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視線だけはストーカー

「察しの良い人が好き」
と彼女は言った。

別にね、探偵みたいに、誰に対しても察しよくしてほしいってわけじゃないの。私限定でいいの。

例えば、私がキッチンで調味料を探している時、塩か胡椒かなんて呟いていないのに「これだろ」って差し出してくれる人。

例えば、イライラしてるけど励ましとか同情は要らない時、黙って頭をなでてくれる人。

そういうのって、普段の私の行動を逐一見ていないとできないじゃない。
本人は意図的じゃなく、偶然「こうするのが正解なのかな」って程度の感覚で行動したとしても、それは普段から私のことを見ているから、なんとなくわかるんじゃないかな。
無意識でも、痛みや恐怖を避けたりガードしたりするのと同じように、正解がちゃんとわかってるから。

その分、私もちゃんと相手を見るの。もちろん仕事だってあるし、友達との関係も大事よ。家事もやるし。
でも、ちょっとした瞬間に相手の方をみて、相手が何をしているか、心のどこかに記録しておくの。
それで、相手が困ったり悩んでたりしたら、そのどこかからデータを出してきて、最適解を見つけて対応するの。

「何に悩んでるの?」とか、「どうしたの?」とか、そういう言葉が嫌いなわけじゃないけど。でも、「君のことちゃんとわかってる」って態度で示してくれるのって、すごくうれしい。

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