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遊びが大好きな大人たちへ。学問としての遊びの本

「ホモ・ルーデンス」ホイジンガ

 ホモ・ルーデンスとは人間は遊ぶ存在であるという意味で、本書は遊びの持つ特徴について述べています。



 筆者は遊びの特徴を、日常の世界や、ものの本来の働きや目的から一時的に離れることとしています。



 鬼ごっこを例にあげると、鬼ごっこは例えば教育や交流などの現実に生きるのに役立つ目的のためではなく、ただ遊ぶことが目的で行われます。また、鬼ごっこ内では日常の公園などの場や人間関係が本来の機能を離れて「鬼と人の追いかけっこのための世界」としての性質を持つようになります。



 このような「現実から切り離された別世界での活動」としての遊びにおいては秩序と緊張(不確実性)の二つの要素が重要になります。



 ゴミ箱にゴミを投げ入れる遊びを例にしてみましょう。誰でも一回くらいは経験があるかもしれませんが、ゴミが上手く入るかどうかは不確実です。だから入ったらそもそも何か目的のある活動ではないけれど嬉しく思う。そこに遊びの面白さがあります。



 秩序についてもゴミ箱に入れるのが目的なら直接入れればいいわけですがそんなのは面白く無い。そのために離れてシュートしたり利き手でない方で投げたりするルールを独自に作るわけです。遊びの面白さを壊さないためにこの秩序があります。




 そして、遊びには二つの種類があります。何かを求める闘争としての遊びと、何かを表すための表現としての遊びです。前者はサッカーなどの競技や宝くじ、後者は歌やダンスやおままごとなどが挙げられます。



 この理論を当てはめれば戦争や裁判や宗教儀礼など幅広い分野が遊びと言えるということ、むしろ遊びの要素が先にあってこれらが生み出されたということを紙幅の大部分を割いて説明しています。




 


 「遊びと人間」ロジェ・カイヨワ



 この本は「ホモ・ルーデンス」と並ぶ遊び研究の名著です。内容としては「ホモ・ルーデンス」の内容を受け入れつつ新しい遊び論を提唱しています。



 筆者によると遊びは競争と偶然と模擬と目眩の4つの要素に分けられると述べています。




 偶然は賭け事などを、模擬は演劇や物真似など、目眩はわざと一時的にパニック状態を引き起こす遊びであり、ジェットコースターやお化け屋敷などが当てはまります。

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