NASAは地球外生命体を本気で探して、南極の氷は天文学に使われる【05/04-05/08】
こんにちは、りょーです。
最新の論文を1日1本ピックアップして紹介していく「天文ニュースマガジン」。3週目に突入です!!
こちらではarXiveという論文投稿サイトから、この1週間で発表された論文を5本ピックアップして、どのような研究が最前線でされているかを紹介して行きます!
今週は運用に参加している国際宇宙ステーションに搭載された検出器のデータを掘り下げて、星の爆発を探しまくっていました。
30発くらいは見つかったので、まぁ手応えありって感じです。
副業的には、TwitterのAPIという機能を使って、Tweetを収集したり、ホットワードを可視化するプログラムを構築しましたね。宇宙より現実味のある作業をするのもリフレッシュになっていいです。
【追記】
今回はかなり評判がよく、Twitterでもいろんな方に呟いてもらってます!嬉しい!!
全ての論文は英語で発表されていて、日頃から英語力を鍛えています!そこで使っているのがAudible。Amazonが出している、本を読み上げてくれるサービス。そこで出たこのパッケージ使ってます!!
私はもともとAudibleユーザーだったので、少しお金がかかっていますが、今はじめてAudibleを体験する方なら、無料でいけるらしい... ずるい!笑
こちらから、今すぐAudibleを初めてみることをオススメします。
近況報告はこれぐらいにして、最新宇宙ニュースの時間に参りましょう!
今週のラインナップはこちら!!
【05/04】遠くの星の周りに土星みーーっけ
05/04(月)の論文はこちら!!
またまた系外惑星のお話。土星っぽい星を人工衛星TESSで見つけたぞー!というお話。
もう〜毎日毎日こんなに論文が公開されるなんて、優秀なチームなんですね、TESSチームは。笑
この論文は格段に読みやす論文の一つですね。
観測データ漁りました
↓
惑星見つけました
↓
その星がどんなもんか調べました
↓
土星っぽい星が回ってるようです!
シンプルは素晴らしい!!グダグダ長くかくし、主張も不明確なものは解読に疲れますから。。。(自分の実力不足は否めない)。
今回使われている人工衛星は、太陽の周りを回る地球のような惑星を、太陽系以外から見つけたい!としている「TESS」です。
この衛星は、すっごく細かくデータをとって、小さい惑星が星の前を横切るときに作る小さな減光(ちょっとだけ暗くなる)を見つけます。
今回、研究者がTESSのデータを解析し、すごく小さな変動から、惑星を発見しました。その変動のデータがこんな感じ。
上の変動を見ていただきたくて、暗くなったのは一瞬で、その減光は0.01 Mag。これは、人間の目ではわからないレベル。1等星の星が0.99等星になったのを見つける感じです。
このデータを見つけて、「あ!星の前を何か通った!惑星だ!」となって詳しく調べてあげたそう。
その結果、この惑星は木星の半径の0.82倍で、重さは木星の0.37倍だそう。
(惑星は、地球か木星あたりを基準に重さを測るクセが強めな分野ですw)
中心の星の周りを35.5日で周り、温度は440ケルビンと、木星や土星のようなガスが充満する巨大な惑星においては、最も低い温度の惑星の一つに分類されるそうです。
このような結果は、大体土星と一致するようで、「土星っぽい星」の発見を報告する論文が完成です!!
今回は論文の構成に着目して説明して見ました。
いや〜それにしても毎日のように太陽系以外の惑星がバンバン見つかってきますね。
そのうち、他のミッションでは、地球外生命体からの信号をバンバン受けるものが出てきたりするんですかね。
楽しそうな未来ですね😄!
【05/05】太陽って元気なさすぎじゃない?
05/05(火)の論文はこちら!
今回取り上げるのは、名高いScienceに掲載される論文です。この科学誌に掲載されるということは、結果にめちゃめちゃインパクトがあるぞ!素晴らしい研究だ!最高だ!!と言われているようなもん。
Scienceに載るのであれば、天文分野以外の人も見るので、話題性バツグンです!マストな論文です!!
この論文では、「他の太陽っぽい星に比べて、私たちの太陽なんか元気ないぞ?」という結論が導き出されています。
研究方法としては、太陽に温度や自転周期が非常に似た星を369個測定してやって、その光度変動を4年にわたって調査したそう。
今回注目している「活動性」とは、磁気活動のことを指します。
イマイチ、ピンとこないかと思いますが、太陽表面で発生する爆発「フレア」もこの磁気活動を示す現象の一つです。
そしてこのフレアが発生する場所には「黒点」と呼ばれる領域が存在します。下の写真の黒い点のことです。
詳しい話は、私の太陽フレア解説記事に譲ります。
まぁ簡単に言うと、星がすごく活発になっていると、大きな黒点が発生して、活動性が低いと黒点が小さくなりますね。
なので、星全体の明るさをずっと見ていると、大きな黒点があるのであれば、明るい場所と暗い場所の差が出て、星が明るくなったり暗くなったりしているように見えます。
一方で、活動性が低い星では、黒点が小さいので、星自体の明るさはさほど変わらないことになります。
これに注目して、369個の太陽っぽい星を観測しつづけたら、この明るさの変動が、太陽に比べてすごく大きいんです!!
つまり、大きい黒点があることが考えられ、より活動性の高い星ばっかりがあることがわかりました。
論文の概要には最後、
Their existence raises the question of whether the Sun can also experience epochs of such high variability.
「このような活動性の違いから、"太陽が活動的な時期を経験しうるか"という疑問が浮かんでくる」
と書かれています。
私たち人間が地球上に生きていられるのは、太陽のおかげです。
つまり、太陽の元気がないから、逆に私たちは生きていけているとも言えます。
太陽さん、元気がなくて、ありがとう!!笑
【05/06】NASA、地球外生命体見つけるってよ。
05/06(水)の注目論文はこちら!
科学的な論文というよりは、NASAが2023年から2033年までで目指す科学成果について記述した「ホワイトペーパー("なんちゃら白書"ってやつ)」です。
この論文では、NASAは2023年からの10年間で2つの大きなミッションを成功させることを掲げています。それは、
・天王星、海王星への到達ミッション
・太陽系外の海洋惑星に向けた生命の探査ミッション
です!!
宇宙に関わるミッションには、必ず達成したい「科学的な課題」が存在します。その課題をクリアするために、ミッションはあります!
これらのミッションは、3つの科学的な課題の解決が課せられているんです!!
・太陽系における生命の分布と、その歴史は?
・太陽系は何によってでき、何が進化し、何を形作っているのか?
・現在の太陽系はどのような過程におり、どのようなプロセスが世界を形作ったのか?
というところがあります!!
私たち人類はこれまでに、太陽系がどのようにできたのか、どのように進化してきたのかを明らかにできていません。
そこで注目されるのが天王星、海王星。これらは、ガスで覆われた巨大な惑星であり、これらは太陽系が形成された時の情報や、そこから自然に(地球のように外部要因もなく)状態が変化してきていると考えられています。
つまり、こいつらに着地して空気や材質を詳細に測定することができれば、不思議に包まれた太陽系の成り立ちを解明できるのでは?と考えられています!
この成り立ちが明らかになれば、生命がどのように生まれてきたのか、といったような根本の問題も解決できるのではないでしょうか。
その方法とは別に、実際に太陽系外にある「海洋惑星」に生命がいるのかどうかを直接調べてやろうというミッションも並行して走ります!
海洋惑星とは、水に包まれた惑星のことをさします。惑星が形成される際に、岩石にと一緒に大量の氷も形成されることが知られています。
そしてその氷が、恒星などの熱の影響を受けて溶け、水となった状態ですね!
このような星は、地球に環境が似ているのではないかとされており、また水は生命に必要な要素の一つなので、それがあるなら生命がいてもいいじゃないかということ。
解決したい細かい課題は多く、
・地球以外に生命が住める環境が存在するのか?
・現在生命がいるのか?それとも過去にいたのか?
・海洋惑星に生命が存在するために必要な条件って何か?
とかとか。
方法としては、惑星探査機(はやぶさみたいな感じ)を飛ばして、その場で観測して生命の痕跡を探す、という方法をとるみたい。
NASAは本気で「地球外生命体」を探し始めるようですよ!!
2023年からの10年間の間に、ビッグニュースが舞い込んでくるかもしれませんね!!!
楽しみだ〜〜〜〜。
【05/07】南極の氷を使った天文学の研究!?
05/07(木)の注目論文はこちら!
たまに聞く「ニュートリノ」のお話。
ニュートリノとは、素粒子(めちゃくちゃ小さい粒子でいいです)の種類の一つで、原子とかよりも小さいので、どんなものもすり抜ける物質です。
ニュートリノを知っている方の多くは、小柴昌俊さんがノーベル物理学賞を受賞したことがきっかけかと思います。太陽系の外で発生した超新星爆発が発生させたニュートリノを見つけたこの研究によって、世界中の人に認知されるようになったイベントですね。
この宇宙から飛んでくるニュートリノを検出するために南極に建てられたのがアイスキューブ・ニュートリノ観測所です。
ニュートリノを検出するのに必要なのは大量の綺麗な水です。水を大量においておくと、ものをすり抜けるニュートリノもたまに水分子と相互作用を起こします。この確率がすごーーく低いので、大量の水で確率をあげよう、という発想です。
大きな水槽に水をためていたりもしていましたが、物理的な容器を作るのにはそれだけで様々なコストがかかります。
なら、自然を使ってしまおう!!南極の氷はゆっくりできた純度の高い水じゃないか、これを検出器にしてしまおう!!ということでできたアイスキューブ・ニュートリノ観測所。
写真はこんな感じ。
南極の氷に、水と相互作用した時に出る小さい光をとらえるためのカメラを大量に埋め込んでいる状態です。
前置きが長くなりましたが、今回紹介する論文は、この検出器を使って、宇宙でニュートリノが発生する現象が、どれくらいの確率で発生するかを検証したものです。
言った通り、ニュートリノは基本物質を突き抜けます。なので、このアイスキューブ検出器は、宇宙全体を常に監視していることになります(北極側からとんでくるニュートリも見えるから)。
モデルを作ってあげた結果、ある程度の明るを持つ現象は1光年四方あたり0.0000000000000000000000000001 個 (小数点以下27桁!!!)以上ある!と。。。
わからん!!笑
なんかすごく少なく感じるんですけど、宇宙全体が464億光年です。
丸く膨張してるとしたら半径464億光年の球なので、宇宙全体の体積は2.7 x 10^22 光年^3らしいです。
これをかけ合わせると、0.0003個以上。
少なくないか?ん?ピンとこない。。。
まだこの精度でしか出てないってことなんだろうか。
もう少し出てもいいのに。
今後のアイスキューブ・ニュートリノ検出器のアップデートでさらなる検証がされる、と書いてあるので続報を待ちましょうか!!
【05/08】2,200光年も飛ぶジェット噴射
05/08(金)の注目論文はこちら!
この研究で観測の対象になっているのはCircinus galaxyという銀河です。
これがそいつの写真。
銀河はもうあれです、天の川とかと同じで星が密集してぐるぐるしてるあれです。
銀河にはだいたい2,000~3,000億個の星が含まれてます。天文学的数字ってやつですね笑。見た目の大きさは700光年程度です。
今回紹介する論文では、このような銀河から出ている「ガス噴出」がどれだけ遠くまで飛んでいるのかを調査しています。
銀河は、中心部分から、円盤状に広がる星に対して垂直な方向にビームのようなガスを噴出しているものがあります。今回の対象のCircinus galaxyもそういう天体。
イメージとしてはこんな感じ。
このジェット噴射が、どれだけ広がっているかを調べた結果、なんと2,200光年も伸びていることが明らかに!!!
2,200光年って、わけわかんないくらいでかいですよね。。。。
物質が光の速さを超えることはないので、いったい何年前から噴出していたことか。。。まぁ460億年の歴史のある宇宙からしたら、大したことはない距離にはなってしまうのだけど笑
しかし、こんなに広がっているガス噴射は、他の銀河と比べても非常にユニークなものであることがわかったそうで、今後はこの噴出物を解析していくことで、この銀河の歴史が紐解かれていくのかな、と。
(ジェット噴射の先のほうはそれだけ昔の物質が飛んでいることになるから、です)
そういった歴史を紐解くことは、最終的には私たちの住む天の川銀河の歴史を明らかにすることに繋がることでしょう!!
まとめ
今週も面白い研究ばかり!毎日30個近い論文が公開されていくので、実はもっとあるんですけどね笑
たくさんの天文学の検出器が出てきましたが、こちらの本に一般向けにかなりわかりやすく書いてあるので、よければご参考に!!
来週もこのように天文ニュースをピックアップして紹介するので、ぜひマガジンのフォローをお願いいたします。
こちらは週に1回の更新ですが、Twitterでは毎日読んだ論文の要約をつぶやいているので、そちらもぜひ!!
こんな種類の論文も紹介してほしいなどありましたが、ぜひコメント等でおしらせください。
みなさん体にお気をつけて!!
STAY HEALTHY!!
この記事が参加している募集
よければサポートをお願いします!いただいたサポートはより良い記事を配信するための活動費に使わせていただきます。