法の下に生きる人間〈第76日〉

安達祐実主演の『家なき子』のドラマで、「同情するなら金をくれ」というセリフは、当時ものすごく流行った。

1994年、当時12才だった安達祐実が、今はもう40代である。

日本はバブルがはじけて、当時は不況のさなかにあり、苦しい生活を強いられ、借金地獄に陥った人も少なくなかった。

今週は、そんな借金に関係する「貸金業法」を中心に、現行の貸金業法下で、私たちはどのように守られて、あるいはどのような制約を受けているのかをみていこう。

お金の貸し借りは、信用が第一であることは言うまでもないが、そういった大前提があるにもかかわらず、世の中にはだまされて泣き寝入りする人も多い。

悪徳業者が悪いというのもあるが、何よりも、私たち自身が法律に疎いのが致命的な欠点である。

私たちの多くは、お金が借りられたらそれで安心するわけだが、「なぜ借りられるのか」(=審査が通るのか)、「借りたことによってどういったことが起きるのか」ということを、貸金業者側から考えてみる必要があるだろう。

また、賃貸契約によってマンションやアパートに住んでいる場合、賃料等の滞納をするのは、借りたものを返さないでいるのと同じことである。

法的手続きを取られたときに、私たちは弁護士に頼ることになるかもしれないが、諸経費がタダで済むとは限らない。

個人間での借金のもめごとになると、やっかいな場合もある。

私たちの生活に身近な法律の一つである民法第166条では、次のように定められている。

【第166条】
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。 

一    債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。 

二    権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。

以上である。

時効消滅となったとき、返す側は返さずに済んでラッキーだが、貸した側は、金額によっては大きな損害を被る。

だからこそ、時効が消滅する前に、なんとかして貸した金を回収しようとする。そういった状況を経験したことがない人は、借金やカードローンで自分が置かれている状況についてイマイチ分かっていないことが多い。

誰かの保証人になるときは、本当に気をつけなければならない。

思わぬ出来事で借金する羽目になり、苦境に陥るということは、コロナ禍や震災を見れば、誰しも想像がつく。

また、結婚や子どもの誕生によって、借金を背負いながらの長いサラリーマン人生をこれから送ることになる人もいるだろう。

借金が避けられないという現実に直面したとき、予備知識があるのとないのとでは、全然違う。

新NISAで貯蓄や投資を考えるのもよいことではあるが、投資のリスクも踏まえたお金の知識も身につけていくことが大切なのである。



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