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オリオン座

「ねえ、見てよ。オリオン座がはっきり見える。
   好きじゃん星。てか寒。」

我見よと聳え立つビルの囲い
その中心にオリオン座が座っていた。
どうやら今年の冬本腰がもう来たらしい。

「寒いね、ほんとだ。
綺麗。」

一段と謙虚になってしまったが
隠す事のできない風格を感じる。
何千光年も前から守り続けた
景色と誇りを汚さぬよう
消えて行く仲間の存在が
息絶えぬよう
いつか、また輝けるよう
計り知れない程の決意を胸に
平気な顔をして耐え続けている。


午前1時。
明日の支度を終え灯を消したら
一日を癒す至福の時間。
スイッチをONへと押し上げると
星が一斉に部屋中へ飛び出した。
私はこの煌めく何千もの光を見るのが好きだ。
うっとりするほど優雅な眺めで
全ての邪念を消し払ってくれる。

今はどの辺りが見えるだろう、
いた、オリオン座。
今まで見た中で一番綺麗な星は
私の部屋のオリオン座
外で綺麗と言える日は
いつかくるのだろうか、


写真  :  岩倉しおり











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