アートを通して海について考えるキッカケを
PangeaSeed Foundation主催のSeaWalls: Artists for Oceansに、メディア、そしてカメラマンとして参加した。
過去のノートでも、SeaWalls: Artists for Oceansについては触れてきたが、もう一度
SeaWalls: Artists for Oceans(海のためのアーティストたち)は、PangeaSeed FoundationというNPO法人によって行われる、アートをとおして海洋保護に関するメッセージを公共のに届けるためのアートプログラムだ。いまもなお、前進し続ける多くの素晴らしい芸術家とともに、14ヶ国以上もの国で約350近い壁画を作ってきた。アーティストの全員が、ボランティアとして参加し、時間と素晴らしい才能を海洋保護を訴えるために使う。
そんな、SeaWalls: Artists for Oceansが、10月5日から10月15日にかけて、ニュージーランドのGisborneという街にて行われた。街中には、合計19枚の壁画が完成した。
どのように海洋保護を訴えるのか
壁画といっても、ただのアートな壁画ではない。どの壁画も、魚の乱獲、海洋汚染、絶滅の危機にある海洋生物、地球温暖化などをテーマに描かれた壁画たち。こうした様々な問題を、公共の場に視覚的なメッセージとして残すことで、人々に訴えるというものだ。
これこそが、アーティビズム(ARTivismというartとactivismの造語で、アートを通した活動を指す言葉だ)だ。こうした様々な問題を、公共の場に視覚的なメッセージとして残すことで、人々に訴えるというものだ。
今回の作品たちの紹介
南アフリカ出身のSONNYの作品。絶滅の危機にあるクジラを実際のサイズで描いた。
ニュージーランド出身のGinaの作品。アシカと海の気持ちをテーマに描いた作品。
ニュージーランド出身のRebecca ter BorgとDagerという2人のアーティストによる共同作品。Wakaとはマオリ語でボートを意味し、「私たちは、みんな同じボートに乗っている」という、地球というボートでみんなで生活しているというメッセージだ。
ライブペイントだけじゃないSeaWalls
SeaWallsでは、多くの壁画が作られた。そんなライブペイントを見るのは、このプログラムの醍醐味である。しかし、それだけではない。
開催期間中には、主催者と関係者によるパネルトークショーにChasing Coralというサンゴ礁に関する映画鑑賞が行われた。
パネルトークショーでは、PangeaSeed FoundationがSeaWallsによって、どのように海洋保護問題に関わっていくのかを創設者のTre' Packered氏が話した。
その中でも印象に残った言葉は、
「私たちが行なっているSeaWallsは、海洋保護を解決策ではありません。キッカケを作るモノです。問題に関して、アートという切り口から関心を持って欲しいのです。」
という言葉だ。解決策は、科学者などの協力が必要だが、キッカケを作るのはいろいろな角度から作れるはずだと語ってくれた。
写真左: 創設者Tre'氏 ©Vanessa
その後は、Chasing Coral(邦題: チェイシング・コーラル -消えゆくサンゴ礁-)という映画を鑑賞した。サンゴ礁という生き物が、ここ数年の気候変動により急速なスピードで死に、30年後には死んでしまうことが語られている映画だ。美しくも、悲しい物語で、これから人類で守っていかなければならない、と心を動かされる作品だった。
その他にも、マオリ伝統のPōwhiriという歓迎式なども行われ、文化交流、アーティストの作品露出、海洋環境でどんなことが起こっているのかを学んだりする。
ギズボンの人々の反応
10日間をかけ、街全体で行われたライブペイントは、ギズボンの街の多くの人々の目にとまった。
足を止めて写真を撮る人、アーティストに声をかける人、街中すべての壁画を見てまわる人…など、多くの人がそれらのストリートアートに関心を向けた。
40代女性
「ここは、私の毎日の散歩コースだから、嬉しいよ。いままで、グレーのつまらない壁だったけど、これからはこんな綺麗なものを毎日見れるんだね。」
50代カップル
「街に色が加わるし、こういう素晴らしい絵があれば、違法のグラフィティーがなくなるかもしれないね。」
といった声が聞こえた。また、このフェスティバルを求めての旅行者も複数人見られた。
SeaWallsがギズボンにもたらした2つのもの
アーティスト: Cracked Inkが子供たちにCO2による温暖化の話しをする場面 ©Vanessa
このストリートアートフェスティバル、SeaWallsはギズボンという街に2つのものをもたらした
・色/新たなアートシーン
・海洋保護問題への意識
だ。
もともと街にあったアート
以前からも、街中にはいくつかのストリートアートはあったが、新しく約20枚が加わったことで街中の雰囲気は大きく変わったとともに、海洋保護への意識というメッセージも街中に広がった。
参加した感想
今回はカメラマンとして、またライターとして初めて参加させてもらった。
ただ、単に海洋保護問題を訴えるだけではない、単にアートを広げるだけでは終わらない。そんなプログラムであった。
期間中も全員に水筒が配られ、プラスチックの商品は買わないように気をつけたり、コーヒーを提供してくれるスポンサーからも使い捨てのカップではコーヒーを提供しないようになどと徹底されている部分もあった。
そして、アーティストそれぞれが、自分たちのアートの力を単に自分の才能を見せるモノとしてじゃなく、このように何か問題を訴えるモノにすることには、彼らのファンたちを巻き込める素晴らしい意味がある。
また、プロのアーティストと関わった、アーティストを目指す若者たちは多くのものを学び、そして実際にペイントを手伝うことによって、実践する機会も得られており、若い才能の育成にも繋がる場面であった。
カメラマンとして参加した自分を含め、関わった全ての人がボランティアとして参加するこのプログラム(宿泊費や食費は別)。ひとりひとりが様々な思いを胸に、しかし、海を守りたいという思いを胸に一緒に活動したみんなには、家族のような深い繋がりを感じた。
日本での開催に向けて
このPangeaSeed Foundationという団体は、実は日本で作られた団体である。創設者のTre'氏は合計で約3,4年ほど日本に住んでいたこともある。
そんなこともあり、常に日本でのSeaWallsを開催するということを夢見てきたという。
そんな話しを聞いた時に、「日本で絶対に開催したい」と思い、現在、SeaWallsで数回にわたってビデオグラファーとして関わっている友人のYoshiとSeaWalls: Japanを開催するために活動することを決意した。
現在、Tre'氏と連絡を取りながら、日本での開催に向けて話し合いを進めている最中である。
日本という国は海に四方を囲まれた島国だ。
そんな日本では、多くの海産物を消費したり、沖縄には綺麗なサンゴ礁があったり。海を綺麗に保っていかなければならない多くの理由がある。
しかし、普段生活をしているだけでは、魚の乱獲、サンゴ礁が急速になくなっていることなどには気が付けない。そんな気がつきをアートという形で視覚的なメッセージとして残してみませんか?
まずは、アートを残せる壁を探している最中です。現地にあるお祭りなどとのコラボレーションから、うちの街/町で開催してみたいなどありましたら、ご遠慮なくご連絡ください。
この記事が参加している募集
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