AmazonのAmazingな仕事

都心から高速で1時間もかからない工業団地に、最近Amazonの大規模な物流センターができた。自宅は工業団地のすぐ近くにあり、週末の買い物がてらよくその前を車で通る。そのたびに、黒塗り背景に白と黄色の文字のロゴマークが目に飛び込んでくる。街の風景に似つかわしくないほどスタイリッシュな看板がでていて、ひっきりなしに大小のトラックが出入りしている。
Amazonは自動化が進んでいて、工場内は多くのロボットが稼働していると内部を見学してきた知り合いづてに聞いたことがある。


あまり親しくない知り合いが最近在宅で仕事をしているというのを聞いて、職業柄どういった仕事をしているのか気になって、詳しく聞いてみた。

その仕事というのは、在宅と聞いていたので、今流行りのリモートワークとかオンラインなんちゃらといったものを想像していたが、実際はそういった類のものではなく、内職だった。
内職はテレビの中でしか見たことがなく、実際に内職という仕事が未だにある事自体に衝撃を受けた。自分の内職のイメージは、囲炉裏の前で赤子を背負った中年の女性が、せっせとまち針を何かに刺しているイメージだ。あまりに昭和なイメージしかない自分に笑ってしまうのだが、この話をしたときにだいたいみんな同じ情景をイメージをしていたので、きっと誰かに洗脳されているんだろうと思う。

その仕事の具体的な流れは、朝こどもを保育園に送り届けたあとに、車でAmazonの物流センターの前にある事務所に段ボール箱を取りに行き、その単ボール箱を車に積んで自宅へと運ぶ。
当然、自宅から事務所までの移動のガソリン代などの費用は自己負担だ。
そして、自宅でダンボールの中から、「商品」を取り出し、その商品にバーコードやらラベルを貼る。とにかくたくさん貼る。貼って貼りまくる。ダンボールの中の商品全てにバーコードをつけ終わったら、今度はその商品をまたダンボールに詰めて、事務所に運ぶ。
そして、かわりのダンボール箱を受け取ってまた自宅で作業をする、という繰り返しの仕事だ。

ダンボール箱はそれなりに重量があって、車であれば問題ないが徒歩や自転車で運べるような代物ではない。
自宅から事務所までの移動は、自家用車でするのだが、往復でだいたい1時間くらいはかかる。それをほぼ毎日するとなるとなかなかの重労働だ。
内職といえど、提出に期限があるために忙しい家事の合間を縫って一心不乱にラベルを張り続けなければならいという。幼稚園に預けられない小さな子供の面倒を見ながら作業をするというのは相当な労力だと思う。
平均して1日あたり5時間くらいはその内職に費やしているという。

なかなかハードな仕事だ。飽き性の自分には到底無理な仕事だと思う。

半月くらいやったので、それなりの収入になったという。
具体的にいくらになったのか聞いてみたのだが、聞いた全員がただただ沈痛な気持ちになった。


内職の月収は1万6千円。


その後も彼女は欠かさずに内職をやっていると人づてに聞いた。

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