【書評】まるでジョジョのスタンド対決…「羅生門・鼻」-芥川龍之介
久々に日本文学を読みたくなって、芥川。
文学シリーズは新潮文庫か岩波文庫と決めている。ジャケが良い。
芥川と出会ったのは中学2年の頃。なんと「蜘蛛の糸・杜子春」が廊下に落ちていたので家に持って帰って読んだ。それが始まり。
短編が多くて読みやすいし、昔話を芥川風にアレンジされている世界観が癖になった。「悪い宮沢賢治みたいだな」という印象だった。
昔はただの読み物としてストーリーを楽しんだが、大人になって読むと、芥川の宗教観だとか、死生観だとか、晩年にいくにつれて狂気を孕んでくる様だとか、目の前に突きつけられる感じ。
この「羅生門・鼻」は今昔物語の話から拾ったものが多く、注釈を読むことからルーツも探れる(新潮文庫の注釈は多過ぎ…萎える…)
ひとつのストーリー的昔話として楽しむのもよし、宗教的・古典的背景を楽しむのも良し。この巻は結構難しい話もあるので注意。
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あらすじ
京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひきぬいている老婆を目撃した男が、生きのびる道を見つける『羅生門』。
あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する姿をユーモラスに描いて夏目漱石に絶賛された『鼻』。
ほかに『芋粥』『好色』など、“王朝もの"全8編を収録する。
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芥川といえば、誰もが知ってるタイトル「羅生門」だが…
黒澤明監督の映画の影響もあってか、芥川と言ったら「羅生門」!!!
と言いたくなりますが、映画の方は原作「藪の中」メインのお話らしいです。
映画は観たことないので、この事実にはびっくりしました。芥川の真骨頂である「おどろおどろしさ」早くも全開で味わえます。
しかし、この「羅生門」は誰でも知っていることと思いますが、「邪宗門」というお話は知っているでしょうか?
この「邪宗門」。芥川流とんでも異能力バトルモノなんです。
短編にしては少しだけ長い(毎日新聞で連載されていた)ものになっているが、なんとあの有名な「地獄編」の続きでもあります。(キャラとかが)
簡単にいうと、キリスト教布教している怪しい僧(十字架で異能力使う)が京都で布教しまくってるのがウザいので暗殺しようとしたところ返り討ちにあってしまい…みたいな内容なんですが、このクライマックでは、キリスト教の怪しい僧VS仏教の高僧がスタンドを使ってバトルします。これマジです。
高僧がめっちゃ強そうだったのにあっさりと負けてしまって、「おい次出てこい!」みたいな流れで、最後に主人公が
「応」
つって出て行ったところで話は終わります。
えええええええ(笑)
噂では風呂敷広げまくって収集つかなくなってやめたらしいです。
芥川自身、書いてる途中で「なんやこれw」と思ったのかもしれません。
そんなジョジョのスタンドバトルを芥川テイストで楽しめる「邪宗門」
オススメではないけど面白いです(笑)
芥川の中での読みやすさ度★★★☆☆
芥川らしさ度★★★★★
スタンドバトル度★★★★★
おすすめ度:C
100円でいい事があります(僕に)