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鉄印帳の旅(29/40)いすみ鉄道

2024年最初の鉄印帳の旅である。
29社目に選んだのが千葉県を走るいすみ鉄道である(乗車日:2024年6月23日)。千葉県房総半島の東側、JR外房線の大原駅を起点に内陸の上総中野駅までの全長26.4㎞の路線である。

大正時代に木更津と大原を内陸経由で結ぶ路線として計画され、当初は木原線と名付けられた。
1930年に東側の大原から大多喜まで開業し、34年までに上総中野駅まで開業している。沿線の賑わいとともに東総元(ひがしふさもと)や西大原などの新駅も次々に開業した。上総中野駅から先は現在の久留里線・久留里駅までの路線延長は断念され、現在の形となっている。国鉄分割民営化後はJR木原線として運行を続け、1988年に第3セクター「いすみ鉄道」へと転換された。


ノスタルジックな車両と「何もない」路線

いすみ鉄道には国鉄時代から運行されていた車両がありバラエティーに富んでいる。現在の主力車両は、いすみ300型、いすみ350型、キハ20-1303であるが、イベント用としてキハ52-125が使用される。

JR駅構内隣にいすみ鉄道のりばがある
改札口

東京から特急わかしお号に乗車し、大原駅で下車すると、JR改札口を経由したところにいすみ鉄道乗り場がある。乗車券類は自動券売機で購入することになるが、駅構内には売店が併設されており、いすみ鉄道グッズや沿線の特産品が販売されている。

年季の入った駅名標
キハ20-1303

一日乗車券も自動券売機で発売されている。この日はいすみ鉄道から小湊鉄道を乗り継ぐ予定であったため、房総横断記念乗車券を購入した。大原から五井駅まで後戻りしない限りで途中下車可能な乗車券である。

大原駅11:34発の列車に乗車し大多喜駅へと向かう。
この日使用されたのはキハ20-1303であり、2015年に導入された同社の最新車両である。外装は国鉄時代のキハ20形を彷彿とさせる姿であり、「新しいけど懐かしい」車両として導入当時話題を呼んだことで知られる。もちろん、使用機器や内装はいすみ350形と同様である。

BOXシートとロングシートがあり、BOXシートにはテーブルが設置されている。

定刻に発車し列車は外房線と別れ、西へ進路を変える。
最初の停車駅は西大原駅。大原から1.7㎞の場所に位置する。いすみ鉄道は上総中野駅まで14駅設置されており、駅間平均距離は約2㎞となり、ローカル路線の中では駅数の多い路線といえる。次の上総東までがいすみ鉄道の最長区間で3.5㎞ある。房総半島には標高の高い山は少なく、全線にわたり平野部が続く(この後乗車する小湊鉄道には一部で峠越えが存在することをこの時まだ知らなかった)。沿線には田植えを終えた水田やため池が広がり、日本の原風景が続く。上総東、新田野と停車し、いすみ鉄道の旧型車両が現れ、11:50に国吉に到着した。国吉で3分間停車した。改札口は駅構内の構内踏切を渡ることになる。同駅にはいすみ市商工会議所が併設されている。

地道な収益増加策

国吉駅に停車中にはいすみ鉄道グッズや沿線の名産品やお弁当の即売会が開催された。ローカル線は乗客数の減少の一方で、車両、駅、路線の維持費が嵩み、収支が厳しく、いすみ鉄道も例外ではない。車内には企業広告の掲載や駅名標へのネーミングライツの導入により地道な収益増加策が導入されている。

国吉駅手前で確認
キハ28?
いすみ200形。この車両は第二のステージを歩むこととなる(下記リンクを参照)
国吉駅構内

11:53に国吉を発車すると上総中川、城見ヶ丘と開けた街並みが続く。いすみ鉄道は全線にわたり夷隅川などの河川と蛇行するように敷設されているのも特徴である。大原から約30分乗車して12:05に大多喜駅に到着した。この列車は大多喜駅で13分停車し、上総中野へと向かうが鉄印収集のため大多喜で下車する。13分間の停車中に大原行の列車交換が行われている。

大原行の列車と交換
後乗り、前降りが基本
大多喜駅改札口
待合兼ギャラリー

大多喜は小さな城下町であり、同駅から徒歩20分の場所に大多喜城がある(現在休館中)。駅前には売店を併設した観光案内所や天然ガス記念館がある。千葉県は天然ガスが湧出する地域であり、この天然ガスを活用したガス灯も設置されている。また、いすみ鉄道の本社も大多喜駅に併設されている。駅周辺には商業施設などはなく、町の中心に配置していないため駅前は閑散としている。駅構内に車庫がありキハ52形が留置されているのが確認できた。次の列車到着まで約70分であったが、とても静かで鳥の鳴き声に癒されながら駅待合室で待機することにした。

ガス灯
大多喜城の大手門
キハ52が留置中
紫陽花が満開であった

菜の花色の列車に揺られて

大多喜13:18発に乗車し終点の上総中野へと向かう。次に乗車した車両はいすみ300形で、先ほど大原行の列車として見送った車両の折返しである。黄色の車体が梅雨空を消し去るくらい明るく目立つ。車体にはJAPAN NEXTのラッピングが施されていた。
列車は夷隅川と蛇行しながらゆっくりと走る。駅間距離が短く小刻みに加減速を繰り返す。小谷松(こやまつ)、東総元(ひがしふさもと)、久我原、総元(ふさもと)、西畑に停車し、終点の上総中野に13:39に到着し完乗した。いすみ鉄道線は上総中野までとなり、車止めが設置されているためこの先に進むことはできない。必然的に乗り換えが発生する。

車内路線図
大多喜駅停車中
沿線の企業広告
距離は短いながらも密度の濃い時間であった
上総中野駅手前。簡素な作りである。
次の養老渓谷は小湊鉄道の駅である
木造の駅舎
小湊鉄道からの接続はないため、すぐに大原行として折り返した。

鉄印は8種類

ようやく本題である。
鉄印は大多喜駅で購入できる。

通常版
社長直筆メッセージ入り
桃鉄コラボ鉄印

おまけ 255系Boso View Expressの終焉

本題と関係はないが、房総特急として平成初期から活躍した255系は3月のダイヤ改正で定期列車の運用から外れているが、この日は定期のわかしお号に使用されていた。利用の多い時期に使用されているようである。グリーン車付きの9両編成では持て余した感が否めないが貴重な乗車機会を得た。
なお、255系の使用は6月をもって終了し、E257系への使用へと戻っている。

東京駅で撮影
大原駅。E131系と待ち合わせ。


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