【創作童話】こぞうと将軍 〈其ノニ〉
城に、若くて賢い将軍がおりました。
ある日の午後、将軍が城内を散歩していると、本草所の前をこぞうが浮かない顔で行ったり来たりしているのが見えました。
そこで将軍はこぞうのそばへ行き、
「どうした、こぞう。浮かない顔をしておるではないか」
と、声をかけました。するとこぞうは、首を傾げながら、相変わらず浮かない顔で答えました。
「へえ、どうもおかしいのです」
「おかしい?何がおかしいのだ?」
「どうも1枚足りないのです」
「なに?1枚足りないだと?何が1枚足りないのだ」
「紙