近親転調を含むバス課題 一歩進んだ和声学 Part 28
今回は近親転調を含むバス課題を解いていこうと思います。今までのバス課題と変わりはありませんが、それに加えて転入和音、離脱和音を見極めることが必要です。では早速見ていきましょう。
1 例題1
例題1はこちらです。
始まりはハ長調です。どの和音が離脱和音、転入和音になっているかを確かめましょう。
わかりましたか?3小節目からVI調であるイ短調に転調し、5小節目からII調であるニ短調に転調します。8小節目からは主調に戻り、そのままハ長調で終結します。
バス課題を行う際には終止の形も気をつけなければいけません。
全終止ならVの和音はVの和音、V7の和音、I2‗V(7)の和音を使用します。
偽終止ならVの和音はVの和音、V7の和音を使用します。
半終止ならVの和音はVの和音しか使えません。
変格終止ならIVの和音はIVの和音の他に、IV+6の和音や、IV+64の和音なども使用できます。
この例題1において全終止、偽終止、半終止、変格終止を確認しましょう。
わかりましたか?
では、これらをふまえて和音を設定していきます。まずは簡易的に決めていきましょう。様々な選択がある場合はどの和音を設定しても構いません。
簡易的に決めたものがこちらです。
7の和音や9の和音を使える場面がある場合はそれらを使用しても構いません。ただし第7音、第9音の予備が必要な場合はそれを忘れないようにしましょう。借用和音も使える場合は使用して構いません。
では上3声を配置してみましょう。
様々なパターンがあるのでいろいろ試してみてください。禁則(連続5度など)は破らないようにしましょう。
2 例題2
2つ目の例題です。
調は嬰ヘ短調(F#マイナー)です。
どこを離脱和音、転入和音にするかはそれぞれで違いますが、私が今回選んだのがこちらです。
終止形も一緒に確認しましょう。
これらを基に和音を設定します。
和音を設定したら上3声を配置しましょう。
低音4度、2度の予備が必要な場合もありますので、忘れずに予備を行いましょう。
6小節目の4拍目と7小節目の1拍目でテノールが増2度進行していますが、転調進行において後続調の導音に達する増2度上行は内声に限り許されます。
だんだん慣れてきましたか?
3 例題3
では今回最後の例題です。
調はト短調(Gマイナー)です。
同じように、離脱和音、転入和音、終止形を確認します。
私が選んだものがこちらです。
そして和音を設定します。
和音を設定したら上3声を配置します。
人によってバス課題の回答は異なります。様々な転調の可能性を模索しながら何度も練習してみましょう。
4 終わりに
近親転調を含むバス課題でした。
次回はソプラノ課題を行います。
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