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やりがいこそ成功の秘訣。同じ環境にいた3人が複業で再集結した理由。

ラントリップの開発体制は決して潤沢ではありません。一方で、普通の開発チームよりも密度の濃く、熱量が高い集合体とも感じることがあります。

そんなエネルギーの中心にいる3人に、あらためて今のチームワークについてインタビューしました。複業としてラントリップに関わって頂いている2人と、フルコミットの立場で彼ら複業メンバーを支える当社竹村との、ちょっと長めのモノづくり談義です。

藤江 貴司(右):Yahoo! JAPANのクラウド技術を支えるスポーツ好きエンジニア
松田 優貴(中央):FinTech領域でテクノロジーをリードするハワイ好きエンジニア
竹村 拓泰(左):テニスとビールをこよなく愛するラントリップの取締役ランナー

(聞き手:冨田)

スポーツが繋げた横断的なモノづくりのつながり

ーまずは松田さんから、今までのキャリアを簡単に教えていただけますか?

松田:2009年に新卒でYahoo! JAPANに入社しました。最初からエンジニアとしてキャリアをスタートさせて、サーバーサイドに始まり、フロントエンド含めてフルスタックというか、なんでもやりたいという貪欲な感じだったと思います。

その後はスマートフォンアプリブームの中で自分もアプリ特化部隊のチームになり、Androidアプリを作っていました。実は竹村さんとはテニス部で知り合いではあったものの、仕事をしている一面を見たのはこのアプリチームへの異動がキッカケでした。

竹村:お互いテニス部としてふざけ合っている部分しか知らなかったですもんね(笑)

松田:実際同じチームで働いてみたら、当時竹村さんはマネージャーとして複数のアプリを横断的にいているポジションだったので、かなり忙しく真面目に仕事していましたね(笑)

私自身はこの時代にユーザー体験も含めた、モノづくりの本質を学んだと思います。さらにオフショア拠点の立ち上げなど、より上位レイヤーでサービス開発を担当したりと、非常に代え難い経験を得ました。ただ、その経験でより外の環境が見えた分、市場での自分の価値はいったいどうなんだろう、もっと外へ出て試してみたいという気持ちも強くなり、Yahoo! JAPANを飛び出す決心をしました。

ー 大企業からスタートアップへのチャレンジ、という形で自らを試す決意をしたわけですね。それ以外に何か野望というか、やりたいことはあったのですか?

松田:もう来年に迫ってますが、2020というビッグモーメントに対して、何かその中心で関わっていたいという想いがありました。そのひとつが「ペイメント」です。TOKYO 2020を振り返った時に確実にこの領域はターニングポイントとなりますので、Yahoo! JAPAN時代のご縁もあって現在は株式会社Kyashにお世話になっています。

実はその2020という観点で、やはりスポーツというど真ん中でも何か価値を残したいって思っていたのですよね。そんなスポーツ×テクノロジーの可能性は、良く竹村さんと話していたんです。

ー それが今のラントリップへの関わりにも繋がるわけですね。ありがとうございます。早くそちらの話に行きたくなりますが、グッとこらえて次は藤江さんの今までのキャリアを。

藤江:私も新卒でYahoo! JAPAN入社しました、2007年ですね。つまり最初は全員同じ環境にいたということですね。

竹村:私が2008年入社なので、藤江 > 竹村 > 松田というヤフー新卒三兄弟なんです。

藤江:私は最初の5年は情報システム部門でした。商業高校の情報処理科でプログラミングをやっていたので、経理とも話せるプログラマーとして重宝したんだと思います(笑)
その後1年間の期限付きで全社横断の特別プロジェクトに情シスとしてアサインされまして、5年やってそれなりにデキるつもりになっていたので、精鋭部隊が集まるその横断チームで鼻っ柱をへし折られましたね。
みんなほんと優秀な人ばっかりで、まるでアベンジャーズですよ(笑)

竹村:ほんと優秀なエンジニア、多いんですよね。Yahoo! JAPANという環境の一つの魅力はそこですよね。

藤江:そうですね、この1年とにかく怒られて、でもすごく目線が上がりました。その後も情シスに戻ってからチームリーダーでマネジメント職1ヶ月でもう無理ですって弱音吐いたりとか、でも結局2年間やり続けてそれもまた良い経験になったり。

竹村:藤江さん、弱みをさらけ出せるっていう強み、ありますよね(笑)

藤江:そうそう、この3人でよくストレングスファインダーの話になるんですけど、ポジティブで楽観的なんですよね(笑)
えっと、話戻すんですけどその後プラットフォーム部門に異動して、そこでもさらにスケーラブルな取り組みをやっていて毎日本当に充実していますし、勉強になることが多いです。

ー 藤江さんは仕事では竹村とは接点無かったのですか?

藤江:はい、接点はテニスだけです(笑)
良く飲みに行ったりする中で、竹村さんからラントリップで突貫的に作ったバックエンドを、よりスケーラブルにするためにみたいな話をすることがあって、もしかしたら自分が貢献できる部分はあるかもって気持ちはあったんですよね。

キッカケは忘年会?複業がワークする秘訣。

ー あらためて、それぞれなぜラントリップに複業として関わるようになったのですか?

松田:私は先ほどの2020熱があって、それが大きいですね。あとはどうしてもエンジニアとしてキャリアを積むほど、ディレクション/マネジメント方面に行くか、より専門を突き詰めて行くかっていう良くある2択があると思うんですけど、そこでやっぱりディレクション/マネジメントの割合が圧倒的に多くなって、日々インプットしているけどアウトプット、つまり手を動かしていないなって思っていたんです。

藤江:それありますよね。私も実際まともにコード書いてたのって最初の5年だなって。それが決して危機感という感じではなくて、純粋に自分の好きな分野で手を動かして貢献できるという部分が楽しそうというか。

ー エンジニアのキャリアでありがちな二者択一を、バランス良く解決する手段が複業であったと?

松田:まさにそうですね。世の中の流れの後押しもあって、そういうバランスの取り方がスッと自分の中にも入ってきたというか。その上で、本業がある中で折角手を動かすなら好きな領域、興味がある領域で貢献したいというのが強かったです。

竹村:そんな二人に、テニスの打ち上げとかで良く話してたんです。過去のスクラッチで立ち上げたバックエンドは、立ち上げ当初は妥当だったんですけど、今後のスケールを考えるともっとスケーラブルでモダンにしないといけない。「スタートアップあるある」な悩みを素直にみんなで議論していったら、自然に巻き込んでいたというか(笑)

ー 複業でのコミットを決心するような、大きなキッカケはあったのですか?

藤江:昨年の忘年会、ですかね。呼ばれたんです、ラントリップの忘年会に。小さなレストランを貸し切って、みんなでその年の労をねぎらう会。なんかみんなで一つの目標に、目をキラキラ輝かせながら、すごく良い雰囲気だったんですよね(笑)

松田:ほんとそれですね(笑)年末ぐらいにバックエンドのCI/CD系の話やAndroid開発で、お互い何かできることあるよねって話が始まったあたりで、忘年会に参加してやっぱり楽しそうだなって。複業とはいえ、やるからには1年か1年半程度のコミットは見越しておきたいので、あの場の雰囲気は後押ししましたね。

ー 竹村さん、してやったりですね(笑)

竹村:まんまと引っかかりましたね(笑)
いや、真面目な話、どうしてもメインに対してサブの立場でしかない中で、現場の空気や会社としての方向性をキッチリ共有していくのが大事だと思っています。関わり合う時間が限られているからこそ、そのレベルの共有をやることが、お互いの仕事のやりやすさに繋がりますよね。

松田:結局複業ってバランス難しいと思うんですけど、ラントリップでの複業は竹村さんがタスクや案件をしっかりハンドリングしているからうまくやれてるってのは大きいですね。あと深夜にコミットしてもちゃんと竹村さんからレスが返ってくるっていう。

竹村:いいね、もっと言って(笑)

ー そこ意識してやってますもんね竹村さんの場合。なるべく自分でボールキープしないように、すぐ打ち返す。横で観ながら、いいラリーしてるわーって思っています(笑)

竹村:あとやっぱり、価値観が合うというか、そういう部分も大きいと思います。みんなテニスも大好きですしね(笑)

藤江:深夜にみんな、ウィンブルドン観ながらラントリップのSlackでチャットしながら仕事したりね(笑)
価値観の話で言うと、エンジニアリングってやっぱり手段であって、責任感持ってるから土日もやったりするけど、これ仕事じゃなくて土日時間あったら全然テニスやってるわって思います(笑)

松田:目的志向ですよね、そしてスポーツやランニングにテクノロジーを組み合わせることの可能性を感じているから、これだけ複業でも気持ちよくやれてるというのは大きいと思います。

複業開発チームの実態。

ー 具体的に今どのような役割分担で開発しているんですか?

竹村:まず年初に3人で話していたのは、アプリの将来を加味してバックエンドをもっとモダンにスケーラブルにしようと。

松田:RuntripはAndroidアプリがまだ無いので、Android版の開発に着手したのですが、今後アプリに関してはちょっと違う方向性にしていくかもしれないという話があったのですよね。それが今のジャーナルという新しい体験になっているのですが、だからまず藤江さんと一緒にバックエンドを整備しようと。

藤江:いわゆる緊急じゃないけど重要なところですよね。スタートアップは日々短期的なものに追われがちなんで、ここはむしろ複業で関わる我々の価値が出せるところかなと思いました。個人的にも、今の流行りやフレームワークを勉強し直して自分で構築する良い機会になったと思っています。

松田:今はそのジャーナル機能を中心としたAndroid版の開発を私が、APIの開発を藤江さんが、そしてインフラの整備を3人でやっている感じですね。私と藤江さんでCI/CD、Android、APIそれぞれのベース設計をやって、それを竹村さんにキャッチアップしてもらう感じです。
こういう、インプットはあったけど自分でアウトプットしてなかったものを、複業で吐き出せるというのが身になるんですよね。そいういう意味で相乗効果を感じています。

竹村:まさに直近はそんな感じのチームワークでAndorid開発とAPI開発を中心にやっています。今はそれぞれコンポーネント別に開発を分担していますね。松田さんはタイムライン、私は写真加工機能、APIでいうと藤江さんは共通部分の開発、私はビジネスロジックみたいな感じです。良い意味で深夜にゆるくプレッシャーをかけ合いながら楽しく作っていますね(笑)

あらためて感じた複業の実態、メリットやデメリット

ー 実際複業チームでサービス開発をやってみて、それぞれ感じていることを率直に教えてください。

藤江:得るものがいっぱいです。学びが増える。コミュニケーションの場が増える。大手IT企業にいながらスタートアップの雰囲気を感じられる、当然報酬も頂ける(笑)

一方で時間管理はまだまだ課題ですかね。夜中でも平気で作業してしまうのでそれはうまく線引きしたいところです。そういう意味では、例えば時間を区切って通勤中にわからないことをスマホでよく調べたりしてます。あとはいかに効率化できるか、自動化、簡略化。そうやって頭使って効率化していくこと自体が本業にも生きますよね。

松田:私も得るものは藤江さんと同じような感じで、やっぱり本業でできない経験、個人勉強では得られない実務経験、そして新たなネットワークが増えるのは嬉しいですね。あとは貢献できる自分のCanを再認識できるというのが、本業じゃないところでアウトプットする醍醐味かなと。

デメリットというか、申し訳ないのは本業が忙しくなったときの複業への貢献度が下がってしまうことですね。あくまでメインとサブがハッキリしているなかで、やはりバランスを取るのはある程度自己管理ができないと難しいですね。

ー 最初に組織で基礎体力をしっかりつけた上で、応用をコントロールできるセルフマネジメント能力が無いと難しいかもしれませんね。

そうですね。そして「なんで忙しい時に複業やってんだっけ?」ってならないように、やはり複業ではより好きなことに貢献できること、そしてその自分の貢献が他の会社にとってお金を出してでもやって欲しいこと、そのマッチングが大事だと感じます。

竹村:ありがたいですね。やっぱりやりがいあっての複業なので、私もなるべくこのようなみんなで話せる場とか、会社の向かっている方向とか、そういう文脈をしっかり共有するようにしています。複業だからといって、情報を共有する手間や、同じ時間を過ごす手間を惜しまないってのも大事ですね。

複業が可能にしたクリエーターのキャリアの未来

ー 最後に、こういった新しい働き方を通じて、将来のキャリアに対して漠然と意識が変わってきたこと、学んだことみたいのはありますか?

松田:ありきたりかもしれませんが、終身雇用の時代が終わりを告げようとしている中で、自分が40才、50才になったときに自分のスキル・経験で生きられるように自分のプレゼンスを上げることを意識してます。
(松田さんのnoteはこちらから!)
Can/Will/Wantのベン図を広げること、そしてそれを世の中に可能な限り発信することで将来的なキャリアを描ければ嬉しいなと思ってます。

藤江:好きな事、楽しいことで生きて行く。楽しいと言ってもそれは頭を使う課題解決。それでしっかり世の中にバリューを出していけばWIN-WINな世界で、さらにプライベートな時間を優先できる自由な働き方を模索して生きたいですね。今はそのスタートラインに立てている実感があります。

竹村:優秀な人ほどより自分の好きなこと、複数のプロジェクトに関わりやすい時代なので、自分の価値を高め続けるのは大前提ですが、その中で「なぜそれをしたいのか?」をちゃんと突き詰めていくことが、結果的にマーケットにも自分にも、納得感のあるキャリアを創っていくのだと思います。

ー 皆さまお忙しいところありがとうございました!

最後に、ラントリップではこんな形でほんの少しのコミットでも、あなたの持っているスポーツやランニング、モノづくりに対する情熱を分けて頂きたいと思っています。

いつでも気軽に、オフィスに遊びに来てくださいね!