見出し画像

派遣スタッフの教科書~派遣で働くコツ~ 【派遣スタッフの基礎知識】⑧派遣先による面接は禁止

こんにちは!
派遣スタッフの教科書と銘打って、人材派遣で働く方向けのTipsを紹介していきます。
【派遣スタッフの基礎知識】編の第8弾!
「派遣先による面接は禁止」
行ってみましょー!

「ひたすら具体的」で「生々しく」派遣スタッフの教科書を作るという狙いなので、僕の独断で、派遣で働く人が知っておくと良いことについて超実践的に解説していきます。
シリーズのマガジンはコチラ↓

※僕は事務系の一般派遣の営業経験が長く、ここでは主に登録型の人材派遣についての解説が中心になります。


面接は禁止

人材派遣において、派遣先による派遣スタッフの面接は禁止されています。


派遣法(26条6項)では、

労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければならない

と定められているのです。

※努めなければならない=努力義務規定(努力義務とは?


ここで言う、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)とは何のことでしょうか?

↓厚生労働省の「特定目的行為の禁止について」という資料には以下のように記載があります。


言い換えると、派遣労働者を受け入れるにあたって、〇〇さんを派遣してもらうと個人が特定できている状況を目的とする行為をしてはいけないというものです。

当然、面接をして選考したり、履歴書を提出させたり、年齢や性別を不必要に限定することなどは禁止です。



面接とは絶対に呼ばれない「職場見学」

ここで、現在派遣で働いている方や、働いたことのある方の中には「えっ??派遣先に面接されたよ・・・?」と思う方もいるかもしれません。

・・・それについては、面接ではない(という)ことになっています。

面接だと思っているその行為は、「職場見学」や「事前打ち合わせ」などと呼ばれていたのではないでしょうか?

派遣契約の前に、事前に面談や打ち合わせをしているその行為は、面接ではない(ことになっている)のです。これは、後ほど解説します。


特定目的行為が禁止の理由

さて、なぜ特定目的行為が禁止されているのでしょうか。

以前↓のnoteでお話ししたように、

3年同じ組織単位に派遣されることが見込まれると、雇用安定措置により派遣スタッフを直接雇用にしてほしいと派遣会社から派遣先に依頼がある可能性があります。

将来的に直接雇用する可能性があるなら、事前に人物像や、スキル、周りとうまくできそうかなどの選考としての面接ができてもいいような気がしませんか?(実際、海外の人材派遣では、事前の面接が禁止されていない国も多いです)

では、日本の派遣法では、なぜ、特定目的行為が禁止されているのか?

それは、

派遣先企業にどの労働者を派遣するかを決定する役割が雇用主である人材派遣会社にあるため

です。(結構シンプル!)


↓よく見る図を派遣協会のHPより拝借しました。


人材派遣というのはそれぞれ、派遣契約が派遣先と派遣元で、労働契約が派遣元と派遣スタッフで取り交わされているのですが、派遣先と派遣社員との間には契約関係がないのです。

なので、単純に雇用主である派遣会社が面接などの選考をするということになっているのです。派遣先が選考に関わることを、二重の雇用関係にあるとみなす考えがベースになっています。

また、派遣労働者の保護のために職業能力以外の観点で選別が行われ、就業機会が狭められてしまうことを防ぐという目的もあると考えられます。

違うと言えば違うのですが・・・(厳密には全然違う)

引越し屋さんに引越しを依頼した時に営業パーソンとは違う人が当日やってきますよね。できれば、小綺麗な人に来て欲しいな(失礼!)などと考えたりすると思いますが、顧客であるあなたが、履歴書提出させたり、引越し屋さんの雇用に干渉することはないと思います。(実際の引っ越しがスムーズにいかなければクレームを入れることはあるでしょうが)

それに近いイメージを持っていただいても、雇用主ではないから面接や選考ができないという意味では、間違いではないと思います。


また、派遣先が選考することにより、派遣会社と派遣労働者の主従関係を強め、本来労働者に帰属すべき賃金をピンハネるといういわゆる中間搾取の弊害が生じるおそれがあるということもポイントです。(借金の方に働かせてピンハネるみたいな)



1986年からずっと禁止

派遣スタッフとしてのキャリアが長い方から、「へぇ・・・その面接禁止ってルールはいつからなの?」と聞かれることもあるので、いつから禁止されているかも、お話ししておきます。

結論、特定目的行為は派遣法ができた1986年から、ずっと禁止です。
そういう意味では、面接的なことが行われていることは長く働いてきた派遣スタッフにとって当然のものになってしまっていると言えるかもしれません。(良くないですね・・・)

職場見学とはどういう位置づけなのか

では、現在、面接のごとく行われている「職場見学」という行為は、一体何のことで、どういう位置づけなのでしょうか。

そのヒントになるのは、「派遣会社は1枠に1名しか人選しない」(当たり前)ということです。

故意に選考(的なこと)を行っている派遣先は、ほぼ、複数の派遣会社に声をかけていると思います。

これには派遣会社が候補の派遣スタッフが確保できない場合のリスクヘッジという理由もあります。

が、「派遣会社は1枠に1名しか連れてこない」ということが理由になっている派遣先のほうが多くあります。


派遣先による面接や選考が禁止されている以上、原則、派遣会社は責任を持って人選をし、1名の枠には1名を選定します。(当たり前)

その状況の中で、派遣先が、「複数の候補から選考したい」と考えると、複数の派遣会社に声をかけて、それぞれ「職場見学」を行うことになります。

※ 稀に、1枠に複数名の候補を提示して、複数名を時間をばらけさせて、「職場見学」を行う派遣会社がありますが、こうなると派遣会社も・・・


前置きが長くなりました。

「職場見学」の立てつけは、派遣先と派遣会社の間では、おおよそ

①派遣会社は、適法に1名を選定して提案し、「職場見学」をしている

②派遣先は、違法なのに複数から選考したいと考えて、複数の派遣会社に声をかけて、ギリギリで1社以外をキャンセルしている(まるで、Amazonと楽天で同じ商品を買い、片方をキャンセルするように・・・)

となります。


これは、長く派遣営業をしてきた僕の感覚としては、50キロ制限の道を60キロで走行する感じです。

1名枠に複数の候補を提案するのは50キロ制限の道で80キロ出すイメージでしょうか。(ちなみに国籍とか宗教、出身地などで選考するのは飲酒運転で200キロ出すイメージ)

もちろん常に順法であることは理想的ですが、常に50キロピッタリで自動車の運転ができないように、状況によって許容されている範囲があります。そんな現実が良いとは僕は思いませんが。



例えば、匿名の職務経歴書(スキルシート、スキルカードなどと呼ばれる)で提案を受け、その上で、良さそうだと思う派遣会社1社の職場見学をし、その派遣会社とどうしても契約したくない場合は、次の派遣会社の候補の職場見学を行うことで、順番に候補者に会うこともできます。(もちろん、できる限り派遣先の人選を信頼する前提で)

この場合、多少、この派遣スタッフに来て欲しいか?という目線があったとしても、僕の偏見で言うと、50キロ制限の道を52キロで走行しているくらいと言えるのではないでしょうか。


これが、面接が禁止なのに「職場見学」という面接的なものが行われている構造です。


最後に

今日は、「派遣先による面接は禁止」について、解説しました。

派遣サービスにおいて、最もグレーな話なので、少し説明に苦慮しました。そして、経験則によって話した部分や分かりやすいように端折った部分もあります。
詳しく気になる方や悩んでいる方は直接ご連絡いただければお答えします。↓オープンチャットなら匿名&無料。


そして、職場見学においての具体的な攻略解説はどうしても全体に公開しにくいこともあり、有料noteになりがちです・・・
メールでお問いあわせいただいた場合に、(ある程度素性を教えていただいた方には)以下のnoteをプレゼントしていますので、ご希望があればその点でもご相談くださいね。


次回は、「労働契約申し込みみなし制度」についてお話しします。

では、また!





お悩みや相談のある派遣スタッフの方やこれから派遣で働こうか迷っている方、どちらでもない方、ご質問やご相談はこちら↓へお願いします。
※無料で全力でなんでも答えます。

僕のキャリアやビジョンをインタビューしてくださった記事↓

オープンチャット「人材派遣スタッフの駆け込み寺」を始めました!

「人材派遣営業の駆け込み寺」とは違い、派遣で働く(働く予定)の方の相談先を目指しています。
匿名で出入り自由ですので、ぜひうまく活用してもらえると嬉しいです。

サポートいただいた分は、人材派遣で働く人のサポート、人材サービスで働く方のサポートの活動に使います!必ず、世の中の役に立てますね。