合のみ可

となります。
次回はV9の和音根音省略形についてを学びます。

よければ他の記事もご覧ください。

また作曲もしています。

合せてご覧いただけたら幸いです。
またスキ、コメント等非常に励みになりますので、よかったと思った方ぜひお願いいたします。

いいなと思ったら応援しよう!

Ryo Sasaki
皆様の応援の力が励みになります。コンテンツの充実化に努めてまいりますのでよろしくお願いいたします。