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内向型人間だってリーダーに向いている

シリーズの第2回目では、「どんな人がリーダーにふさわしいか」というテーマに焦点を当てています。

内向型の私たちも、チームや組織に必要とされているのか?

その問いに関して、「内向型人間のすごい力」を参考に、リーダー像を深掘りしていきます。

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一般的なリーダー像

一般的に考えられているリーダーのイメージは、以下のような特徴でまとめられます。

  • 自信満々:自信にあふれ、チームやプロジェクトを自信を持って引っ張る。

  •  積極的なコミュニケーション:声を大にして、チームメンバーに方向性を示す。

  • 社交的:社内外の人々と容易に関わり、ネットワーキングを行う。

このイメージは、社会やメディアを通じて強化されてきました。熱意やコミュニケーション能力が、チームやプロジェクトを前進させるために重要とされるためです。しかし、リーダーには様々なタイプがあり、一つの型にはまるものではないことを理解することが大切です。

そのリーダ像はあくまでも想像

リーダーについてのよくある考え方は、すぐに決断できる人や自分の意見だけを押し通す人が良いリーダーだとするものです。特に会社などのビジネスの場では、迅速な決断を求められることが多いです。しかし、この考え方はリーダーに求められる色々な能力を見落としてしまうことがあり、時には会社にとって良くない結果を招くこともあります。

ハーバード・ビジネススクールのクイーン・ミルズ教授は、「勝者の呪い」として知られる現象を例に挙げ、競争の激しい状況では、独断的な行動が不合理な結果を招くことがあることを指摘しています。オークションでの過剰入札や、競争相手に勝つための高額な支出は、しばしば積極的な性格の人間に見られる行動です。これらの行動は、短期的な勝利を追求することで、長期的な利益を損なう可能性があります。

また、集団の中で、物静かなタイプと声高なタイプがいる場合、雄弁で説得力のある声高なタイプが意見を押し通しやすく、結果として良い考えが悪い考えに押し潰されることがあります。

集団の力学に関する研究は、人々がよく話す人をより知的でリーダーとみなす傾向にあることを示しており、これは必ずしも正確な評価ではないことが多いと指摘しています。たとえば、会議での発言量が多い人が注目を集め、権力を増すことがありますが、これは実際の能力やリーダーシップの質とは無関係であるとされています。

内向型のリーダーが必要とされる

雄弁さが必ずしも洞察力やリーダーシップの質と相関しないことは、数々の研究で明らかにされています。例えば、ある研究では2人の大学生に数学の問題を解かせ、その後で自己評価を行わせました。結果として、発言が多く早口で話す学生が、実際には貢献度が低くても、自身の貢献を高く評価する傾向がありました。これは、社会がどのようにして特定のリーダーシップのスタイルを過大評価するかを示しています。

一方で、ビジネス理論家ジム・コリンズの研究は、20世紀末の成功した大企業の多くが、謙虚で内向的な性格のCEOによって導かれていたことを発見しました。これらのリーダーは物静か、控えめ、寛大であり、自らのエゴよりも組織の成長を優先しました。

コリンズは、「企業を変革するためには、華やかな個性よりも、組織を愛し、成長させることに情熱を注ぐリーダーが必要である」と強調しています。この見解は、リーダーシップに対する私たちの一般的な認識に挑戦し、成功への道は多様であることを示しています。

企業の大きな決断が少人数の会議や書類を通じて行われる現代において、リーダーは万能である必要はありません。重要なのは、チームや組織と共に成長し、目標達成に向けて共に働く能力です。内向的で人前に出ることを好まないリーダーも、彼ら独自の方法で組織を成功に導くことができます。

内向型のリーダの特徴

内向型のリーダーは、スタッフが自発的に動く環境で真価を発揮します。彼らは人の意見を尊重し、権力を独り占めしようとしないため、チームの積極性が生まれやすいんです。スタッフのアドバイスに耳を傾け、その結果、チーム全体が活発になります。

このタイプのリーダーのもとでは、スタッフは自分の才能を存分に発揮することが推奨されます。それは、リーダーが各人の提案やアイディアに開放的で、それを組織の目標達成に向けて前向きに取り入れるからです。このおかげで、スタッフは自主的に動き、仕事で主導権を握るようになります。

一方、外向型のリーダーは、スタッフが指示待ちの姿勢の場合にチームの成果を高めることができます。これは、彼らが積極的に方針を示し、チームに刺激を与える力があるからです。

内向型のリーダーは、スタッフに自分から動くよう促し、それぞれの得意分野を生かしてチームの成果を高めます。このように、積極的なスタッフを持つ組織では、内向型リーダーがその力を存分に発揮します。

考察

必ずしもリーダーにならなくとも、私たち内向型の人間によって以前よりも能力を発揮しやすい環境にあると思います。それは、インターネットの発達、そしてSNSの普及によって実現されています。自分の声を発信し、それを誰かに届けることを自らの手によって実行することができるようになりました。

SNSという自発的に発信する道具を使い、仲間を集う人たちは、能動的である可能性が高いと思います。その集団を率いるのに内向型のリーダーはぴったりなのではないでしょうか。

内向型の人間も自分らしさを活かして影響力を持つことができます。私たちにとって、オンライン上でのコミュニケーションは、直接的な対話よりも心地よいものであり、思慮深く、緻密な計画を立てることができる内向型にとって最適な環境です。SNSを通じて、同じ価値観や関心を持つ人々と繋がり、意見を共有することで、静かながらも強い影響力を築きましょう。

まとめ

内向型リーダーと外向型リーダーは、それぞれの環境や状況に応じて特別な価値を持ちます。内向型リーダーは、熟考と聞き取りの能力を通じて、自立したスタッフをうまく導き、チームの成果を向上させることができます。私たち内向型の人たちは、決してリーダーに向いていないわけではありません。あくまでも、目立たないということだけであり、目立たないことこそが、内向型人間が組織を導くことの最大の魅力です。

今後も当コンテンツでは、内向型の人々に関する話題を取り上げていきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

参考文献:『内向型人間のすごい力』

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