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「靴下とサスティナブル」①もったいないという気持ち
この間、こどもが言った「ありがとう」で思いがけず涙が出てしまった。
こどもの靴下に穴が空き、もう十分履いたから捨てようという話になり、なんの気なしに子供に捨てるように言った。そしたら、ゴミ箱の前でモジモジしながら、捨てようとすると、手を引っ込める。何度か繰り返した後に「寂しくて捨てられない」と言うので、「靴下にありがとうを言ってから捨てようね」と捨てるよう促した。
素直に靴下を握りしめ、寂しさと感謝が体全体から滲み出ているような「ありがとう」を言って、ゴミ箱に捨てた。
それを見たら不意に涙が出てしまった。とっさに泣いてるのがバレないように、顔を反らし話を続けた。自分で「ありがとう」を言おうねと言っておきながら思いがけず感動してしまったのだ。
その後、また同じように靴下に穴が空いたとき今度は、「自分では捨てられないから、夜寝てるときにパパが捨てておいて」とお願いされた。
自分にとっては「穴の空いた靴下を捨てる」という一つの行動でしか無かったが、こどもにとってはお別れの気持ちが強く、ものを大事にする気持ちがしっかり育まれているのだなと感慨深い気持ちになった。
ただ、その行動や言葉に感動してしまうということは、自分に「ものを大事にする」という純粋な気持ちが薄いのかもしれないと感じてしまった。
仕事ではサスティナブルなものを扱っていて、そこがウリにもなってアピールすらしているのに。
靴下を捨てるとき、こどもが抱いた感情はどういうものがあったのか。
いろいろな感情が入り混じっているのだろうと思うが、「もったいない」というキーワードについて考えてみたいと思う。
サスティナブルとは
「もったいない」という感情を考えてみるとまず「サスティナブル」という言葉が思い浮かぶ。サスティナブルの意味を調べてみると、
サスティナブル : 持続可能な
サスティナビリティ : 持続可能性
そのもの自体が長持ちするもの。いろいろな方法を使って使い続けるものにもちいられる言葉である。
身近なことでいうと、先にも述べたが、自分の仕事「リトルツリー」というキッズコーナーでは、基本的に遊具やおもちゃを「木製」にこだわっている。同じものを使い続けるサスティナブルな遊具、おもちゃ、キッズコーナーというのが、考え方の軸になっているからである。
使用されたものを一度汚れを削り落とし、新しく色を塗り、コーティングする。そうして新品同様にしてから別のキッズコーナーへ受け渡し、循環し続けている。
こういった手間ばかりかかって大変なのだが、同じものを使い続ける為には、削って塗ることが出来る「木」が最適なのだ。
SDGsとは
サスティナブルという言葉と関係が深いSDGsという言葉も広く知られている。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは
持続可能な開発目標
国連サミットで採択されたもの。国連加盟193ヶ国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標。
たくさん目標項目があるが、「ものを大事にする」ことに関連することだけ、挙げておく。
・エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
・働きがいも経済成長も
・産業と技術革新の基盤をつくろう
・つくる責任、使う責任
・気候変動に具体的な対策を
もったいない
もったいないという言葉の意味や語源を少し深ぼってみると、
「勿体」は「物体」と書き「物のあるべき姿/物の本質的なもの」を意味している。「物のあるべき姿/物の本質的なもの」を「無い」で否定するわけなので、「物の本体はない」ということ。
本来の意味が仏教の「この世に何一つとして独立し存在しているものはない」という「空」の思想や、「物事はすべて繋がって存在している」という「縁起」の思想に通ずる。
つまり、すべて当たり前ではなく、何一つとってもすべては有難い(有ることが難い)ことであり、私たちは支え合って「生かされている」という真実が「もったいない」という言葉の根底にある。
東洋経済ONLINE 「もったいない」の日本語に隠れた本当の意味
知っている人も多いと思うが、いっとき話題にもなり、盛んに広まっていった活動がある。
「MOTTAINAI」モッタイナイは世界中のアイコトバ としての環境活動だ。
Reduce(ゴミ削減)・Reuse(再利用)・Recycle(再資源化)
環境活動の3Rを一言で表せるだけでなく、かけがえのない地球資源に対するRespect(尊敬の念)が込められている。
環境3R + Respect = もったいない
ワンガリ・マータイさん(ノーベル平和賞受賞 ケニア人女性)
「もったいない」を起点に、サスティナブルやSDGsなどについてこの機会に再度調べてみて思ったのは、どれだけ環境問題などの知識を得ても、日々仕事でサスティナブルなものを扱っていても、「靴下にありがとう」を言いながら捨てたこどもの様子があまりに鮮明過ぎて、自分にとってこれが「ものを大切に」というイメージに繋がる原点になっていくだろうなということだ。
次の記事では「もったいない」を
・物質として無くなると不便、不利益と感じること
・寂しいなどの感情
といった論理的、感情的な2つに分けてたうえで、寂しいなどの感情面に対して書いてみる。
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