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いつかのための詩集

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どこかで酒と出会うための詩集。
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2018年10月の記事一覧

満天星降るカカシの下で

月夜の晩に

カカシが空を見上げました

カカシの頭上には

幾億数兆個もの満天の

星空が広がっていましたが

なにぶんカカシは

カカシでありますので

子供服のボタンでつくられた瞳には

ただひかりが反射するばかり

一向に

一筋のひかりも

さす気配がありません

カカシは

悲しくなりましたが

なにぶんカカシは

カカシでありますので

あの娘の涙のような

いくばくかの水気すら

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ある晴れた日の回想・無窮天穏天雲

ある晴れた日の回想・無窮天穏天雲

以下の詩を、無窮天穏・天雲に捧げます。

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あの空を幾人が眺めただろう

青が呼んでいる

旅人は故郷を思った若人は未来を思った農民は秋の穂を思った乳児はひかるものを光のまま受け取ったよみ人知らずの雑感が宙に浮く途切れることのない想像の大河

するり するり するり

こぼれ落ちていく記憶の物語の中で

笑ったあなたの顔をどうにかつなぎとめてくれ

あわ

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