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【読書ノート】『レキシントンの幽霊』

『レキシントンの幽霊』
村上春樹著


なかなか、主題が、掴みにくい物語。

ケイシーはピアノ調律師のジェレミーと一緒にレキシントンの屋敷に住んでいる。ある時、『僕』はケイシーに家の留守番を頼まれる。留守番の初日の夜、『僕』は深夜に大勢がパーティをしているような物音で目を覚ます。『僕』は、あのパーティは、幽霊の集まりだったのだろうと納得する。

キーワードを挙げてみる。

①アッシャー家
エドガー・アラン・ポー小説「アッシャー家の没落」を示している。
物語全体的に「アッシャー家の没落」を踏襲しているようなイメージ。

②寝るという行為

1. 内省と自己探求:睡眠は、身体と精神の休息や再生を促すだけでなく、内面の世界へと導かれる時間といえる。夢や潜在意識の活動を通じて、自己の深層や無意識の領域にアクセスされる。

2. 現実と非現実の境界の曖昧さ:睡眠は、我々が日常的に経験する現実とは異なる独自の経験世界をもたらす。夢や幻想の中で、時間や空間の制約を超えた奇妙な体験や非現実的な出来事が起こる。睡眠を通じて、私たちは現実と非現実の境界が曖昧であることや、私たちの知覚や認識がどれだけ主観的で限定的であるかを考えさせられる。

3. 存在と無存在:睡眠中は意識が一時的に欠落し、物質的な現実から離れることになる。この時間は、個々の存在の無限性や「私」というアイデンティティの仮定性を考える機会を提供する。睡眠を通じて、私たちは存在と無存在、実在と非実在の相対性を探求し、自己の存在や意識の本質について深く思索する。

4. 時間との関係:睡眠中は時間の経過や外部の出来事に対する認識が一時的に中断される。このような時間の流れの中で、私たちは時間の相対性や時間の本質について考える。また、睡眠を通じて時間の制約から解放され、永遠性や宇宙的な意味に触れる可能性もある。

③星座
自身の存在や人間の有限性、宇宙の謎といった哲学的なテーマについて考えることができる。そして、人間の存在や宇宙の神秘性に対する探求心や深い思索を喚起する役割を果たす。


物語の主題は何か?
人の死というものは、生と切り離されたものではなく、生の延長線上にあるものだと理解した。

自分の内面の先に無限の死後の世界がある。深い睡眠の中で人は死後の世界を垣間見る。

究極的には、物質的なものは全て朽ち果てて、内面だけの世界≒死後の世界≒神の国ということなのかと思った。

聖書的に考えると、「我が国籍は天にあり〜」というように、天の国(神の国)が、本来の場所ということなのだと思うのだけどね。

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