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#2 『反脆弱性』『シャンタラム』『人間不平等起源論』ほか

はい、第二回目やっていきますよ〜〜〜。

1. 『反脆弱性[上]——不確実な世界を生き延びる唯一の考え方』(ナシーム・ニコラス・タレブ)

これはたしか、メルカリの山田さんが薦められているのを目にして、読んだ一冊。

いやー、期待以上でした。いわゆる思考体系に揺さぶりをかけられる一冊で、行動経済学っぽい目から鱗な物事の見方が詰め込まれています。

①オプション性を探すこと。もっといえば、オプション性に従って物事をランクづけすること。
②できればペイオフに上限があるものではなく、ないものを探すこと。
③ビジネス・プランではなく人間に投資すること。つまり、キャリアを通じて6〜7回(またはそれ以上)方向転換できる人を探すこと(ベンチャー・キャピタリストのマーク・アンドリーセンの手法のひとつ)。人間に投資すれば、ビジネス・プランのような後付けのつじつま合わせにだまされずにすむ。それに、そのほうが単純に頑健だ。
④バーベル戦略を取ること(その意味は各自のビジネスによる)。
(本書389頁より)

気になった方は、まず本書に寄せられた、山形浩生さんの書評を読んでみてもいいかもです。
このコラムは散逸しているようで、一本の太い軸で書かれております。思想的技術を感じざるを得ません。
(→反脆弱性・歩く・マネーマーケット

本書と併せて、カーネマンの『ファスト&スロー』やダン・アリエリーの『予想どおりに不合理』も読んでおきたいところです。

2. 『シャンタラム』(グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ)

あらすじは以下。

男は武装強盗で20年の懲役刑に服していた。だが白昼に脱獄し、オーストラリアからインドのボンベイへと逃亡。スラムに潜伏し、無資格で住民の診療に当たる。やがて“リン・シャンタラム"と名づけられた彼のまえに現れるのは奴隷市場、臓器銀行、血の組織“サプナ"——。数奇な体験をもとに綴り、全世界のバックパッカーと名だたるハリウッド・セレブを虜にした大著、邦訳成る!
(Amazonページより)

インドで放浪経験がある僕からしたら、もうとにかく描写の一つ一つにリアリティを感じた。物語の随所に散りばめられた身体性を帯びた思想にも、ビンビン感性が揺さぶられる。

とくに印象に残っているのが、主人公のリンが師であるカーデルから学んだ宇宙論を咀嚼し、自らの言葉で語り直す以下のセリフ

宇宙は約百五十億年前にこれ以上はないというほど単純な形で誕生し、それ以来、どんどん複雑になっている。単純なものから複雑なものへというこの動きは宇宙を織り成す糸に組み込まれていて、"複雑さへ向かう傾向"と呼ばれている。われわれはみなその複雑化の産物であり、鳥やミツバチや木や星や銀河でさえそうだ。小惑星が衝突するかどうかして、地球が爆発し、われわれはみんなが消滅することになっても、われわれと同じ程度に複雑なものが誕生する。それが宇宙というものだから。そうしたことが宇宙全体で起こっている。

ツイートでも触れたように、ヘンリー・ミラーの『北回帰線』あたりも読み返したくなるエッセンスがありました。(あれかな、ドラッグの匂いが筆致からビンビンするからかな......)

3. 『人間不平等起源論』(ジャン=ジャックルソー)

Inquire inc. でコモンセンス代表の望月さんを講師に招いて、月一開催しているゼミ。その課題図書として、自分プレゼン会に選んだ一冊です。

社会的な不平等が生じるまでのプロセスは、以下の通り。

1. 自分の生存の配慮
・初めの感情。人間は個々で生きていて、まだ家族はない。
2. 生活の知恵
・自然の脅威を回避するため。
3. 自尊心と競争
・「オレたちは動物とは違うのだ」という自尊心を手に入れる。人間同士が相互に争い始める。
4. 契約の概念
・争ってばかりではどうしようもないと考えるようになる。競争と利害関係を区別し、契約(約束)の利益を知る。
5. 家族と私有財産
・道具を使って小屋を建てる。これが家族の起原。同じ時期に私有財産が導入される。
6. 共同体と分業
・共同体が生まれる。尊敬を受けることが価値あることになる。これが不平等への第一歩。
・分業が平等を破壊する。平等の代わりに貧困と不平等が現れてくる。
ルソー『人間不平等起原論』を超コンパクトに要約するより)

それにしても、中山元さんの訳はほんとうに読みやすい。学生時代に、中山さんの本を耽溺していたのを思い出した。『思考の用語辞典』とかとか。

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下記は、ざっとのまとめですーーー。

3月は確定申告だったり、飛び込んできた仕事だったり、Netflixだったりで、なかなか読書できていませんが、
後半は海外に行くので、飛行機のなかや隙間時間で読もうと思っております。

それでは、次回またよろしくお願いします〜〜〜〜。

ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。