見出し画像

ゲームが新しい未来を作る?

「REALITY IS BROKEN 幸せな未来はゲームが作る」ジェイン・マクゴニガル



 ゲーム中毒者という言葉もあるように、ゲームにはネガティブなイメージが少なからずあります。本書はむしろゲームは人を幸せにする力があるというゲームのプラスの側面を説く本です。



 ゲームというと現実世界に役立たない無駄な行為というイメージが世間ではあると思います。しかし、ゲームは脳の内発的報酬の機能を高めることで幸福を感じやすくするように脳を変える働きがあります。ご褒美が無くても活動自体を楽しく感じさせます。



 ゲームの主な性質にゴールとルールとフィードバックと自発的な参加の4つがあります。



 ゴルフを例にあげると、穴にボールを入れるという目的があり、打った数やコース内のどこにボールがあるかが分かることで達成までの現段階を知るというフィードバックがあります。そして穴にボールを入れるだけなら手で入れてもいいわけですがそれでは楽しくないのでクラブで打つというルール、言い換えれば程よい難易度にするための制限があります。しかもギリギリの難易度にすることで失敗してももう一度やりたくなる気持ちが起きて夢中になるというのがゲームの性質と言えます。



 ゲームを楽しく感じることの理由としてフローとフィエロという二つの概念があります。フローは出来るか出来ないかがギリギリの状態の集中状態やそのときの良い感情を、フィエロは困難を達成した時の楽しさを表しています。ゲームは勉強やスポーツなどの他の活動よりもこれらを感じやすいように設計されているために特に楽しいと感じるものだと言えます。



 また、ゲームは誰でもいつか必ずクリアできるように作られています。そして必ず出来るはずというゴールへの希望が感じられる状況においては、失敗すらもポジティブなものとして脳が受け取るという実験結果が出ています。ゲームには「辛い楽しさ」もあるということです。




 そして脳には可塑性といって、繰り返し使うことで能力が発達する仕組みがあります。ゲームは繰り返し遊ぶことで楽しさや幸福をより感じやすい脳に作り替える働きを持っているということです。




 本書では他にもゲームの応用による社会課題解決の例なども載っているのでこちらもおすすめです。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?