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センゴ

センゴとは:陸上競技における1500m競走の略称、愛称

1500m。
なんでそんなに中途半端な距離?と初めて走るとき誰もが思うこと。
トラックを3周でもなく、4周でもなく、
3周と4/3周、スタート位置もこの種目だけ第2コーナー、いきなりバックストレートをダッシュします。(わかりやすくいうと第2コーナーは4×100mリレーの1走者から2走者にバトンが渡る、あそこです)

でも意外と、一般認知度は高かったりします。理由は体力測定。小学中学、高校もでしょうか?
走る種目は100mとシャトルランor1500mがあるので、(僕はシャトルランでした)全く陸上に興味のない人たちの中では意外と100mの次に知名度があったりします。
あと、どこに行っても、1500mやってます。と言ったら、「あー!一番きついやつね!」と言われる種目でもあります。笑

何を根拠に一番きついと言われてるかはよくわかりませんが、この種目を専門にトレーニングしていない人間が走ったことを考えると、トップクラスに地獄絵図になる気はします。(専門でない種目は何やってもきついですが笑)

・魅力

実はこの種目海外ではとても人気があり、花形種目で競技会の最終種目になってる事が多いです。

そんな種目の僕なりの魅力をお伝え、いや、語りたいと思います。

それは、

観やすさ!笑

まさかのプレイヤーではなくオーディエンスを増やしたいのです!!!笑
だって、観てる分には人が必死になって走って、競って、観たら絶対楽しいじゃないですか・・・

まず1つ目、長さ。
時間はだいたいどの試合も3分30秒から5分程度、ちょっとゆっくり、でもあっという間に終わる時間。のはず!Youtubeでみる動画1本分くらいで、まさに気軽に飽きないで観れる長さだと思います。スタートしてから、2分くらいはどんな選手がいるのか、応援してる選手がどんな位置どりでライバルはどこか等、レースが動くまでに程よく全体を観ることができます。そこからの1分から2分の間にレースが大きく動き、その興奮が冷めやらぬ間に、フィニッシュを迎えます。

2つ目、スピード感。
だいたい日本の男子のトップの選手では100mを15秒くらいのスピードの中で、位置どりしたり、仕掛けたり行われるので、やはり接触など激しい場面もあります。そのスピード感での競合いは観ている側にも激しさが伝わると思います。

3つ目、戦術。
これは観やすさというか観て欲しい魅力になっちゃいますね。
中距離はいろいろなタイプの選手、800m型、5000m型、はたまたちょうど1500m型。そのほかにも主戦場が違う選手だったりが入り乱れる種目です。
その全部の選手がそれぞれ違う戦術を用意してきて、それが集まるわけですから、それぞれが予想外の出来事の乗り越えながらレースを進めます。



ここでちょっとタイプの紹介。
※YouTubeに動画をあげている方がいらっしゃったので例にそのリンクを貼らせていただきました。ぜひご覧ください。

タイプ①先行逃げ切り型
最初からハイペースで飛ばし、後ろをぶっちぎる。
例:第93回日本選手権決勝 上野裕一郎選手
  https://youtu.be/1DH0pOPoffo
(この大逃げには当時興奮しまくり憧れまくりでした)
タイプ②後半追い上げ型
前半は集団内で粘り、ラスト300mから驚異的な追い上げを見せる
だいたいの勝ちパターンはこれ、ここに持ってくるまでのレース運びはそれぞれ違うが、最後だけを一括りとしたらこの型。
例:2012年ロンドンオリンピック決勝 マクルフィ選手
  https://youtu.be/Ry8GWJMpIVQ
(個人的には憧れのマンザーノ選手のラストの伸びも観て欲しい)

タイプ③スローペース型
最初の100mで前に出て、ブレーキを踏み、スローペースに持ち込む。
前に出てこようとする選手にかぶせ続けて、前を譲らず、レースを支配する。チャンピオンシップ等、順位を狙うレースで目立つ戦術
例:2016年リオオリンピック決勝 セントロウィッツ選手https://youtu.be/Grf_62s_95w
(元チームメイト ケモイの転倒した時には、部屋で1人で吠えてた)
タイプ④ロングスパード型
だれもが仕掛けないであろうと油断し脚をためている所で一気に切り替え不意をつきその差を維持して逃げ切る。または追いついてくるまで力を溜め、追いついてきたタイミングで2段階目のスパートをかけ勝負を決める。
例:2017年ロンドン世界陸上女子1500m ハッサン選手
      https://youtu.be/iJjeKxN8IGY 
(残り700mからの100m、ラスト600mでスパートするためのハッサン選手の完璧な準備に注目)

ほかにも数多くのタイプの戦術で戦う種目、誰か1人の選手の動きをずっと追いかけてレースを観てみるとさらに1500mを観るのが面白くなると思います。
とはいえ他の種目にもタイプはありますので、1500mに絞った魅力とは言えないかもしれません。
なので他の種目と比べたらひときわ目立つ特色をご紹介します。

・特色

いままでいろんなレースを経験しましたが、特に1500mでの特色なのかなと感じるのが、スローペース。男子の世界レベルのレースで4'00近くかかるようなペースまで落ちるのはこの種目くらいです。
そんなスローペースで脚を溜めているのが、スピードスターばかりですから、ラスト一周の鐘がなってからはすごい迫力です。

僕自身が出場した初めて日本選手権(2013)での話。
その年の選手権者のタイムが4'02の超スローペース。
出場した全選手、全コーチが同じ戦術で戦ったからこそのレース展開で、全員が順位だけを取りにいった結果でした。
しかし世界への参加標準記録を誰も突破していない状況でのレース展開に、当時だいぶ多くのお叱りを受けました。

陸上関係者にはとても不評で、「ふざけたレース」とまでいわれたレースでしたが、初めてレースを見る人や、子供達からは「迫力すごすぎてびっくりしたよ!」や「最後かっこいい!」など、声をいただき、色々な目線があるんだなと、当時19歳ながら感じたことを覚えています。
このようにスローという戦術で全員が被ってしまうくらい前に出ずに我慢することがセオリーなんです。
そんな中いろんなタイプの選手がレースを動かして、意表をついてレースを作っていく。そういったこの種目特有の面白さがあります。

最後に

世界トップに差をつけられてしまっている種目、
今できることは僕たちが日本の1500mのレベルを底上げをして、世界への出場切符をかけた日本選手権で、観客も関係者も盛り上げるような駆け引きをすること。そしてもっと魅力を発信していく事だと思います。

アメリカでのコーチ、ライアンがこんな言葉をくれました。

アメリカの中距離もレオ(マンザーノ)がメダルを取って大きく変わった。
努力を続ければ、きっと誰かが見ているし、日本で中距離がもっと人気になるはずだよ。なんてったっておもしろいからね!




的な。笑

とにかくおもしろいんです!!!!
一度見ればわかる面白さがある距離だと思っています。


そんな中ちょうどこのタイミング、今週末、6月1日土曜日に日体大長距離記録会の中で1500m日本記録挑戦のための設定レースが行われます。
走る選手も少数に絞って、ラビットにはスズキの川元選手、東海大学の花牟礼選手の2人が務めてくれます。
もちろん僕も出場します。やるべき事はしっかり自分が1500mにかけた時間を示せるようなレース、ただでは終われません。

16:10スタート(現在)時間がある人はぜひ会場に足を運び、観戦してみてください。1500mの歴史が動く瞬間が見られるかもしれません。

陸上を知らない方、初心者でもとりあえず興奮する4分になると保証します。
ぜひ僕の大好きなセンゴ、観てみてください。


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