見出し画像

嬉野温泉が生んだ究極のゆるキャラ「お茶っティー」誕生秘話

嬉野温泉 旅館大村屋がお届けする「嬉野温泉 暮らし観光案内所」にようこそ。嬉野温泉に月1で泊まっている、ライターの大塚たくま(@ZuleTakuma)です。4回目となりました。

本日のテーマはこちら。

お茶ッティ

お茶っティー

嬉野温泉でじわじわと人気を拡大している、ゆるキャラ(?)「お茶っティー」です。前回の滞在時、すでに存在は教えてもらっていました。

画像3

嬉野温泉街にある洋服店「アサヒヤ」さんで、グッズが販売されているのを教えてもらったからです。

画像3

アサヒヤ店主・赤澤宏さん

最初に教えてもらったときから「なんか気になる」と思っていました。

お茶ッティ

不揃いなサイズのつぶらな瞳。安定しない線。その割に湯呑みにデカデカと書かれた「茶」という字の安定感。急須から飛び出す熱そうなお茶。危機的な状況の割に穏やかな表情。

見れば見るほど気になってくる「お茶っティー」。ツッコミどころの多さに心がザワつきます。この子はいったいどうやって生まれて、嬉野に根付いているのでしょうか。

画像5

「お茶っティー」について、詳しくお話をうかがうため、ぼくは旅館大村屋の北川さんと一緒に、改めて「アサヒヤ」さんへうかがいました。


嬉野温泉街の洋服店「アサヒヤ」

画像99

「アサヒヤ」(旭屋)は、1936年に呉服店として創業した、歴史の長い老舗です。現在では婦人服のセレクトショップとなって、営業しています。

画像100

有名なブランド品や、手ごろな価格でありながらもトレンドをおさえた洋服、ちょっと大人っぽいおしゃれな子ども服など、充実のラインナップです。

画像101

洋服を購入される方には観光客の方も多いとのこと。旅行に行くと、女性は現地で洋服を買うことが多いのだとか。知らなかった。そうなんですね……。

美肌の湯でつるつるになった自分を着飾って、もっと可愛く、もっとオシャレになっちゃいましょう。嬉野温泉に足を運んだ際にはぜひ立ち寄ってみてください。

アサヒヤのInstagram

アサヒヤFacebookページ



お茶っティーはどうやって生まれた?

画像6

赤澤宏・侑子さんご夫妻とお子さん(妹)

アサヒヤさんの赤澤さんご夫妻に、お茶っティーについて、詳しくお話をうかがいました。

――そもそもお茶っティーはどうやって生まれたんですか?

画像7

娘たちと「嬉野のキャラクターをつくるとしたら、どんなのがいいかな?」って、お絵かきしながら話してて。日曜日だったかな。私はお客さんが来たら店に出るって感じで、過ごしていたんですけど。

画像8

――そんなことをお子さんと話すんですね。

画像9

子どもたちに嬉野を好きになってほしい、興味を持ってほしい、という想いもあったので。

画像10

――へー、なんかいいですね。そういうの。

画像11

じつは私も考えたことがあって。それがまあ、ひどい絵なんですけど。笑

画像12

画像13

へえ、どんな絵ですか?

画像14

画像15

コレなんですけど……。

画像16

画像17

――ああ、もう、けっこうできてる。笑

画像18

これがいわゆる「原画」なわけですね。

画像19

画像20

わたしがこの絵を娘に見せて、お店に出たんですよ。ちょっとしばらく時間がかかったと思います。で、戻ってきたら、これができあがってたんですよ。

画像21

画像22

――おお。

画像23

お茶っティーだ!

画像24

画像25

わたしの絵をマネして書いてたんです。でも、こうホラ、私の絵と比べてもこう、なんか……。

画像27

画像28

うん、たしかに。

画像26

――ちょっと、並べてみてもらってもいいですか。

画像29

侑子さんの「原画」(左)と娘さん(長女)の「お茶っティー」

画像30

なんとも言えない、哀愁が。

画像31

――そうですね……。

画像32

お子さんが描いたもののほうが、やっぱり、なんかイイですね。

画像66

画像35

なんかこの、ほのぼのとした感じというか。純粋さというか……。

画像36

画像34

曖昧なもので圧倒的な差をつけている

画像37

こうやって比べると、やっぱり「原画」の方は「キャラクターを生み出してやろう」という感じが見えますね……

画像38

――オトナの邪念が透けて見えますね。

画像39

お茶っティーは、表情があるんですよね。この表情、いろんな見方ができるんです。物憂げな感じにも見えますしね。

画像40

お茶ッティ

――たしかにお茶っティー、喜怒哀楽のどれにも見える。


どうして「お茶っティー」っていうの?

画像43

――「お茶っティー」っていうのも、イイ名前ですよね。

画像43

最初は「チャチャマンボ」でいこう、と思ってて……。

画像44

画像45

チャチャマンボ。

画像46

画像47

そしたら娘が「いや、お茶っティーがイイ」と。

画像48

――おお。

画像49

じゃあ、もうこれは「お茶っティー」にしようと思いました。

画像50

画像52

いやあ、娘さん冴えてますね!

画像53


お茶っティーの不思議な魅力を解剖

画像54

画像55

これ、画材は何を使っているんでしょうか?ペン?

画像56

画像57

筆ペンのような筆先がやわらかいペンで書いていたと思います。

画像58

――それでこの、なんとも言えない線の味が出ているんですね。

お茶ッティ線

画像60

湯呑みの「茶」という漢字も娘さんが書かれたんですか?

画像61

画像62

私が書いたのをマネした書いたんだと思います。

画像63

画像64

娘さんが書いた「茶」の方が上手ですよね。

画像65

茶比較

娘さん「茶」(左)と侑子さん「茶」(右)

画像67

字は得意で、自信を持っていますね。これも1年前に書いた字で……。

画像68

画像69

お茶っティー、まだ1年でしたか!けっこう皆、「お茶っティー」「お茶っティー」言ってるので、そんな気がしないですね。ぼくら界隈だけかもしれませんけど。

画像70


じわじわと広がるお茶っティー人気

画像71

――そんなにお茶っティーは人気でしたか。

画像72

そうですよ!今や、お茶っティー単独のSNSアカウントもできてますし。

画像73

画像74

お茶っティーのインスタアカウントも更新中

画像75

なんか知らないうちにジワジワ、フォロワーさんも増えているんですよね。最初は身内が気を遣ってフォローしてくださってたんですけど、今は身内以外の方もフォローしてくださってるみたいで……。

画像76

――つまり、ピュアなお茶っティーファンが生まれているわけですね。

画像77

そうなんです。たとえば、陶芸作家の宮崎さんが気に入ってくださって。素焼きをつくってくれたことがありました。

画像78

――うわあ、すごい。めちゃめちゃいいじゃないですかこれ。

画像79

可愛い素焼き

――あれ、これは黄色いんですね。お茶っティーは赤いはず……。

画像80

そう、これは「そ茶っティー」なので。

画像81

――え???「そ茶っティー」???


「お茶っティー」と「そ茶っティー」

画像82

――「そ茶っティー」という子もいるんですね。急須が黄色くて、目がキラキラしてる。「粗茶ですが」の「粗茶」が由来ですか?

画像83

いや、じつは違って……。「お茶っティー」も「そ茶っティー」も娘たちの名前からとってるんです。

画像84

――え!???そうなんですか?

画像85

画像86

「お茶っティー」は長女の名前から「お」をとりました。「そ茶っティー」は次女が描いたものなので、次女の名前から「そ」をとったんです。

画像87

画像152

輝く瞳のそ茶っティー

――たまたま「お茶」と「そ茶」だったのか。うーん、奇跡だ……。

画像88

ちなみに「お茶っティー」には「うれしの温泉」という記載があるのに、「そ茶っティー」にはないのはどうしてですか?

画像89

画像90

そ茶っティーには「うれしの温泉」の文字がない

画像91

やっぱりどうしても名前が「粗茶」につながってしまうじゃないですか。「うれしの」というと「嬉野茶は粗茶」と誤解されると思って。それで、「そ茶っティー」には文字を抜かしています。全国で一番の嬉野茶が粗茶なわけはないので。

画像92

画像93

そうそう。だから、そ茶っティーは隠してるんですよね。嬉野を。

画像94

画像95

姉を立てているんです。そ茶っティーは。

画像96

――そ茶っティー……!!健気だ……。でもその奥には確かなプライドがある。

画像153

画像97

こんなところに姉妹の上下関係が出ているんですね。笑 子どもがつくったキャラクターでこんなに話題が出てくることないですよ。

画像98

――たしかに。「かわいいね」で終わりますよね、普通。深い!!


嬉野内でじわじわ広がる人気

画像102

画像103

最初にできたお茶っティーグッズはバッジでしたっけ。

画像104

画像105

バッジを最初につくって、サコッシュをつくって。

画像106

画像107

画像108

「だれかこの子をつれていってくれませんか」。笑

画像109

画像110

サコッシュは、残りあと2個になりました。

画像111

――おお~。すごい。

画像112

残りわずか

画像113

別のお店にも、グッズを納品していますよね。

画像114

画像115

そうですね。嬉野交流センターと、末廣屋菓子舗さんが「すごくかわいいね~!置くよ~!!」って言ってくださって。で、見に行ったら、レジの横のいい場所に置いてくださってて。

画像116

画像117

お客さんの目が行くところに、置いてくれてましたね。

画像118

――そうなると、もうお客さんと「お茶っティー」のことで、会話が生まれていそうですね。

画像119

そうですね。「かわいいね~、って言われたよ」って教えてもらいました。

画像120

――ちゃんとキャラの魅力でコミュニケーションを生んでいる。

画像121

なにか営業をかけたわけでもないですもんね。

画像122

画像123

はい、そうですね。あちらから置きたいと言ってくださったので。

画像124

画像125

自身の魅力で人を動かすお茶っティー

画像126

普通、こんなことあります?だいたいのゆるキャラは自治体主導で「置いて、置いて」となんとか盛り上げようとするわけじゃないですか。でも、お茶っティーは自然発生的に広がってきているんです。予算ゼロのキャラクターですよ。

画像127

――たしかに。稀有だな、お茶っティー。

画像128

そんなお茶っティーにも、嬉野市の公認キャラクターというお話をいただいたことがありまして……。

画像129

――ん!??なんですか、その話は。ホント、いろいろ出てくるな、お茶っティー。


行政になびかないお茶っティー

画像130

画像131

お茶っティーをですね、嬉野市長から「嬉野市公認にしてもいいかなあ、と思うんですけど……」と言っていただいたことがあるんです。

画像132

――ええ~!!すごい。

画像133

市長の方から!

画像134

画像135

でも、やっぱりお茶っティーは非公認がいいと思って。非公認のままにしました。非公認ですが、今は市長もあたたかく見守ってくれています。

画像136

――なるほど。……なびかなかったんだ、お茶っティー。長いものに巻かれなかったんだ。貫いたんだ。

画像137

ロックンロール魂があるんですよ、お茶っティーには。反体制。勲章を返したジョン・レノンみたい。

画像138

画像139

こんなおだやかな顔してるけど。内に秘めるものがあるんですよ。

画像140

お茶ッティ

「ダレノモノデモナイ……ワタシハワタシ……」

画像142

けっこうアツいんですよ、頭の中は。

画像143

――そうですね。なにせお茶入ってますしね。

画像144

アツい想いが急須からあふれ出しちゃってますもんね。

画像145

お茶ッティ

画像147

裸っぽく見えるし、寒そうなんですけど、頭はアツいので。アツいものがあふれてて、火傷しそうな状況ですが、ほほえみは崩さない。

画像148

――腹くくってるなぁ。覚悟決まってんだろうな、お茶っティ。なんかぼくもグッズほしくなってきました。

画像149

SUZURIでグッズショップをつくりましたので、ぜひそちらの方でお買い求めいただければと思います。

画像150

画像151

SUZURIにはたくさんのグッズがある

――すごい!!そ茶っティーグッズも!!これはチェックします!!本日は貴重なお話をたくさんお聞かせいただき、ありがとうございました!!


嬉野温泉に行ったらお茶っティーに会いに行こう

画像152

嬉野温泉から誕生し、自然に広がりを見せている「お茶っティー」。

一度見ると、なんだか頭に残るふしぎな魅力。ひとの想像力を刺激します。

嬉野温泉へ行ったときには、ぜひお茶っティーに会いに「アサヒヤ」さんに足を運んでみてくださいね。「嬉野温泉 暮らし観光案内所」次回もご期待ください。


この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?