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ド文系30代再受験、千葉大医学部に後期試験で受かるまで

前置き

まず本記事の内容については以下の目次をご参照ください。要するに、社会人再受験生が医学部に合格するまでに行った勉強方法と成績推移、プラスして合格時の体験談を示すのが本記事の趣旨。


書いてる人の経歴

興味ない方はガンガン飛ばして頂いて結構です。幼少期に両親が離婚し、そこから母、兄、自分の三人家族。母親が人格的に立派な人で、貧乏な思いはそんなにしなかったけれど、4頭身以内に大卒はおらず環境的にはMiddle Lower層。

小・中・高とも公立で、授業は真面目に受けていた。高校受験は全く勉強せずにその時の学力(120人の学年で40番くらい)で入れそうな高校に。高校偏差値は当時で60前後。

高三の部活引退後の夏から、周りに流されて受験勉強を開始。現役時は不合格で、その後一年の自宅浪人を経て一橋大学社会学部に合格しました。その当時の様子は以下の記事に詳しいので、もしご興味があれば。https://toyokeizai.net/articles/-/668815?display=b

一橋合格時の成績は以下の感じ。二次試験の教科別点数は記憶の中の何となくの手応えを書いているに過ぎないですが。

合計:848/900(94%)
国語:195
英語:191
数学IA:95
数学II:69 (?)
生物:100
日本史:100
世界史:98

二次試験(合格最高点マイナス4点、なのでほぼトップ)
国語:7割
英語:9割
数学:8割(2完2半)
世界史:9割

一橋大学に受かったのが2012年の3月、再受験スタートが2020年の10月くらいだったので、大学受験としては約8年半のブランク。仕事は新卒で入った総合商社を退職した後、医療福祉NPOに勤めていた。そこでフルタイムで働きつつ副業で知り合いのベンチャーの支援していて、貯えもなかったので働きながら勉強するスタイル。塾や予備校はどうにも使う気になれず、基本、参考書で独学。

再受験の勉強方法・時間と成績推移

1年目(2020年10月〜2021年3月)
志望校:東大理ニ 受験校:東大理ニ

共通テストまで3ヶ月しか準備期間が無かったので、理三を受けるのは無謀と判断。とりあえず理ニに出して理三合格への距離感を測ることに。これでも十分無謀なのだが。以下共通テスト受験までの勉強方法。

  • 勉強時間:平日5時間/日、休日9時間/日

  • 国語:国語便覧に載っていた漢文句法と古典文法を一通りさらい、読み解き古文単語を毎日音読。

  • 英語:もともと得意。TOEFL 100、TOEIC 930持ってたので特には参考書を購入せずBBC Learning Englishなどのネットで拾えるコンテンツを使って1日30分ほど、リスニング力の維持に集中。

  • 数学:基礎からやり直そうと思い、高校数学+αという参考書を購入。IA、IIBの復習からはじめ、この本で数IIIの範囲までひと通り終わらせる。大体12月末くらいで2周終わり。そこから共テの試行問題とセンター過去問に触って準備。

  • 生物:英語と基礎医学の勉強がてら大学レベルの英文テキストを読んで勉強しようと思い立つ。Essential Cell Biologyをパラパラ読みながら、1月入って生物 知識の焦点を使って共テの対策。

  • 物理:他教科の勉強が終わらず1月になるまでノータッチ。残り2週間でとりあえず折戸の独習物理物理のエッセンスを力学・電磁気学に絞って掻っ込み、全く消化できないまま本番。

  • 倫理・政経:黄本で勉強。本番2日前に繙いて、こちらも全く消化できず。

結果は以下の感じ。思ったよりも取れたな、という印象。

  • 合計:738/900(82%)

  • 国語:181

  • リーディング:100

  • リスニング:91

  • 数学IA:65

  • 数学IIB:72

  • 生物:98

  • 物理:50

  • 倫理・政経:81

足切りは突破できそうだったので、元々の予定の通り理ニに出願。二次試験の勉強内容は以下の通り。東進の本番レベル模試を受け、確か理IIはD判定。

  • 国語:同上。過去問は触れず。

  • 英語:同上。過去問は触れず。

  • 数学:上級問題精講でIA・IIBをカバー、数IIIは青チャートを使用。前者は二次試験当日までに2周ほど回し、後者は1周で終了。その後東大数学で1点でも多くに着手し、体積の分野を捨てて1.5周くらいした記憶。

  • 物理:鉄緑の過去問本に手を出すが、正直全く消化できず。力学に絞って3年分くらい解いてもほとんど手が出せず、まあ捨てて生物に150分充てるか、くらいのノリで本番臨む。

  • 生物:過去問を3年分くらい解く。知識問題は解けないが考察問題が意外と解けるのでそこそこ自信があった科目。

今思うと、よく受けたなこの状況で。さて結果は。

合計:305/440
国語:44
数学:39
英語:91
物理:0
生物:41
共テ:90

まさかの合格最低点マイナス9点!4ヶ月の準備でこの結果なら、他の教科を固めた上で物理を攻略すれば理三全然受かるじゃん!と、確信という名の希望を抱いてしまう。これが底なし沼の入り口。

2年目(2021年4月〜2022年3月)
志望校:京医→東大理III 受験校:東大理III

秋くらいまで京医志望、冬くらいに去年本番を経験している東大を受験した方が勝算あるのでは?と考え結局理三を受験。共テ前対策はほとんど手を出さず、二次対策に集中。

  • 成績推移:京大実践秋(C)→東大実践秋(D)→東大本レ最終(D)

  • 勉強時間:平日5時間/日、休日9時間/日

  • 国語:読み解き古文単語を毎日音読。二次試験前に過去問を5年分くらい触る。

  • 英語:BBC Learning Englishなどのネットで拾えるコンテンツを使って1日30分ほどリスニング。二次試験前に過去問を5年分くらい触る。

  • 数学:世界一わかりやすい京大の理系数学を2周した後、入試数学の掌握赤・青・緑を全て3周。青チャートの章末問題にも手をつけながら、その後東大数学で1点でも多くを3周くらい回す。直前は収録されていなかった過去問2019年〜2021年までの3年分触る。

  • 生物:12月までノータッチ。共テ準備として知識の焦点を2周ほど回しインプット。共テ後は思考力問題精講を2周回し、その後東大25カ年を0.5周。

  • 物理:新物理入門を2周読み込み、夏くらいから新物理入門の問題集を開始し冬までに3周ほど回す。共テ後に鉄緑の過去問を2周回す。

  • 倫理・政経:黄本で勉強。共テ1週間前から読み始める。

共テの結果はこんな感じ。

  • 合計:747/900(83%)

  • 国語:181

  • リーディング:100

  • リスニング:94

  • 数学IA:65

  • 数学IIB:74

  • 生物:81

  • 物理:71

  • 倫理・政経:81

去年とほとんど合計点数が変わらず意気消沈した記憶。一方でなぜか俺は絶対に受かるという根拠スッカスカの自信があり、堂々と臆面もなく理三に出願。果たして二次試験の結果は、

  • 合計:311/440

  • 国語:41

  • 数学:24

  • 英語:91

  • 生物:41

  • 物理;24

  • 共テ:91

大体合格最低点マイナス40点。物理と数学が全く奮わず去年からの点数の伸びもわずか6点。しかし、物理・数学も成長は感じていたので、このまま継続すれば来年は受かるだろう、という確信は揺るがず。

3年目(2022年4月〜2023年3月)
志望校:東大理III 受験校:東大理III(前期)、千葉大医学部(後期)

ダラダラやっても仕方ない、もともと3年間のチャレンジと決めていたのでこれが最後の年になるだろうと覚悟を決める。働いていたNPOで正社員を辞めて、業務委託にて週3日程度の稼働に抑えてもらう。これで一気に勉強に集中しやすくなる。この年も共テ対策はほとんどせず、1年間とにかく二次対策にリソースを集中。

  • 成績推移:東大実践夏(A)→東大オープン夏(B)→東大実践秋(C)→東大本レ最終(C)

  • 勉強時間:平日5時間/日、休日9時間/日

  • 国語:読み解き古文単語を毎日音読。二次試験前に過去問を5年分くらい触る。古文上達基礎編で古文文法を整理し直したところ、模試の偏差値が60〜65くらいで安定するようになった。漢詩がめっちゃ好きで、漢詩創作のための詩語集を買って、気分転換にたまに漢詩作ったりしてました。

  • 英語:二次試験前に過去問を10年分くらい触る。模試でも90〜100点が安定して取れていたため、それほど労力をかけず飽くまでリスニング力の維持のためのBBC&英作文能力の向上を目指して東大英作文の徹底研究をゆっくり進めてました。

  • 数学:新数学演習→やさ理→ハイレベル理系数学をそれぞれ3周回す。12月以降は受けた模試の復習と鉄緑の過去問、代ゼミと駿台の模試過去問も購入して回す。模試の偏差値は50〜65程度と低調。結局、唯一模試で偏差値70以上を取ったことがない科目。本番形式の演習も良くて70点ほどだった。ただ、他の科目が結構伸びていたので50点程度取れれば受かる想定ではあった。

  • 生物:標準問題精講を2周、12月ごろから東進講師の参考書を2周。共テ後に東大25カ年を2周ほど回す。偏差値は60〜65あたりをフワフワ。

  • 物理:理論物理への道標を秋までに3周、その後、演習量を稼ぐために名門の森や標準問題精講を3周、この辺りからようやく得意科目と呼べるくらいの実力に。共テ後に鉄緑の過去問を2周回した。偏差値は65〜75くらい。

  • 倫理・政経:黄本。安定の1週間前。

さてさて共テの結果は、

  • 合計:844/900(94%)

  • 国語:195

  • リーディング:97

  • リスニング:94

  • 数学IA:89

  • 数学IIB:97

  • 生物:91

  • 物理:100

  • 倫理・政経:81 

昨年から比較して100点近く上がっているので、平均点の上昇を鑑みても、実力がついたことが数字として明確に表れたのでホッと一安心。リサーチもA判定で堂々と理三に出願。後期は千葉大医学部に出願するものと決めていたのだが、実は医科歯科に後期日程があることを知らなかった。知ってたら出してたかも。さてさて前期の結果は、

  • 合計:316/440

  • 国語:41

  • 数学:29

  • 英語:91

  • 生物:31

  • 物理;21

  • 共テ:103

南無三。合格最低点からマイナス40点。ここで流石に諦めがつきました。本番一発の大博打に賭ける胆力と、もう一年働きながら先の見えない受験勉強を続ける気力がどーにも振り絞っても残っておらず。

千葉大学後期の本番体験記

前期試験が終わってから後期試験までの過ごし方

いっさい勉強せず、友達とスノボ行ったり、酒飲んだり、Youtube見てダラダラしたり、本読んだり、確定申告したり、仕事したり。前期の不合格判明してからも全く勉強する気が起きず、科目別の配点と大体の出題形式をネットで調べて把握しておく程度。過去問はやらず。本番前日は前泊したカプセルホテルの休憩所で亜人読んでました。

後期試験当日

もはやどうとでもなれと言う開き直り状態。逆に言えば一切の気負いと緊張がなかった今思えばこのメンタリティが功を奏したように思う。以下各試験についての感想と内容。

  • 小論文
    「医師として大事にしたいこと、医療人として求められる資質は何か?」と言う感じのベタなお題について記述したはず。記入用紙はA4 verticalで横に罫線が入っている。文章作成は得意なので余裕ブッこいてたら意外と時間が足りず、書こうと思った内容を書ききれなかった記憶があるので、悠長に構えずせっせと書くことを意識すると良い。

  • 面接
    面接室に3つブースがあって、各ブースに教授の方々が構えている。「別の先生が担当している子どもから虐待をされたと言う通報があったらどう対処する?」、「救急で患者の搬入要請があった場合に病床が足りなかったらどうする?」、「患者がワクチンを打ちたくない、と主張した場合にどうする?」と言った、あちらを立てればこちらが立たずと言ったシチュエーションを想定した中で、対応方針を尋ねる質問を投げかけられた。
    面接は圧迫という感じではなく非常に和やか。回答をするたびに、より深掘るような質問を重ねてくるので徐々に難易度が上がっていくが、自信を持って簡潔に答えていけば恐るるに足らず。想定される設問全てに答えを用意しておくことは相当難易度が高いので、素直に自分の思考過程と判断の基準となった価値観が伝わるように、簡潔に話すことを心がけるが大事と思う。それと折衷案のようなどっちつかずの回答はしないほうが良いと思う。ある価値判断を優先した上で、その決断がもたらすデメリットをどのようにmitigateするか、と言う構成で回答できれば、決断力だけでなく公正なバランス感覚を示すことができる。
    現役受験生であればここまでの水準は求められないだろうが、社会人再受験生の場合は高い倫理性と判断能力を示す必要があるため、この点意識できると良いだろう。まあ正直これまでの人生での思考と決断の蓄積が結局はモノを言うので、あんまり難しく考えずに自然体でハキハキ臨もう。ちなみに服装はフリースにチノパン、スニーカーというそこそこカジュアルな服装で挑みました。

  • 再面接
    3分の1程度の受験生が再面接に回されていた。特に、自分を含めた再受験生と思しき受験生は全員が再面接に回されていた。自分は物理・生物選択というツチノコばりの希少種であったので、受験番号がほとんどケツであり、結局3時間近く待機室で待たされた。本は読めるので、読みたい本を持ち込むことをお勧めする。終盤は暇すぎて後ろに座っていた受験生に話しかけ「長いっすね」とか愚痴を言い合っていた。
    満を持して試験室に入ると、教授が7人ほど自分の座席に向き合う形で横一列に席を占めている。なかなかの迫力だ。まず問われたのは医学部を志望した理由、そこから深掘りでNPOでの経験をどう活かすつもりか?どういった分野で研究をしたいのか?前期はどこを受験したのか?などを聞かれた。聞かれる内容は随分オーソドックスなので、志望理由や経歴、興味のある研究分野などは事前に考えておくと良いだろう。
    雰囲気は最初の面接ほど和やかではない。それなりシビアに問われる感じ。圧迫気味に高圧的な語勢で質問をしてくる先生もいるので、惑わされずに淡々と答えること。こういった形式の面接は就活で慣れっこだったので、自分は特に苦も無く終えられた。回答態度と内容ともに通常の受験生に求められる水準よりも高いものが再受験生には求められていると思う。これを年齢差別と呼ぶか否かは議論の余地があると思うが、まあ採用する側のリスクを考えれば至極当然のように思う。高い評価を取ることは可能なので、文句言わず頑張ろう。若者の枠を一つ奪っていることは事実に相違ないのだから。

  • 英語
    医学関係の英語論文と記事がそれぞれ問題文として与えられる。大問数は2つ。読解に用いられる語彙や文法はかなり平易だが、そこそこ分量は多い。英作文は語句の整序問題での出題。特別な準備をする必要はないだろう。正直東大英語と比較したらPiece of Cake。多分満点だったと思う。

  • 数学
    これも東大数学と比較したらお茶の子サイサイ。とはいえ二完二ほぼ完なのであんまり偉そうなことは言えず。難しいものでもやさ理の*マーク付程度と考えて良いのではないか。新数学演習やハイレベル理系数学はオーバーワークのように思う。手応えは8〜9割くらい。これも特別な準備は必要なし

  • 生物
    正直めっちゃ余裕だった。これも多分満点だと思う。標準問題精講をしっかり解きこなしていれば9割は固いのではないか。特別な対策は必要ないように思う。

  • 物理
    これは一番苦戦した。名門の森に収録されているような非常に典型的な設定の問題しか出題されなかった。それでも大問の終盤は結構な計算量が求められるので力学と電磁気は9割ほど埋めて最後は解ききれず。3問目の光の問題は典型手法をド忘れしてしまい15分ほど無為に失い、6割ほど埋めて終了。多分7〜8割くらいではないか。穴埋め形式が自分には不慣れだったため、過去問は触れるなら触っておいた方が良かった。

後期試験が終わったのち、頭の中でどんぶり採点を繰り返したが、例年の合格最低点を鑑みるにどうやっても受かってるのでは?という結論を堂々巡りしていた。果たして無事合格。

受験生に向けてのTipsまとめ

科目別の勉強法

以下、参考書ルート等は他所を当たればいくらでも質の高い分析や提案が見つかるので、ここでは一般にはあまり聞かれないが個人的には相当に学習効果が高いと思われる勉強法のようなものをまとめていく。

  • 英語
    BBC Learning Englishのプログラムである6 minuets Englishを用いたDictationが英語学習に効果絶大。自分はこれを毎日30分くらい習慣として半年ほど続けていただけで、ノー対策でTOEIC930、TOEFL100を取ることができた。個別の試験に特有な部分の対策を除いては、英語学習はこれだけで良いのでは?と個人的には思っている。
    やり方は、6 minuets Englishのepisodeを一つ選んで聞く→Scriptで聞き取れなかった部分を確認する→もっかい聞く→Dictation(聴きながら追っかけて音読)、これをスラスラできるようになるまで繰り返す。自分は東大リスニングで模試含め3問以上間違えたことがないので、ちょっと騙されたと思ってやってみてください。速読にも効果あるはず。共テも受けた3回は毎回20分〜30分余ってました

  • 数学・理科
    本番形式の演習と計算練習をもっと早くに、もっと沢山やるべきだった。「新数学演習のD問題が解ける」と「6問150分設定で4完できる」にはめちゃめちゃ大きな乖離があるので、本番での数学の運用能力は全く別の次元のスキルとして意識的に伸ばす訓練をしないと、本番でいつまで経っても点数が取れない。これは本当に気づくのが遅かった。筆者には手をだす時間がなかったが、入試本番までに時間のある人は計算のエチュードとかやって損ないのではないか。

本番当時のプレッシャーと心持ち

試験本番での理想的な精神状態とは何か。それはノー緊張&ノンプレッシャーで臨むことに尽きる。緊張するとまず問題文が頭に入ってこない。
自分がはっきりと成功したと言える模試・試験は3つあって、3年目の東大実践夏と東大オープン夏、そして千葉大医学部の後期試験。これら3つの共通点は、自分で引くくらいノー緊張&ノープレッシャーだったこと。前者二つは実はめっちゃめちゃ体調悪い中受けたので、どうせ上手くいかないべ、という投げやりな精神状態で臨んでいたのだ。なんなら実践の理科は40分遅刻した。それでA判定取ってるからチグハグ。千葉大の後期試験もなんの気負いもなかった。

終わりに

最後に自分のような社会人を経ての再受験生諸氏へエールを。人によって差分もあるでしょうが、医学部生活はめちゃめちゃ楽しいです。今時の若い優秀な子はペーパーテストの点数が良いだけでなく、人慣れしてるというか自分とは異質な存在への解放性を若いうちから身につけています。こちらがオープンな心で接すれば向こうもオープンな心で接してくれることが大半です。また、記憶力の低下なんかももちろん否定はできないのですが、社会人経験を経て身についているであろう自己管理能力やタスク管理能力、全般的な要領の良さを加味すれば全く補えるというか、むしろアドバンテージすら得ているのではないか、というのが1年過ごしてみた感想です。また、社会人なりの行動力や世の中の仕組みをある程度知っているが故の立ち回りで、若い学年のうちから教授や医師の先生との関係を作り、キャリア形成を学生の内から仕込むこともできたりします。要するに自分の動き方、捉え方次第で世間一般に言われるような再受験生のDisadvantageは容易に跳ね返せるというのが持論です。海老原はカス。

誤魔化し誤魔化しやってきた保険診療の歪みが臨界点をいつ越えるかと、そのXデーが日に日に近づく超高齢化先進国ジパングにおいて、医師というのも決して安泰な職業ではありません。入学しから医師としてどのようなキャリアを形成し、さらに言えば個人の範疇を超えて社会全体においてどのような立ち位置を占め、どのように社会全体の福利の向上のために、自らの残された時間と体力を奉仕していくのか。一朝一夕で出せる答えはありませんが、こうした問いと向き合っていく想いのある人間にとっては大変エキサイティングな場だと腹の底から断言します。千葉大を志望されている方も、そうでない方も後期試験までの残りの時間をぜひ有意義に過ごして頂いて、春風に吹かれる柔らかな桜枝の先に、美しい花弁の開かんことを心より祈っています。

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