柳瀬涼

文章を書きます。 読書記録や日記がメインになります。

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最近の記事

日本人として、日本語をもう少し丁寧に扱おうと心に決める。 ~吉屋信子『花物語(上)』を読む~

はじまりは先輩からの独白だった。 「学生の頃、フランス人形みたいな先輩がいてね、洗顔の泡の上手な立て方を教えてくださったり、免許を取って初めてのドライブは助手席に乗せてくれたり。」 「それは恋愛だったりするの?」 「うーん、どうだろう。」 先輩は少し考える。 「恋愛感情は無かったかな。でも、その人に初めて彼氏が出来て、遊ばれて捨てられたとわかった時は心の底から相手が憎かったし、進学した後に車で学校まで迎えに来てくれたのに、彼氏の誕プレ選ぶの付き合ってって言われた時は、本当に、

    • センスを言葉で伝えるということをすなり~千葉雅也『センスの哲学』を読む~

       センスについて自分が考える時、まず初めに考えるのは「それが好きかどうか。」だ。自分はつまるところ、今まで“好きこそものの上手なれ”信仰なのだ。好きかどうかが最も重要な問題であり、好きでやっている、もしくは続けていることなら、なんらかの形でセンスがあると言えると思っているし、好きじゃないならそもそもセンスについてなんぞ考えなくてよろしい。そんな比較紋切り型寄りの考え方で今まで生きてきた。だから「センスの養い方」なんてものについて考えるのは、今回が初めてだったような気がする。

      • 恋愛を素晴らしいと思える日~鈴木涼美『YUKARI』を読む~

        「日本人、結婚好き過ぎんのよ。」 そう喋っていた我が親友は、最近唐突に彼女が出来た。フリーである時は「恋人が途切れないのはむしろ悪いこと」「彼女がいないこの2年ほど、自分はとても調子がいい」などと語っていた彼も、やはり唐突に目の前に現れた相性の良さそうな女性に知らぬ間に惹かれていたということだ。彼は「決して自分が惚れているわけではない」という点を強調しているが、彼自身が惚れた腫れたくらいの不合理かつ強い理由が無いと付き合わないような人間であることも、なんとなく付き合いの長さゆ

        • 夜桜は綺麗だった。~お参りはいつも越中詩郎のつもりで~

          「ねえ、桜咲いているよ!もう春なんだね。」 桜が咲いているのを見て、春の訪れを実感するのは、とても女性的な感性だなと思ったのはつい最近のこと。 自分一人なら、「あー、咲いたんだなー。」と気づけばまだマシな方で、もしかしたら桜の花を見向きもせずに梅雨に突入してたかもしれない。 春は桜を見るもんだと言われ、半ば付き添う形で夜の神田明神に足を運ぶ。その日の予報は夕方から雨だったが、ここに来て晴れ男が効果を発揮したらしい。雲はそこそこ、気温は快適な感じで散歩することができた。 昔

        日本人として、日本語をもう少し丁寧に扱おうと心に決める。 ~吉屋信子『花物語(上)』を読む~

        • センスを言葉で伝えるということをすなり~千葉雅也『センスの哲学』を読む~

        • 恋愛を素晴らしいと思える日~鈴木涼美『YUKARI』を読む~

        • 夜桜は綺麗だった。~お参りはいつも越中詩郎のつもりで~

          もう少しテキトーに振る舞いたい~高田純次『適当日記』を読む~

          これからの人生を生きていく上で大事なものは楽しさであり、その楽しさのために欠かせないのは絶対“テキトーさ”だ。 それを最初に学んだのは大学生も半ばを過ぎての事。もうこの世にはいないが、かつて悪友だったヤツがたいそういい加減な野郎だった。 そいつは東京の割と大きい祭りで神輿を担いでいて、おそらくその場の昭和の男たちから、主に酒の席で色々学んできたんだろう。 飲み会での大先輩への接し方や、おばちゃん達から可愛がられる方法など、大人になってから役にたつ?方法を2人で共有したりしてい

          もう少しテキトーに振る舞いたい~高田純次『適当日記』を読む~

          それはいつだって旅の始まり~宇野常寛『チーム・オルタナティブの冒険』を読んで~

          「逆シャア友の会知ってるか?ガノタなら読むべきだぜ?」 これは広島のとある料理屋での友達のセリフである。伝説の同人誌を紹介し出した友達の話を、ふんふんと、日本酒を煽りながら聞き入っていた。野郎3人で美味い酒と飯を求めて広島旅行をしてた時のことで、酒の席でガンダムや富野由悠季の話が出るのはいつものことなのだが、その日は間違いなく、これからのガノタバナシを変えていく新しい風が吹いた。 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 友の会[復刻版] https://amzn.asia/d/99

          それはいつだって旅の始まり~宇野常寛『チーム・オルタナティブの冒険』を読んで~

          SEED世代と呼ばれた僕ら~『SEED FREEDOM』について考える~

           劇場版ガンダムSEEDが公開されると聞いて、僕は「いよいよか!」「何年待たせんだよ!」という胸の高鳴りよりも、「そういえばそんな話もありましたね。」くらいの熱量だったというのが正直な感想だ。2006年に制作が発表され、18年の時を経て公開された『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』は、昔行方不明になった同級生が突然目の前に現れたみたいな、すこし神秘的な感覚すら覚える存在だった。 SEED世代と呼ばれ、宇宙世紀を愛した  まず初めに、自己紹介も兼ねてガンダム作品との

          SEED世代と呼ばれた僕ら~『SEED FREEDOM』について考える~