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戦略デザインのお作法、学んできました。②

前回は2つの柱の概略を見たので、今回は詳しい中身を見ていきます。


問題の発見

コース資料を参考に筆者作成

戦略プロセスの初期段階において最も重要なことは、「とにかく始める」こと。

細かく問題を定義するために時間を使うのではなく、将来の可能性を想像し、早くテストしてみることに時間を使います。

そして多くの問題は、いくつかのカテゴリーに分類されます。
主にはこの3つ。

1. 顧客
2. 競合他社
3. 自社

顧客
例:既存顧客の成長が鈍化している、新規顧客にアピールできていない、以前は大切なパートナーであった小売店や卸売業者が、実は利益率を圧迫しているなど

競合他社
例:新商品の販売やマーケティング施策、スタートアップ企業による新市場の台頭、採用の活性化で他社に自社社員を引き抜かれているなど

自社
例:新しいテクノロジーに対応できていない、社内政治がすごい、コストが他社に比べて高い、優秀な人材が不足しているなど

この3つのカテゴリーに加えて、他の問題もカテゴリーを作りながら付箋などでマッピングしていきます。こうすることで問題同士のつながりと因果関係や順序などが見えてきます。

より本質的な問題に近づくために「なぜなぜ分析」(ひたすらになぜなぜ?を繰り返す)で真の原因に迫ります。多くの場合、この段階で深い問題に行き着きます。

2〜5個の問題に絞り込めたら、次に優先順位をつけます。判断基準は2つあり、

1. 解決する価値があると感じられること(全員の共通の動機づけとなる)
2. 全員とって緊急で心配なものであること

1つの戦略的問題を決めたら、次は問題を「質問」にします。

戦略的質問を作る

コース資料を参考に筆者作成

選んだ問題をHow might we~(どうしたら〜できるだろうか?)という質問文に変換します。

質問は、根本的な問題を具体的に示すと同時に、さまざまな答えを受け入れる余地を残しておく必要があります。具体的でありながら、自由で刺激的な質問でなければなりません。正直、難しいよ…。ここは他の学生も苦労していました。

が、よい問いなのか?の判断基準はあるようです。

1. 新しいアイディアが生まれる余地があるか?
2. すでに解決されていないか?
3. こんなコトしている場合じゃない!と感じる(いい意味でも、悪い意味でも)


選択肢を探す

コース資料を参考に筆者作成

ここからいよいよ問題に対して解決策やアイディアを出してきます。

飛んだアイディアがでない、どうやってアイディアを絞り込んだら分からないときは、さらに問いかけを使うことができます。

「飛んだアイディアがない」場合は、下の問いを使いましょう。

この問題を解決するために、Googleだったら何をするのでしょう?アメリカ政府だったら?もしくは、ディズニー?
もし、お金や技術が制約にならなければ、私たちはどうしたらいいのでしょう?
私たちを本当に不愉快にさせるものは何でしょう?

逆に「選べない…」場合も問いを使って絞り込むことが出来ます。

アイディアはどれくらい問題と関連しているか?
組織にとって意味のあるアイディアなのか?
もし半年しかなかったら、この問題を解決するために何をしたらいいのだろう?
もし、新しいリソースがなかったら、どうしたらいいのだろう?
既存の優位性や能力を活かして勝つために、他にどこで勝負するか?

問いを使って、「隠れた資源の発見」と「今まで考えなかったこと」を見つけるのが大切です。

3〜4つのアイディアや解決策が固まったら、それをさらに詳細化するためにStrategy Choice Cascadeの2つの要素を使います。

コース資料を参考に筆者作成

どこで戦い、どう勝つのか?


どこで戦うのか?

場所:地域、国、世界のどの地域でビジネスを展開するのか?
顧客:このアイディアの核となる顧客は誰なのか?彼らは何を信じているのか?彼らにとって最も重要なこととは?
チャネル:どのように顧客にアプローチするのか?SNS、あるいは販売店、代理店、小売業者?
サービス:どの製品やサービスが核となるのか?
提供体制:何を自社で行い、何をサプライヤー、チャネル、協力会社に任せるか?


どうやって勝つのか?
低コストか差別化か?の2つのパターンです。

低コストでの優位性とは、顧客が他の製品と同等の価値を見いだし、かつ生産コストの低い製品やサービスを提供すること。

差別化の優位性とは、競合の製品と同程度の生産コストでありながら、顧客にとって価値のある(つまり、より高く買ってもらえる)特徴的な製品・サービスを提供すること。

この段階で、解決策やアイディアを細部まで作りきる必要はありませんし、1つに選ぶ必要もありません。ただし、他のアイディアや解決策とは明確に違う!と対比できるぐらいまで詳細化していきます。

真実を見つける

解決策やアイディアに対してフラットに「なにが真実でなければならないか?」と問いかけます。解決策やアイディアを作っていく過程で愛着がわき、都合の良いことだけを考えてしまいますが、この時点ではすべてが仮説の域を出ません。

あくまでも、考えていることの何が正しいのかではなく、何が真実でなければいけないのか?です。

そのため、チームがそれぞれのアイディアに対して「なにが真実であれば、それは実現できるのか?」を3つの観点で考えていきます。

1. 顧客:顧客はそれを望んでいるのか?、どういう行動が必要なのか?規模は十分なのか?チャネルはなにを重視しているのか?

2. 競合他社:競合が真似できない技術はあるのか?今までの競合で良いのか?競合はどんな反応をしそうか?

3. 自社:実現するチームや組織、必要な能力や人材は? 使える技術やデータは十分にあるのか? 社内コストはどれくらいなのか?

「実現のためのゼッタイ条件」を考える際には2つのコツがあります。

質問ではなく、文を使う
この段階では、何が真実でなければならないか?チームの合意が必要です。質問では、合意することは出来ないので、文として書き出します。

たとえば、「顧客がいくら払うか?」ではなく、「顧客が500円のプレミアムプランを喜んで払うことは本当でなければならない」のようにします。

条件を数字で根拠づける
この段階では、何が真実でなければならないかを具体化することです。市場規模、成長率、コスト、利益率などに関する条件について、できる限り関連する数字を集めます。例えば、「限界費用が妥当でなければならない」ではなく、「限界費用は500円以下でなければならない」のようにします。


次回は、戦略が実行できない壁をあぶり出し、戦略を決定するまでを解説していきます。


IDEO Uのコースは数年ぶりに取りました。他のコースの学びもまとめてるのでこちらもご参考にどうぞ。


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