115系転換クロスシート車で行く!呉線まわりで広島から大阪へのスロートリップ
クラブツーリズム鉄道部は、12月21日から22日にかけて国鉄型115系で行く大阪から広島までの団体ツアーを開催した。往路は山陽本線まわりで、復路は呉線まわりで運行された。今回は往路の呉線まわりの旅に参加した。
広島駅3番のりばを定刻8:55に発車した。右手には広島駅の留置線、奥にはマツダスタジアムも見渡せる広大な敷地である。天神川駅にかけて広島貨物ターミナルも拡がる。向洋まではカーブが連続する区間でやがてMAZDA本社工場も確認できる。
旅のポイント
①115系転換クロスシート車で呉線の車窓をお楽しみください
②呉駅・糸崎駅・吉永駅・上郡駅ではドアが開きます
③クラブツーリズム鉄道部員が同行いたします。
鉄道が大好き!鉄道の知識が豊富なクラブツーリズムのスタッフが皆様をお迎えします。
④台紙付きクラブツーリズム鉄道部オリジナル硬券セット付き
風光明媚な呉線
呉線は海田市から三原までの路線で、全線単線区間である。最初の運転停車となった海田市では交換予定の列車が遅れたため、発車が4分遅れた。この先、呉までに水尻、天応、川原石の3駅で列車交換のための運転停車が行われた。広島に近い呉線の海田市から広までは広島都市圏(広島シティネットワーク)となっており、山陽本線と並んで列車本数が多く、快速安芸路ライナーと普通列車で1時間あたり上下4本が運転されている。
単線区間でもあるため、頻回に運転停車を繰り返すことになる。また、呉線は瀬戸内の海岸線沿いを走っていく。背後には山も迫っており、複線化用地も十分には確保できていない。呉市は旧海軍の拠点であった名残でローカル線ではなく、都市路線の性格を持っている。最初の停車駅呉には少々遅れて到着した。
呉を発車すると阿賀トンネルを越え、安芸阿賀、新広を通過する。広で2分の運転停車となった。広駅は呉線運行の拠点であり、ほとんどの列車が折り返しとなる。朝夕の一部列車は安浦、竹原、三原、糸崎まで乗り入れる。なお、昼間は広から三原駅間でワンマン運転となる。
呉から三原までの東側区間は瀬戸内さざなみラインとも呼ばれる。この先呉線の中でも特に絶景が広がる区間を走行していく。
瀬戸内の島々と穏やかな海に癒される。安芸川尻を通過すると、川尻トンネル(全長8.7メートル)を通過する。現在では日本一短いトンネルとなっているが、あまりの短さにトンネルと気付かない人もいるだろう。クラブツーリズム鉄道部の旅では、添乗員となる鉄道部の皆さんの丁寧で、時にシャレを交えた軽妙なアナウンスで注目されるが、川尻トンネルの通過も鉄道部の皆さんの紹介がなければ見逃していたに違いない。
海岸線に沿う区間もあれば、時折、内陸に進路を変えながら進んでいく。途中の吉名と須波で列車交換のための運転停車となった。須波を発車すると奥には三原港と尾道水道が確認できた頃には呉線の終点、三原に11:36に到着した。
山陽本線を通過運転!尾道、福山、倉敷、相生も通過
三原から先は山陽本線をひたすら東に向けて走行する。最初の駅、糸崎で扉開放が行われた。糸崎は岡山地区と広島地区の運行上の境界駅であり、当駅止まりあるいは始発列車が多く設定されている。広島方面からの列車も糸崎で折り返すことが多い。また、当駅に留置する車両も多く駅構内は広大である。
12分の停車の後、山陽本線を走行していく。次の停車駅は岡山である。尾道、福山、新倉敷、倉敷を通過する。115系は岡山地区では現役であるが、普通列車としての運用であるため、駅を通過するシーンは皆無に等しい。その点で今回のツアーはとても貴重である。貨物列車を除いて通過列車がほとんどない福山駅の通過はレア感があって良かった。福山から先もひたすら走り続けた。倉敷駅で伯備線と合流する。倉敷は特急やくも号も停車する。岡山へ向けては一部区間でカーブが存在するものの、ほとんどが直線区間で見晴らしも良い。北長瀬駅で岡山機関区への線路と別れる。やがて左側には岡山電車区の留置線が姿を現し、115系をはじめ213系や最新の227系も留置されていた。様々な車両を眺めていると山陽新幹線と瀬戸大橋線の高架と合流すると、岡山には13:15に到着した。乗務員の交代と時間調整のため16分間停車した。
この間に本日のサプライズと言ってもよいだろうが、なんと、クラブツーリズム鉄道部からクリスマスプレゼントが参加者に配布された。そのプレゼントはオリジナルのクリアファイルで、2025年のカレンダー付きの2024年に実施した鉄道部ツアーで乗車した車両群が随所に散りばめられたデザインであった。
岡山13:31に発車した。東岡山までは直前が続くが、この列車は少し速度を落としながら走行した。東岡山で赤穂線と別れると、山陽本線は北東方向に進路を変える。
しばらく続いた平坦な道のりはここから山を登るようになり、上り勾配を感じる少々重みのある走行となった。瀬戸、和気といった岡山からの折り返し列車も設定される駅をも通過していく。普通列車の本数も減り、すれ違う貨物列車の本数が多いくらいであった。次の停車駅吉永には14:05に到着した。吉永では約1時間の停車と扉開放が行われた。
吉永を15:13に発車した。この先次の三石を通過し、船坂峠を越えると岡山県から兵庫県に入る。兵庫県最初の駅は上郡であるが、上郡でも20分間停車し扉開放も行われた。三石から上郡間は距離にしておよそ10km、所要時間も約10分と駅間距離が長い。直線で結べば所要時間の短縮も見込めたが、この辺りは峠越えであり急勾配でもあるため、急勾配を避けるため大きくカーブを描くルートとなっている。
上郡駅は智頭急行線との乗換駅であり、特急スーパーはくと号やスーパーいなば号が停車する。岡山方面との乗り入れ列車を除き、姫路方面からの列車は上郡折り返しとなる。早朝深夜には新快速、快速列車が当駅まで運行されている。
上郡は15:52に発車した。この先、終点の大阪まで扉開放はなく運転停車のみで一気に進んでいく。東岡山で別れた赤穂線は相生で合流する。新幹線駅ながら閑散としている相生を何事もなかったかのように通過していく。
JR神戸線を爆走!走行音に注目!
姫路16:22着に運転停車した後、16:26に発車した。ここからJR神戸線となる。2つ先の御着駅で後続の新快速に道を譲った後はほぼ独占状態でMT54のモーターが車内に響き渡っていた。途中、普通列車や快速列車と並行していたが、こちらは停車駅が限られる分、あっという間に抜き去ってしまった。明石から新長田にかけて最高速度100km/h近いスピードで駆け抜けていた。今回の旅を3つに分けると、クライマックスを迎えたとも言える。
姫路から大阪までは新快速が停車する加古川、西明石、明石、神戸、三ノ宮、芦屋、尼崎を通過した。クラブツーリズム鉄道部のツアーだからこそが実現できるのである。姫路から1時間と17分で終点の大阪に到着した。大阪駅10番のりばには黄色の115系がひときわ目立っていた。
列車は到着から4分後には回送列車として宮原操車場へと引き上げた。
広島から約8時間以上かけて国鉄型115系に揺られながらの旅はこれにて終了である。