その「大丈夫」って大丈夫?
大丈夫という言葉、普段当たり前のように使ってしまう。だけど実はめちゃくちゃ使い方が難しい言葉だと思っている。
なんか相手が調子悪そうだったり、上手くいかなくて悩んだりしている時、私たちはついつい「大丈夫ですか?」とか「きっと大丈夫だよ」と言ってしまう。
別に間違いではない。むしろ正しい反応の仕方だと思う。
確かに大丈夫という言葉には優しさや勇気づけという側面がある。
だけど、それと同時に「大丈夫」ほど抽象的で無責任な言葉はないな、って最近感じる。
きっといろんな意味が含有されている。
心配している、勇気づけたい、後押ししたい、何とかしてあげたい。
そのどれもが心からの思いで、そこに嘘偽りはないことの方が多い。
だけど確かに言われる立場になって考えてみると、「大丈夫」って言葉は実に返答しづらい。
「大丈夫じゃないからこうなっているんだよ」
「大丈夫じゃなかったらどうしてくれるの」
「そもそも大丈夫かどうかなんてわかんない」
そんな感じ。
でも説明するのも面倒くさいから結局「大丈夫です」と返答してしまう。そんなケースはないだろうか。
それに、相手を勇気づけるための「きっと大丈夫だよ」は無責任だ。
その「きっと大丈夫」は、おそらく自分が大丈夫だった経験からくることが多い。だから、
「(自分は大丈夫だったから)きっとあなたも大丈夫」
という( )がつくケースが多い。それだけではないかもしれないが。
確かに誰かの大丈夫だった経験はとても心強い。
だけど私が大丈夫だったからといって、あなたも大丈夫だとは限らない。
悩んでいることが違うかもしれない。目的が違うかもしれない。
だからそれを「大丈夫」という言葉で簡単に片づけることは出来ない。
その人の人生までを大丈夫という言葉で背負うことなんて、そんな無責任なことは出来ない。
じゃあ無視すればいいのか、というとそれは話が違う。
必要なのは「”大丈夫”の言語化」。
「大丈夫」という言葉に頼るのは間違いではないが、あくまでそれは抽象的な言葉だということを忘れないように。
そして抽象的な言葉というのは、そのままだと解釈が人の数だけあるということを忘れないように。
あなたの「大丈夫」だった経験を言語化してあげて、体験談として伝えてあげる。もしかしたらそれが相手にとっての正解ではないかもしれない。だけど正解になるかもしれない。それはわからない。
でもその選択肢があるかないか、その差は大きい。
言語化はお互いの意識や考えの齟齬をなくすために重要なツールだ。
そしてそれは結果的に人間関係にもつながってくる。
いつでもどこでも使ってしまいがちな言葉こそ、一度立ち止まってそこに込められている自分の思いを考えてみる。言語化してみる。
その「大丈夫」、本当にそのまま使って大丈夫?もっと別の伝え方、聞き方ない?
「大丈夫」を使いたくなったとき、自分にそう問いかけたい。
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