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感想:えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる

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いつもはビジネス系の実用書ばかり読みがちな私が久々に読んだブログ本。著者の小山田咲子さんが24歳で亡くなるまでの約3年ほどの日常がつづられている。

肩肘はらず、自然体な文章からか、そっと大学生の彼女の生活を彼女の視点から覗いているような感覚になった。とてもリアルなのだ。

日々の生活の中で、彼女の興味の方向や感性が面白い。
ゆるい文章の中にときどき、はっとさせられるような文章に出会う。
彼女の深い思考と、軽やかに進む人生に魅せられる。
自分とは全く異なる彼女の感性と日常に引き込まれる。
不思議な一冊だった。

好きな言葉集

本の中で出会った個人的に好きな言葉集。

えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる

本のタイトルにもなった一文。本当にこの本の中の彼女を表している言葉。
高い頻度で国内・国外の旅に出かける彼女。南インドやアラスカや中近東など私からすると少し身構えてしまうディープな場所へ旅にでる。いつも前日の深夜に徹夜でざっと荷物を詰めて、日々の雑事をすべて置き去って出発する彼女。実はあまり旅自体好きじゃなくて、家で本でも読んでる方が向いていると本の中でつぶやく彼女から発せられるこの一言に旅の魅力が凝縮されている。出産予定日の直前だというのに、私は昨日から旅行にいきたくてたまらなくなってしまった。おっそろしいセリフだ。

「思いの強さ」
やりたいのにやれないというのは言い訳、というより、やりたい気持ちが足りないか、あるいは自分が完全に自分と向かい合える環境を作れていないだけの話なのだろう。人が本当に何かをやろうと決めた時にはそれを邪魔するような強大な壁って実はあんまりなくて、環境はむしろびっくりするような偶然を用意して背中を押してくれることも多い。
かつてそうしてものすごい勢いで人が夢をかなえる場面を何度も見たし、私自身にも幾度かそういう瞬間はあった。

ハッとさせられて、同時に希望に満ちた文章で忘れたくないなと思った。
彼女の価値観の琴線に触れる文章のような気がして好きだ。

「愛ある言葉」
ただ肯定する、愛情深さ。
親子関係に限らず、友人でも、恋愛でも、相手の言葉に対して批判したり賛同したりするのは容易いが、相手の真意を汲み取った上で、的外れな決め付けじゃない肯定と受け入れの言葉を発するのって、意外に難しかったりする。

こんな人でありたい、と素直に思った文章。親子・友人・夫婦。距離の近さとは関係なく、別々の人間であることを尊重し、愛をもってただ受け入れる。そういうコミュニケーションを自然にとれる人間になりたい。



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