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インディゴ・ブルーのシャツの袖


月が青いな 

いつにも増して

気分のせいか

不意に

ギターが鳴り響く店

僕が視線をやる先には

ちいさな

男がすわる

粗い木目の

椅子に腰掛けて

そいつは昔の

流行歌を流す

一つも調子が外れないことが

調子外れであるような夜

名もなき

スコッチのロックを

指でかきまわす

ぼうっと蒸留酒の

棚を見つめる

名も知らぬあなたの

上気した頬に

見とれている

ひとりで

なあに所詮は

席の端と端

気が合うことも

言葉をかわすことも

ないのだろうと

諦める

僕のブルースは

今宵も同じ

猫がゆく 猫がゆく

晴れた月夜に

尾を立てて

誰にも見つけられたくないよな

誰かに見つけてほしいよな

丸く光る眼がアピールポイント

この時間しか冴えない宝石

目をつむって思い浮かべる

あなたのその頬は

触れたらどれほどの…

いや

やめよう

この想像を

手元の

氷も溶けかけたスコッチ

スコッチに還そう

少し酔い過ぎたか

席を立つ 通路に立つ

全く慣れぬタバコを吹かして

数十秒 灰皿に

空いた窓から

手を伸ばしてみる

フレンチリネンの

白のシャツ

月の光に照らされて

インディゴ・ブルーのシャツの袖


酒と2人のこども達に関心があります。酒文化に貢献するため、もしくはよりよい子育てのために使わせて頂きます。