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洋画のすゝめ③ ~南アフリカ関連の映画~

洋画に関する記事の今回は3回目。
今回は実話を基にした映画について記載する。
これまでの洋画遍歴も実話映画が多い。

知識の習得を洋画の目的の1つとしているため、実話系の映画を好んでいる。
実話系の映画は史実に基づき、製作されているので歴史の学習や復習となる。例えば、邦画でも源平合戦や戦国時代、幕末、赤穂浪士の「忠臣蔵」などが度々映画/ドラマ化されている。多少の脚色はされてはいるが、基本的に史実に忠実。
洋画だと古代ローマやエジプトやギリシャから、中世のナポレオンの頃、各欧州の近代、アメリカの建国前後、第一次/第二次世界大戦の映画など、幅広く実写洋画がある。

近年では、アフリカを舞台にした映画が多くなっている。アフリカは欧州に近いエジプトなどは記録として文献が残ってはいるが、その他はあまり記録として残っていない。アフリカの映画というと、南アフリカのネルソンマンデラ氏関連の映画が思い浮かぶ。

実話系の映画の中で、マンデラ氏関連の下記の2作について記載した。

①マンデラの名もなき看守
②インビクタス/負けざる者たち

「①マンデラの名もなき看守」がマンデラ氏の釈放された1990年までの話。
対して、「②インビクタス/負けざる者たち」は1994年の大統領就任以降の話だ。釈放から大統領就任までの4年間を除くが、この2作は繋がっている。①を見た後に、②を見ることを推奨する。南アフリカとアパルトヘイトについての理解が深まるだろう。その4年間の紆余曲折があったのだが、そちらは各々で確認していただきたい。

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①マンデラの名もなき看守

南アフリカの白人の刑務官のジェイムズ・グレゴリーの手記を基に作られた。マンデラ氏は27年間の投獄生活であったが、グレゴリー氏はその大半の年月を看守として監視していた。当時の南アフリカはアパルトヘイト政策最盛期であったが、マンデラ氏の人柄に感化され、2人の絆が結ばれるという話だ。

劇中では白人の警官がアパルトヘイト政策にて、黒人の国民をいたぶるシーンが印象的だ。アパルトヘイト政策は、白人を優遇して黒人を差別化する政策だ。グレゴリーの妻が「神が定めた運命だから仕方ない」というニュアンスのことを言っているが、酷い思想だ。

映画を見ると、南アフリカの白人がいかにアパルトヘイト政策で白人至上主義に洗脳されていたかが分かる。マンデラ氏が大統領に就任されてから政策は終わったが、今でもその名残は残っている。

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②インビクタス/負けざる者たち

この映画は南アフリカのラグビー代表とマンデラ氏を描いた洋画。それなりに有名の映画だし、知っている人も多い作品だ。私自身、2019年の日本開催のラグビーWカップと、その当時の日曜劇場の池井戸潤氏原作のラグビー小説「ノーサイドゲーム」の影響を受けて見た。

洋画の話からはズレるが、2019年は日本ではラグビーがかなり盛んであった。2019年の紅白歌合戦では松任谷由美氏は、ラグビーをテーマにした「ノーサイド」を歌唱した。日本中がラグビーに染まりつつあった1年であった。
だが、2020年はラグビー界の不祥事や緊急事態宣言などの影響でトップリーグの開催がなくなってしまったことは非常に悔やまれる。

奇しくもWカップの準決勝で日本(桜JAPAN)は敗退したわけだが。その時の相手がスプリングボックスこと南アフリカであった。そんなスプリングボックスの1995年の自国開催のWカップを描いたのが「インビクタス」である。(結果はネタバレにならないよう、ここでは書かない。ぜひ本編を見て欲しい。)

ラグビー好きに超オススメの「インビクタス」だが、キャストや監督が非常に豪華だ。監督はクリントイーストウッド氏で、ネルソンマンデラ役にモーガンフリーマン氏、南アフリカラグビー代表のキャプテン役にマッドデイモン氏を起用している。

こちらの作品でも、アパルトヘイトの名残りが残っている状況が劇中に描かれている。内容自体には私自身も深く感動し名作だとは思う。
ただ、1995年のスプリングボックスには黒人選手は1名しかいなかった。

南アフリカのラグビーはアパルトヘイト政策の時に白人に人気であったため、黒人には不人気だった背景がある。マンデラ氏はスプリングボックスを、黒人と白人を結びつけるキッカケにしようとしている様子が劇中を見るとよく分かる。
「スポーツの力は偉大だ」という言葉を耳にする機会があるが、まさにそうだと感じる映画だと思う。
結果的に1995年の自国開催のラグビーWカップは成功に終わる。その15年後の2010年には、アフリカ大陸では初開催のサッカーのWカップも開催された。

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マンデラ氏の関連書籍は多くあるが、この2作を見て学べることは非常に多い。
アパルトヘイトは差別問題の中でも有名だ。さらに広げると、中国のウイグルやイラク等でのクルド人の問題など差別問題はなくなっていない。また、洋画においても黒人差別や少数民族を蔑視した題材のものは数多くある。
人種差別は以前に比べると減ってきてはいるが、完全に消えていないし現状は解決できていない。また、数年後には新たな差別が生じる可能性もなくはない。差別がなくなる世界になることを強く願う。

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