東京2020公式アートポスター展、全20作品をレビュー!

作品を創るという、スポーツ。

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2020年1月7日(火)~2月16日(日)の約1か月間、東京都江東区東京都現代美術館で開催されている東京2020公式アートポスター展
世界中からアスリートや観客が集まるビッグイベントに参画したアーティストたちの作品を一目見ようと思い、会場を訪れた。

入場は無料。縦に長いエントランスの空間には、青い木枠だけで作られた直方体がいくつも並ぶ。小さな子どもが不思議そうに行ったり来たり、地面の上の青い木材をジャンプして跳び越えたり、立体の中をくぐり抜けたりして遊んでいる。
東京五輪のエンブレムに使われている四角形をそのまま使って、展示空間を作りだすアイデアがおもしろい。

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全部で20枚のポスター。ひとことずつ、レビューを綴ってみた。

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「パラリンピアン」 / GOO CHOKI PAR

躍動感と生命力。体に不自由を抱えながらも、その腕でその足で懸命に前に進もうとするパラリンピアンの肉体。

「東京の子供」 / ホンマタカシ

選手だけでなく、老若男女誰もがこの祭典にかかわるひとり。
目線や表情からどこかシャイに見える少年に、撮り手がそう語りかけているよう。

「Ludas」 / ヴィヴィアン・サッセン

選手が大きく体を反らして、円の形で跳ぶ。五輪マークの斬新な再構築。

「開」 / 柿沼康二

「ひらけ!ひらけ!」と自分の心に呼びかけながら、高い集中力と熱量をもって書き上げること。書道もスポーツなのかもしれない。

「翔」 / 金澤翔子

書そのものの「開」に対して、「翔」は書をどう見せるかにもこだわっている。背景の金箔、光差す演出が力強い。

HARMONIZED CHEQUERED EMBLEM STUDY FOR TOKYO 2020 OLYMPIC GAMES [EVEN EDGED MATTERS COULD FORM HARMONIZED CIRCLE WITH "RULE"]
HARMONIZED CHEQUERED EMBLEM STUDY FOR TOKYO 2020 PALALYMPIC GAMES [EVEN EDGED MATTERS COULD FORM HARMONIZED CIRCLE WITH "RULE"]
/ 野老朝雄

日本人に馴染み深い藍色。幾何学的でいてアナログ、天体図のような広がりを感じる。

「オフェンス No.7」 / 新木友行

ユニークさと親しみ。広い余白は、見る人の目線をプレイヤーの競り合いに注がせる。

「Wild Things - Hachilympic」 / 鴻池朋子

色彩がまばゆい。スポーツの力が呼応するような、生物の命のかがやき。

「スペース・キッカー」 / 大竹伸朗

銀河をめぐる、極彩色のスーパーストライカー!

「神奈川沖浪裏上空」 / 荒木飛呂彦

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者が描く、漫画的な世界観。古風なジャポニズムに現代風のポップ、個性的な取り合わせ。

「あなたの出番です。」 / 浦沢直樹

スポーツ漫画の最終コマ、その先に広がる景色を想像したくなる。

「The Games People Play」 / クリス・オフィリ

インパクトのある独特さ。色彩の滝には、幾人もの想いや熱や感情が見えるかのよう。

「オリンピックスタジアム」 / フィリップ・ワイズベッカー

選手や観客といった人間がテーマの作品が多い中で、会場となるスタジアムに目をつけたのはおもしろい!

「馬からやヲ射る」 / 山口晃

雅やかな古典絵巻に現代の技術進歩、ファンタジックに見えて現実的。細部に目を凝らし、解説文を読むと「パラリンピック」の本質が突きつけられる。

「動線」 / 大原大次郎

文字の線が綴りだす聖火ランナーの導線。漢字やひらがな、アルファベットはこんなに自由だったんだ。

「EXTREME REVELATIONS」 / テセウス・チャン

スケボーのタイヤが擦れる裏路地、壁のペンキの落書き。カルチャーから競技へ、オリンピックの新たな一面が見えてくる。

「五輪の雲」 / 佐藤卓

とにかくかわいい!飛行機が空に五輪マークの軌跡を作った昭和の東京オリンピックを思い起こさせる。

「Higher than the Rainbow」 / 蜷川実花

「虹よりも高く」。多様性と自由の虹を超える。

「カーブの向う(五千輪)」 / 森千裕

シティポップ的な、現代風の軽快なパステルカラー。五輪は日本の都市・東京をどんなふうに染め上げるだろう。

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組織委員会は、オリンピックというスポーツ・文化イベントへの認知と理解を促進するために、ポスターを制作してきました。また、オリンピックのポスターは、各大会の特色を世界に伝える役割も果たしています。
近年では、パラリンピックのポスターも含め、国際的に活躍するアーティストやデザイナーを起用し、各大会の文化的・芸術的レガシーとなる作品を制作するようになりました。
東京2020大会では、国内外のアーティストにオリンピックまたはパラリンピックをテーマにした芸術作品を制作いただき、それらを東京2020公式アートポスターとして機運醸成に活用していきます。
参考:https://tokyo2020.org/jp/games/artposter/

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